「ゴジラサイエンス展~脅威に科学で立ち向かう~」リポート
1954年の『ゴジラ』の誕生から70年余。ゴジラは、単なる“怪獣”ではなく、戦争や核、環境破壊や自然災害、さらには人間のエゴといった、さまざまな人類の脅威を映し出す “時代の鏡”として、常に現実と地続きの物語を紡いできました。2026年1月、科学技術館ではゴジラを科学の目で解剖・考証し、防災科学や先端科学の観点から未来の提言を行う特別展「ゴジラサイエンス展」を開催し、4万人もの来場者数を記録しました。同展リポートでは、世代を超えて人々を惹きつけるゴジラのメッセージを見つめ直しながら、私たちが科学技術力をたずさえて進むべき未来のありかを探ります。

ゴジラ×科学技術をテーマに
「もし、今、東京にゴジラが上陸したら」。―1954年に上映された『ゴジラ』(製作・配給:東宝)では、科学の副作用として誕生し、人類が抗えない脅威=ゴジラが描かれています。ゴジラシリーズに登場する怪獣たちは、猛威を振るう災害のメタファーとしても表現されており、人類が科学技術を駆使して立ち向かう物語が紡がれてきました。
ゴジラ作品の中で描かれた科学や現実の防災科学を多角的に深掘りし、未来の安全・安心な暮らしを支える科学について考える、エンターテインメントと科学教育が融合した特別展「ゴジラサイエンス展~脅威に科学で立ち向かう〜」を、2026年1月15日(木)から27日(火)までの13日間、科学技術館1階イベントホール及び2階特設会場にて開催しました。開催にあたっては、企画・制作は当財団・科学技術館と株式会社乃村工藝社が担当し、東宝株式会社に全面的に監修をいただきました。
ゴジラという人気コンテンツと科学技術を掛け合わせた本イベントには、老若男女問わず幅広い世代の来場者が訪れ、防災・減災・予測に対する意識向上に加え、科学技術への理解と期待の醸成に寄与しました。特に家族連れの来場が多く見られたことは、次世代への教育的効果という観点からも意義深い結果となりました。

怪獣の脅威と災害を重ね合わせ、防災科学を紹介
展示は、「ゴジラから知る科学技術」、「怪獣が起こす脅威」、「ゴジラ対策と防災科学」、「大怪獣と未来の科学」の4つのテーマと特別プログラムで構成しました。
1954年の『ゴジラ』から最新作までに描かれた科学技術の進歩や、その背景にある社会課題を、ゴジラの立像展示や作品ビジュアルを通じてフィクションの視点から紹介しました。特別体験プログラムでは、ラドンが引き起こす強風による災害を解説し、大型送風機を用いた強風体験を実施したほか、ゴジラによる地響きを地震と比較して説明し、起震車による地震体験を行うなど、怪獣の脅威と自然災害を重ね合わせながら、防災科学を体感的に学べる展示を展開しました。
さらに、ゴジラ作品における東京上陸の描写を参考に被害状況を想定し、各種防災科学の対応ステップをシミュレーションとして紹介しました。また、高所作業や災害現場で活躍するロボットや最新ドローン技術を取り上げ、映画に登場する対ゴジラ兵器と、現実の防災ロボット・先端技術を比較する展示も行いました。加えて、漫画『ゴジラ ギャラクシーオデッセイ』(漫画・石口十、秋田書店「ヤングチャンピオン」、「ヤンチャンWeb」連載中)とのコラボレーションによるオリジナル漫画も、特別展の一部として展示しました。
来場者は延べ40,000人超。第2弾を期待する声も
特別展に参加された方々のアンケート結果やSNSには、多くの好意的な意見が寄せられ、企画内容への関心の高さがうかがえました。とりわけ、「ゴジラ」を題材に防災科学を扱った点への評価が高く、再開催や全国巡業を望む声や、第2弾を期待する声が数多く寄せられました。開催期間中の特別展会場への延べ来場者数は40,000人を超え、土日4日間における科学技術館の平均入館者数は約3,200人、最多入館者数は約3,600人となるなど、非常に多くの方にご来場いただきました。
こうした来場者数の多さや高い評価は、本特別展の満足度の高さを示すものだと感じています。今後も「科学技術×エンターテインメント」という視点で新たな企画を展開し、社会全体の課題解決に寄与していきたいと考えています。
※この特別展は、公益財団法人JKAによる競輪の補助を受けて開催しました。
〈 総務室 八木 博之〉