館を飛び出す!「サイエンス友の会 科学技術館ファミリー」の館外教室

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科学技術館のメンバーシップ「サイエンス友の会 科学技術館ファミリー」では、年間約30回のメンバー優先イベントを行っていますが、その約2割が館外でのプログラム。企業や官庁・教育機関などの協力のもと、めったに体験できない施設見学会や自然観察会を実施し、子どもたちの科学的感受性や好奇心を育む機会を設けています。館外にも“飛び出す”友の会の現場の様子を紹介します。

広大な敷地を持つ太平洋セメントの埼玉工場。友の会のメンバーたちをセメントのバルク車もお出迎え

施設見学会~素晴らしい体験ができたと大好評

 施設見学会は、対象を小学生とその保護者、中学生とし、主に春休みや夏休みに開催しています。施設見学会の現場で子どもたちを迎えてくださるのは、さまざまな産業界、官庁の方々。友の会プログラムのための施設見学ルートの検討、レクチャーや体験学習、デモンストレーションなどの準備を綿密に行って、大変充実した内容を提供してくださっています。  昨今の学校では、ものづくりの現場や研究所を見学体験する機会が減っている影響もあり、毎回、見学会にはたくさんの応募があります。参加者からは、「詳しい解説が聞けた」、「楽しく素晴らしい体験ができた」と大好評をいただいております。今回は、長年、友の会にご協力いただいている企業・団体の方々と共に企画・実施した施設見学会の中から、いくつかをご紹介します。

太平洋セメント埼玉工場、埼玉太平洋生コン浦和工場を施設見学

 家庭で出るゴミを資源として活用する取り組みを行っている太平洋セメント株式会社と一般社団法人セメント協会にご協力をいただき、春休みの3月26日(水)に工場の見学会を行いました。朝、集合時間前には受付が完了し参加者のワクワク感が高まる中、西武鉄道・飯能駅から貸し切りバスに乗車。まず埼玉県日高市にある太平洋セメントの埼玉工場へ出発です。

 バス内では協会の方が手作りのフリップでセメントの基礎知識を話してくださり、あっという間に工場に到着。工場では映像を交えて、埼玉工場のしくみやセメントの製造工程の説明を受けた後、バスで広い構内を回りました。そして、大きくて高い、まさに熱く稼働中のプラントに上り、工場の全貌や遠くに臨む石灰石を採掘する武甲山の勇壮な姿を満喫しました。また、子どもたちはセメントのバルク車(粉粒体運搬車)の試乗体験もしました。

 午後は、次の見学先である埼玉太平洋生コン株式会社浦和工場へ。バスで休息した子どもたちは元気いっぱいで入構。浦和工場で作られる生コンクリートの品質管理の現場と実験を見学し、小さい頃からよく知るアジテータ車(ミキサー車)の操作と試乗もできて大喜びでした。

 参加者からはたくさんの質問が出ましたが、関係者の方の、笑いも起こる和やかで分かりやすい説明のおかげでセメントへの興味と理解が深まった様子でした。〈さらに詳細は、本誌PDF版でご覧いただけます〉

科学技術館が立地する北の丸公園の緑の中で行われた自然観察会の様子

自然観察会~生き物の専門家が観察のコツを伝授

 自然観察会は、毎年春と秋の2回、小学生とその保護者を対象に開催しています。科学技術館が立地する北の丸公園は、大都会・東京の真ん中に位置する公園ですが、東京郊外の公園より、生息する生物の種類が多いという調査結果も出ています。  自然観察会は、当館の目の前に広がる、このような貴重な環境を子どもたちに知ってもらうこと、また、自然の中で観察を行う際のルールやコツを体験してもらうことを主な目的としています。講師には、鳥・昆虫を含む動物、植物など、それぞれの分野を得意とする先生方を招いて実施しています。その中から、昨年度と今年度の自然観察会を紹介します。

命の営みの大切さを伝える「北の丸公園 自然観察会

 2025年4月20日(日)、「むさしの自然史研究会」の山崎誠先生と、サイエンスエデュケーターの早武真理子さんのダブル講師をお招きし、「自然観察会~北の丸公園の春2025」を実施しました。お二人は、フィールドワーク歴30年以上の経歴を持ち、北の丸公園にも長年親しんでこられました。

   自然観察会には、虫好きという方だけでなく、虫が苦手、虫がいる植物も苦手、といった方も多く参加されます。今回も初めは保護者の後ろに隠れ、「(虫が)怖い」と言う子どもが何人かいました。しかし、観察会後半にもなると、自分の見つけた昆虫を得意げに手で持って講師に駆け寄る子どもが大半になり、その姿を写真に収める保護者も笑顔でいっぱいになります。また、鳥の声に耳を傾け、小さな花をじっと見つめる子どももいます。

  この変化は、講師が公園の動植物がそこに生きている理由を丁寧に話し、命の営みの大切さを伝えた結果、参加者自身も“同じ生き物”として自然を感じて心を開くからではないでしょうか。自然観察をイベント後も楽しんでいるというお声を聞くたび、とても嬉しく思います。

  昨年度の2024年9月7日(土)には、千葉大学応用昆虫学研究室の野村昌史教授を講師に招き、研究室の学生さんたちと共に、初秋の昆虫観察会「北の丸公園自然観察会~たっぷり昆虫の巻~」を開催しました。  先生はNHKの子ども向けの昆虫番組にも携わった方で、自然観察会も数多く手がけています。今回は、北の丸公園を巡りながら昆虫の解説を聞いた後、草むらで自由に観察をしました。昆虫の捕まえ方、観察の仕方など昆虫愛たっぷりの講師陣から説明を受けた参加者は、どんどん虫の世界に引き込まれて行くような雰囲気でした。さらに、研究室から持ってきてくださった珍しい昆虫たちにも触れた参加者たちは大興奮。未来の昆虫学者が生まれるかもしれませんね。 

〈科学技術館運営部 高橋 葉子〉