第6回「家電の技術1」編 2／2
例えばエアコンには、三つのマイコンが!
洗濯機や電子レンジ、炊飯器、デジタルカメラなど、さまざまな機器に「全自動」とか「おまかせ○○」といった機能が付いていますが、これらはマイコンが実現した便利さの代表例です。使いこなすのにコツや手間が必要だったものが、マイコンのおかげで誰にでも簡単に効率よく操作できるようになりました。
では、マイコンが実際にどのような働きをしているのか、エアコンの例でみてみましょう。代表的な家庭用エアコンは室内機、室外機、リモコンの三つで構成されていますが、それぞれにマイコンが入っており、互いに連携しながら便利で高度な機能を実現しています。
まず、リモコンに入っているマイコンは、ボタン操作を受けて液晶ディスプレイに表示するとともに、操作内容に応じてLEDを点灯させ、赤外線データとして室内機へ送信します。室内ユニットのマイコンは、リモコンから送られてきたデータや室温、動き、光、音といった各種センサーの情報、そして室外機からのデータをプログラムに従って処理し、送風ファンやルーバー、ヒーターなどを作動させます。また、室内機の液晶パネルの表示やブザー音もコントロールしています。
そして室外機のマイコンは、外気温センサーや室内機から送られたデータを元に、設定された冷暖房モードに従ってコンプレッサーやファンモーター、弁制御などを適切に動作させて快適な室内環境を提供しつつ、節電・省エネも実現しているのです。
もっとも多く使われているのは日本で開発されたOS
マイコンには、その機器の動作を指示するための専用プログラムが必要です。
これはマイコンに内蔵されたメモリーに入っており、プログラムしだいでいろいろな機能を実現することができます。
マイコンが組み込まれた製品は常に機能の進化が求められており、それに応えてマイコンのプログラムもより多くの役割を果たすようになってきました。そのため、組み込みOS（オペレーティングシステム）と呼ばれる高度なソフトウェア環境の利用が増えています。
組み込みOSにはいろいろな種類がありますが、もっとも多く使われているのが、日本で開発された「TRON（トロン）」です。組み込みOSには高い信頼性や安全性などとともにリアルタイム処理という機能が必要で、TRONはこの面でも優れた性能を発揮する代表的なリアルタイムOSとして高く評価されています。
また、日本で打ち上げられたロケットや人工衛星のシステムでも、TRONが使われています。世界中の家電製品に使われているマイコンですが、その中に入っている組み込みOSの多くが日本製だなんて、知りませんでしたね。
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