フランスの薫り漂う、数あそびの魅力 プチ企画展「数と原理を考える ~ラ・ビレット展~」開催
科学技術館の巡回展示物の中でも最も長い歴史を持つ「ラ・ビレット展」を2024年2月に約15年ぶりに当館で開催しました。フランスを代表する科学教育施設である国立産業都市「ラ・ビレット」との協力協定により制作された同展の展示物は、フランス的な思考・観点が織り込まれた“数字と仲良くなれる”多様な体験型パズル等で構成。40点超の展示物を配置した会場には、小さなお子さんから若者、シニアの方々まで幅広い世代が集い、熱心にパズルを楽しんでいました。
科学技術館では2024年2月2日(金)~29日(木)の28日間、プチ企画展「数と原理を考える ~ラ・ビレット展~」を5階展示室に設けた特設会場にて実施しました。
フランス的な数学パズルの楽しみ
当館では、他館の企画展やショッピングセンターのイベントなど、科学を身近なものに感じられるよう「巡回展示物」という可搬型のパッケージ展示を現在10テーマほど展開し、全国各地に貸し出しています。
今回のプチ展示はその現存する巡回展示シリーズの中でも最古参の「ラ・ビレット展」を活用した展示となりました。
そもそも、ラ・ビレット(la Villette)とは、(近年では「ラ・ヴィレット」と日本語表記することが多いようですが)実はフランスのパリにある国立公園の名前なのです。ここにはフランスを代表する科学教育施設が設置されており、こちらの協力により1994年、このラ・ビレット展は誕生しました。
展示は2進数を始めとするコンピュータの比較的単純な論理や原理について、実際にパズルなどを解きながら体感するスタイルなのですが、極力フランスで展示されているオリジナルの手法を活かして制作されたために、展示装置の名称もフランス語をそのまま日本語に直訳したミステリアスなタイトル名がついていたり、なぜかパズルに出てくる地図が日本ではなくフランスの地図だったりと、随所に日本らしくない……と言いますか、ちょっと“クセ強”な展示が多いことも、この 「ラ・ビレット展」の一つの特徴になっています。そのためフランス的な思考の観点も多く、日本の教育とは異なった見方をする展示で構成されている部分も面白く、「そういう考え方もある!」と気付かされる要素も盛りだくさんです。
小学生の友達同士から外国の方まで
実施した2月は平日も小学校団体のお客様が多く、会場内ではクラスのお友達同士でパズルに取り組む姿を多く見かけました。団体さんが帰られ一気に寂しくなるかと思いきや……。静かになったブースでは、外国からのお客様が黙々とパズルに取り組まれる姿も。数学やパズルは万国共通のようです。
週末も多くのお客様が、「解けるまで」ブースから離れず熱心に取り組まれる姿がとても印象的でした。
スタッフの目線から、お客様がこれらの展示を楽しまれている姿を間近で見ていると、すでに約30年経過している展示物とは到底思えないから不思議です。むしろ最近主流となったスマートフォンやパソコンのゲームなどに慣れてしまうと、実際に装置をアナログに動かしながらデジタルについて考えることが新鮮に映るのではないでしょうか。
科学技術館においては久しぶりの展示となった「ラ・ビレット展」は、時代を超えて変わらない数学的思考と、手に触れられる展示の楽しみを来館者に届けることができたようです。
〈科学技術館運営部〉