第5回「新幹線」編 1/2
10月1日に東海道新幹線が開業50周年を迎えたことは、知ってますよね。
これまでに利用した乗客は、なんとのべ56億人 !
50年の間には、いろいろなことがあったんですって。
では、さっそく見ていきましょう !
より速く、より快適に。誕生から50年を迎えた東海道新幹線 !
東海道新幹線は、東京オリンピックのために計画された ?
50年前の1964(昭和39)年といえば、東京オリンピックが開催された年ですね。東海道新幹線の開業が10月1日でオリンピックの開会式が10月10日と聞くと、まるで最初からオリンピックのために計画されたように感じますが、本当にそうなのかな ?
実は、東海道新幹線のルーツは戦前の「弾丸列車計画」なんだそうです ! これは、東京から大阪、下関を経て、海底トンネルで中国大陸までつなげようという壮大なもの。実際に、用地の買収やトンネル工事まで始まっていたそうです。
この計画は戦争の激化で中止になりましたが、戦後復興で東海道線の輸送量が増大したため、昭和30年代になって新たに新幹線計画が進められたというわけです。
東海道新幹線の工事は1959(昭和34)年に始まりましたが、弾丸列車計画で確保されていた用地や工事が中断されていたトンネルも利用するなどした結果、5年3カ月という短い工期で東京・新大阪間の515.4kmが全線開通。こうして、人々が「夢の超特急」と呼んだ世界的な高速鉄道の運行が始まったのでした。
所要時間6時間30分を2時間25分まで短縮 !
新幹線を高速で安全に運行するためには、車両や線路、電気系統などの設備、運行を担うコンピュータシステムや設備・機器の保守などに幅広い技術が使われており、長年にわたって改良や新規開発が続けられてきました。新幹線の最高速度や東京・新大阪間の所要時間の変遷には、それがよく表れています。
東海道新幹線が開通するまで、東京・大阪間は在来線特急で約6時間30分かかっていました。それが、東海道新幹線の開業時には東京・新大阪間が約4時間に短縮。最高速度は、当時の世界最高速である210km/hでした。翌年には、当初の計画どおり最短3時間10分に短縮。その後、最高速度が220km/hに引き上げられ、1985(昭和60)年には新型の100系車両が導入されました。
さらなる所要時間短縮を求める声に応えてスピードアップを図るため、1988(昭和63)年にプロジェクトチームが設けられ、検討を重ねた結果、新たに300系の車両を開発。大幅に速度が向上して、1992(平成4)年から最高速度270km/hの営業運転が始まり、東京・新大阪間が2時間30分と大幅に短縮されました。
そして、1999(平成11)年からは新たに700系の車両が運行を開始。東海道新幹線内はカーブが多いために270km/hですが、山陽新幹線内では最高285km/h運転を実現しました。
2007(平成19)年には、700系を改良したN700系が東京・新大阪間の最短所要時間を5分短縮して、2時間25分になりました。さらに2013年(平成25)年に、N700系を改良して性能をアップしたN700Aも登場。車両などの改良を続けてきた結果、来年春のダイヤ改定では東海道新幹線の最高速度が23年ぶりにアップし、最高285km/h運転になる予定です。
新型車両で性能や乗り心地がアップ !
新幹線の車体、特に先頭車両はとても特徴的ですよね。最初の0系なんて、いま見ると鼻先が丸くてかわいい感じがします。
東海道新幹線の最初の車両である0系は、200km/hという当時経験のない高速走行を目指していたため、開発には多くの課題がありました。高速走行しても異常振動を起こさないような台車が必須で、かつ低重心であり、ブレーキ性能も高くなければなりません。また、高速でトンネルに入ると圧力の変化で耳に圧迫感を覚えるため(耳つん)、高い機密性が求められます。試作車両で何度も高速運転試験と改良を重ね、「夢の超特急」が現実のものになりました。
開業から約20年後の最初のモデルチェンジで生まれたのが100系です。これは0系に比べて乗心地の向上や車両の軽量化など多くの改良が図られました。200km/h以上の高速列車で世界初の二階建て車両は、大きな話題になったものです。また、消費電力は0系の79%に抑えられています。
次の300系は、最高速度270km/hを目標に開発。アルミ合金製の車体をはじめ、徹底した軽量化が図られた結果、0系に比べて約30%、100系に対しても約25%の軽量化を達成。さらに、空力特性の向上や大幅な省エネ化も実現しました。
700系は、JR東海とJR西日本の共同開発から生まれた、より快適で静かな新型車両です。乗心地が向上するとともに、走行中の騒音が少ない2階建てグリーン車なみの静かな室内を実現し、コストパフォーマンスも追求。そのために、数々の新技術が開発・導入されています。例えば、コンピュータシミュレーションや風洞実験を繰り返して生まれたエアロストリーム形の先頭形状。長いトンネル内を走行中の乗心地を改善する車体間ダンパー。低騒音のシングルアームパンタグラフなど。また、0系に比べて消費電力が34%も削減されています(220km/h走行時)。
2007(平成19)年にデビューしたN700系は700系の改良型で、カーブの走行速度が向上しているのが大きな特徴です。曲線区間も速度を落さないで走り抜けられるよう、車体をカーブの内側に傾ける「車体傾斜システム」を初めて採用し、所要時間短縮につなげました。また、加速力もアップし、最高速度の270km/hに達するまで700系は300秒かかりましたが、N700系はわずか180秒 ! しかも、消費電力は0系の約半分に抑えられています(220km/h走行時)。
そして2013(平成25)年には、N700系を改良したN700Aが登場。新たに「中央締結ブレーキディスク」や「地震ブレーキ」を採用して、地震発生時などにN700系に比べ約1割短い距離で停車が可能になりました。
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