「小学生ロボコン2023 」事前キャンプ・全国大会を開催 「サンプルリターン」をテーマにJAXAともコラボ!
科学技第5回となる2023年度の小学生ロボコンは、前年度までと日程を大きく変更し、11月に全国大会を開催しました。競技テーマは「サンプルリターン! ~はるかかなたの生まれ故郷へ~」。全国共通予選会の「サンプルリターン! ~星のかけらを持ち帰ろう~」に続いて、自作のロボットを自分で操縦して、小惑星の試料に見立てた紙コップを持ち帰る課題でした。術館では、2015年より航空宇宙をテーマとしたSTEM教育プログラムを小・中学生対象に実施してきました。この一環として、2023年度も前年度に引き続き、「科学技術館 航空宇宙STEMワークショップ」(主催:日本科学技術振興財団)を秋に開催しました。今回はコロナ禍も収まっての開催とあり、どの会場も参加した子供たちの熱気に満ちあふれていました。
事前キャンプでは「はやぶさ」の吉川真先生との交流も
全国共通予選会や各地の連携予選会を経て全国大会出場権を獲得した18名は、3人1組のチームで、2023年10月14日(土)~15日(日)に事前キャンプに臨みました。最初の会場は、「国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)相模原キャンパス」(相模原市中央区)。ここには、月以外の天体に着陸し、そのサンプルを持ち帰った世界で初めての小惑星探査機「はやぶさ」を打ち上げた宇宙科学研究所などもあり、その施設内で、参加者たちは実際のサンプルリターンについて学びました。天体軌道計算の世界的な第一人者であり、「はやぶさ」のプロジェクトサイエンティストや後継機「はやぶさ2」のミッションマネージャなどを歴任された吉川真先生による「JAXA×小学生ロボコンスペシャル講義」、さらに、通称「地球外試料キュレーションセンター」の特別見学、そして見学施設「宇宙科学探査交流棟」の吉川先生らによる案内も行われ、この機会にしか経験できない濃密な数時間となりました。
続いて、緑あふれる「町田薬師池公園 四季彩の杜 西園」(東京都町田市)に移動し、本格的に大会に向けた準備を始めました。プログラミングを学び、チームごとの考え方でプログラミングロボットの動きを設定しました。また、各チームでチーム名とそのロゴを話し合いましたが、JAXAで学んだ宇宙に関連するモチーフが多く登場しました。解散後は、オンラインのコミュニケーションツールを介して、全国各地の参加者たちが、チームで作戦を練ったりプログラムを改良したりし続けました。
いよいよ全国大会本番! 観覧者から温かい拍手が
11月18日(土)には、前日テストランとして、「サンシャインシティ会議室」(東京都豊島区)に選手たちが集いました。オンラインでの打ち合わせを経て、1カ月ぶりの対面となるチームメイトとの再会を喜びながら、選手たちはロボットの実際の動きを確かめる半日を過ごしました。
そして、翌19日(日)はいよいよ本番。「サンシャインシティ噴水広場」には、アルミトラスも駆使したフィールドが組まれ、いつもと違う雰囲気となりました。小学生ロボコンは、得点や勝敗が付く競技ではありますが、その「順位」ではなく「アイデア」を重視しています。そのねらい通り、選手たちは、厳しい材料やサイズ制限の中で、それぞれに独創的な、また素晴らしい機能を実現したロボットでサンプルリターンに挑みました。競技の都度、そして表彰の際、さまざまなアイデアロボットとそれを生み出した小学生たちに、観覧者からも大きな温かい拍手が送られました。
より魅力的な小学生のためのロボコンに
全国大会の様子は、YouTubeやニコニコ生放送で配信された他、NHK Eテレの特別番組「小学生ロボコン アイデアは無限!~小学生ロボコン2023~」として12月23日(土)に放送〔再放送・12月27日(水)、再々放送・2024年1月6日(土)〕され、反響を呼びました。
2023年度は、従来は年度末3月開催だった全国大会を11月に変更するという大きなスケジュール変更を行いました。この意図は、全国共通予選会のルールブックや募集要項を初夏までに発表することで、主に夏休みをロボットづくりや各予選会に当て、全国大会には秋口に取り組んでもらおうというものでした。例年より慌ただしくなった面もありましたが、第2学期の終業式で参加者の表彰伝達をしていただけるなど、小学生の学年歴に沿えたかと思っています。小学生ロボコンは、必要な見直しも行いながら、来る2024年度もより魅力的な体験を提供していきたいと考えています。応援やご支援をどうぞよろしくお願いします。
〈科学技術館運営部 松浦 匡〉