第11回「家電の技術2」編 1/2
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家電製品は、この50年でずいぶん進歩したり、まったく新しいものもつぎつぎに世に送り出されてきました。
毎日使っている身近なものだけれど、その仕組みや原理はどうなっているのかな ?
では、さっそく見ていきましょう!
新しいテクノロジーを取り入れて進化する家電製品って、すごい !
熱をあちらからこちらへ移動させるヒートポンプ
エアコンが冷暖房をする仕組みをご存じですか。暖房のほうは簡単、ヒーターで温めた空気を送っているんでしょうって ? いえ、違うんです。冷房も暖房も、ヒートポンプという技術を使っているのです。
「液体が蒸発(気化)するときは、周囲の熱を奪って温度を下げる」「気体は圧縮すると温度が上がり、膨張すると温度が下がる」という性質があります。これを応用したのがヒートポンプです。
エアコンには室内機と室外機があり、その間を冷媒と呼ばれる物質が循環していて、これが大切な役割を果たしています。冷房は、まず室外機で「気体」状態の冷媒を圧縮し、高温高圧の「液体」状態にします。それを圧力を保ったまま、外気を当てていったん温度を下げて室内機に送り込み、膨張させて「気体」に戻すことによって周囲の気温を下げ、涼しい空気を室内に放出するというわけです。暖房の場合は、この逆の流れになります。
エアコンは、技術の改善が続けられており、省エネ性能が向上した新製品が毎年のように登場しています。
エアコン以外では、家庭用のヒートポンプ給湯器の普及が進んでいます。また、冷蔵庫、洗濯乾燥機、ビルの空調設備、工場における乾燥や給湯、冷蔵、冷凍の設備、農業用ビニールハウスの暖房、融雪用設備など、さまざまなところでヒートポンプが活用されています。
人間の五感のようなはたらきをするセンサー
私たちは周囲のようすや対象物の状態などを見る、触れるといった五感を使って感じ取りますが、家電製品などでそれを行っているのがセンサーです。
家電の多くにはマイコンが組み込まれていますが、マイコンはセンサーからのいろいろな情報を基に状況を適切に判断し、その結果に応じてあらかじめ決められた機能を果たすよう機器をコントロールしています。では、いったいどんなセンサーが使われているのでしょうか。
例えば洗濯機では、洗濯物を量る布量センサーや布質センサー、水位センサー、投入する洗剤の量を決めるための水硬度センサー、すすぎ具合を水の透明度から感知する光センサー、脱水時の異常振動を検出する振動センサー、脱水中にフタが開けられたらモーターを止める安全装置のセンサーなど、他にもたくさんのセンサーが使われています。さらに、洗濯乾燥機なら温度センサーや湿度センサーも必要です。
センサーがたくさん使われている身近なものの代表例がスマートフォンです。タッチセンサーをはじめ、温度や湿度、照度、加速度、ジャイロ、地磁気、気圧、近接といった各種センサーがコンパクトな本体に内蔵され、そのデータをいろいろなアプリが利用して、多彩な機能を提供しています。
今もセンサーの研究は世界中で行われており、味覚やにおいといった新しいセンサーの開発は、これまでにない機能を持った新しい製品の登場につながることでしょう。
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