館スタッフたちがつくる教室~他にはない、科学体験を目指して

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科学技術館には、メンバーシップ「サイエンス友の会 科学技術館ファミリー」があり、メンバーや一般の方々に向けて、当館独自の工夫を凝らした多彩な科学教室プログラムを提供しています。近年は、外部講師が担当する教室に加えて、当館のさまざまな個性をもったスタッフたちが連携し、自ら考案・開発したオリジナル・プログラムも拡充させながら、他にはない、当館ならではの唯一無二の教室を模索しています。今号の特集は、当館のスタッフたちがつくりあげるさまざまな科学教室の取り組みをご紹介します。

「親子で『海の小さな生き物』の図鑑を作ろう!」:「チリメンモンスター®」と呼ばれる海の浅いところを漂う海の生き物の赤ちゃんを分類し、自分だけの図鑑を作る。親子で育まれる命の尊さと成長に伴う形態の変化や面白さを感じてもらう教室

長い歴史の中で、大切にしてきた理念

 科学技術館の開館当初から歩み続けてきた「サイエンス友の会」は、すでに“還暦を越える”歴史をもち、ここから数多くの研究者や技術者が育っていきました。コロナ禍以降の2021年春からは、「サイエンス友の会 科学技術館ファミリー」(以下友の会)と名称を変え、友の会メンバーの特典は、1年間の無料入館と、友の会で開催される教室への優先的参加となり、現在に至っています。
 長い歴史の中で私たち科学技術館・友の会スタッフが大切にしてきた理念は、教室に参加した子どもたちが、サイエンスの面白さを知り、身の周りで起こるさまざまな事象の「理(ことわり)」に興味をもちながら、楽しく学び、楽しく生活し、子どもたちにとっていつか将来への道の礎になるような教室を開催したいという思いです。サイエンスが好きな人の集まりとしての友の会に加え、これからサイエンスと友達になる会としての友の会でありたいと思っています。

「日本の天気を知ろう!―気象の基礎と異常気象―」:従来のプログラムに、気象現象の仕組みを考える実験、近年の気候変動や激しい気象現象などのトピックに費やす時間を増やした。写真は気象現象を考える実験。空気が暖まると……

多様化する理科教室の中で、館独自の教室を模索する

 こうして、5年前に制度が変わった友の会ですが、実施する教室の内容も吟味し、変えていく必要性を感じていました。この15年余り、世の中のサイエンス教室を見てみると、博物館等の事業以外にも、進学塾の理科教室、学校で出張授業を行うNPOやその他の団体の実験教室が増えています。また、化学・製薬関連会社などの企業でも、社会貢献事業として小学生~高校生向きの実験教室が行われ、さまざまな形式や内容で、子どもたちにサイエンス実験教室が提供される時代になりました。
 教室の選択肢が広がる中で、科学技術館の友の会を選んでもらうためには何をすればよいのか。また、長年展開している教室のマンネリ化や、限られた数のスタッフで新しい教室を開発するための時間や費用も大きな問題でした。
 そこで、友の会の方向性と内容を決めていくために、小中高の各学校で教鞭をとる教育者やサイエンス研究者の先生方、教室参加者の保護者などに意見を伺い、市場調査をして、友の会として何をどのように提供していくべきかを考えました。

館スタッフたちとともに、新しい教室の開発に挑む!

 その結果出した結論の一つが、当館のさまざまな業務を担当する館スタッフに教室を開催してもらうことでした。館スタッフには、サイエンスの専門知識をもつ者、実験ショーや実験開発、展示物の技術的開発に携わる者、展示ブースの製作に関わる者など、さまざまな背景をもったスタッフがいます。皆、お客様に伝えるものをつくりあげるという共通の目的を持って仕事をしており、この知識や経験は、科学技術館でしか体験できない面白いサイエンス教室の開発につながるのではないかと考えたのです。
 早速、館スタッフたちに打診してみたところ、嬉しいことに、誰もが教室の開発と講師としての実施を快諾してくれました。そして、予想通り、素晴らしい教室が次々と開催されました。どの教室も、専門分野の難しい内容が、やさしい言葉やモデルを使って分かりやすく子どもたちに伝えられており、参加者からも、「とても面白い」と高い評価をいただきました。

 今回の誌面では、友の会スタッフが開発し、実施してきた教室の一部と、館スタッフが実施した教室を紹介しています。
 このようにして、館スタッフが開催した教室は、約2年半で20余、友の会スタッフが実施したものは40ほどになり、対象は4歳から大人にまで及びます。
 参加者へのアンケートでは、参加理由として「他にはない教室だから」という声を多くいただいており、95%が「とても楽しかった」、「また参加したい」と回答しています。また、「これまでは理科がそんなに楽しくなかったけれど、この実験をやって理科が面白くなった」、「とても分かりやすくて楽しかった」、「もっといろいろな理科のことを知りたい」といった声もあり、友の会の目指す理念が参加者に伝わっているという確かな手ごたえを感じています。
 友の会では、今後も幼児から大人まで、サイエンスに思いを馳せる心を開く教室を開発し実施していきたいと思っております。

                          〈 サイエンス友の会 高橋 葉子〉