ニッポンの産業技術50年 「しくみとくふうと、まなぶ展」
科学技術館2階イベントホール 2015年3月20日(金)~2015年4月7日(火)
身近な工業製品である家電やクルマを通して、暮らしを変えるときにモノづくりがたどった進化のみちを、単に振り返るのではなく、①つくれる②ひろまる③つなげる④くみこまれる⑤まとまる⑥おいもとめるの6つの視点でこれからの未来を考える試みの特別展でした。
展示は、国産初の電気洗濯機「東芝SolarA」電気冷蔵庫、「SS-1200」、50年前に日本が世界で初めてつくったオールトランジスタ・ダイオード電子式卓上計算機「シャープ・コンペットCS-10A」、いまや世界も注目する“軽自動車”の先駆けとなった「スバル360」などのほか、カーボンファイバー繊維強化プラスチック(CFRP)のボディをまとった次世代型EVコンセプトカー「東レ“TEEWAVE”AR1」を期間限定で展示しました。そのほか、「手回し計算機の体験ワークショップ」、「家電の解体ショー」などを開催しました。
特別展のみどころ
つくれる
「自ら作り上げることができること」の価値に焦点をあて、初めて国産に成功した家電を紹介したゾーンです。
海外の技術をもとにつくられた「日本初の電気洗濯機」、「日本初の電気冷蔵庫」「初期の電気掃除機」と試行錯誤のうえに誕生した「日本初の自動式電気釜」など、「しくみ」を手に入れ「くふう」加えていくことによって、日本が自分で作り上げた、はじめての家電を展示しました。
ひろまる
「多くの人たちが使うようになる」ことの価値に焦点をあて、「三種の神器」と言われた普及期の家電を紹介したゾーンです。
1950年頃人気だった「洗濯機」、1960年頃の「リモコン付き白黒テレビ」、普及率が95%を超えて保有世帯あたりの台数も1台を超えてきたころの「カラーテレビ」を展示しました。
ニッポンの産業技術50年で実施した「家電&のりものWebアンケート(2014年)」で、“あなたにとって欠かせない家電はなんですか?”とたずねたところ、1位:冷蔵庫、2位:洗濯機、3位スマホ/携帯電話、4位テレビ・・・という結果でした。
つなげる
「人や物事を結びつけること」の価値に焦点をあて、メディア環境を大きく変化させた黎明期のテレビ・ラジオ・電話を紹介したゾーンです。
1950年代から60年代の「真空管ラジオ」、急速に家庭に浸透しはじめた1960年代終わり頃の「家具調カラーテレビ」、いわゆる黒電話「600形電話機」、ピッポッパッとよばれた「プッシュホン」、少し大きな「携帯電話1号機」、ビジネスマン向けに開発されたけれど女子高生の間でヒットした「ポケットベル」、保有率が90%超えたころの「携帯電話」を展示しました。
くみこまれる
「汎用的で強い要素技術がおこす革新」に焦点をあて、今日の情報化社会を生み出したデジタル演算素子の誕生を電卓の小型化を通して紹介したゾーンです。
1964年の「世界初オールトランジスタ電卓」、小型化が進んだ「LSI電卓」、省電力を実現した「液晶表示電卓」、カード電卓を展示しました。
まとまる
「さまざまな機能が統合集約される」ことの価値に焦点をあて、スマートフォンに取り込まれたさ機能を紹介したゾーンです。
スマホの機能をそれぞれ単体で持つものを集め展示しました。
展示したモノ:電話機、筆記用具、メモ帳、アドレス帳、電卓、路線図、付箋紙、時計、カレンダー、漫画、電話帳、カメラ、フォトスタンド、新聞、情報誌、レシピ集、バーコードリーダー、タイマー、リモコン、懐中電灯、パソコン、レターセット、絵の具、地球儀、スタンプ、ゲーム機、音楽プレーヤー、楽器、カラオケ、地図、辞書、テレビ、ビデオカメラ、チケット、方位磁石、アラーム時計、インスタントカメラなど。
ニッポンの産業技術50年で実施した「家電&のりものWebアンケート(2014年)」で、“あなたがスゴイと思った家電はなんですか?”とたずねたところ、スマホは1位に輝きました。
おいもとめる
「時を超えて追求し続ける価値」に焦点をあて、自動車の安全性と軽量化を追求するために使われている、50年前と現代の先端技術紹介したゾーンです。
カーボン繊維強化プラスチック(CFRP)を使って軽さと強さを追い求めた次世代電気自動車コンセプトカー「TEEWAVE AR1」(期間限定展示)、およびクルマやモーターサイクルに使われているカーボン部品、そして現在世界からも注目されている日本の“軽自動車”の先駆けとなった1958年登場の「スバル360」を展示しました。これらは、どちらも航空機の技術につながっています。
ニッポンの産業技術50年で実施した「家電&のりものWebアンケート(2014年)」で、“クルマを選ぶときに大切にしたいポイント”をたずねたところ、ベスト3は「安全性」「デザイン」「走行性能」という結果でした。
みんなの賞
産業の発展・進化を「つくれる」「ひろまる」「つなげる」「くみこまれる」「まとまる」「おいもとめる」の6つの視点で見渡し、振りかえることともに、各コーナーの視点を来場者と共有し、来場者自らが考える場を展示としました。
来場者は自らのアイデアを専用の用紙に記入することができ、そのアイデアは展示として掲示されるようにしました。加えてその内容に共感できるものにシールで投票できる形を試みた結果、展示そのものに対話性を持たせることができました。
ワークショップ
体験!手回し計算機
電卓以前の計算する道具として使用していた手回し計算機の構造や仕組みを説明するとともに、実際に使って計算する体験ワークショップを随時開催しました。
開催日時 | 会期中随時 |
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講師 | 東京理科大学学生スタッフ |
さんかくテーブルの手法を用いたワークショップ
テーマ:「わたしたちの生活とロボット」について
~自分はどう考える?他の人の考えも聞いてみよう!
産業技術の発展のひとつの形としてあげられるロボットが、そう遠くない未来の日常生活に何をもたらしてくれるのか?「わたしたちの生活とロボット」について、参加者同士話し合うワークショップを開催しました。
開催日時 | 2015年3月29日(日) 1.午前の部 10:00~11:30 2.午後の部 13:30~15:00 |
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特別協力 | 科学技術振興機構 科学コミュニケーションセンター、東芝未来科学館 |
家電解体ショー
ステージを取囲んで、講師の解説とともに解体される家電(液晶テレビ、電子レンジ、洗濯機)の中身を見ていくワークショップを開催しました。
開催日時 | 2015年4月4日(土) 1.午前の部 10:30~11:30 2.午後の部 14:00~15:00 2015年4月5日(日) 1.午前の部 10:30~11:30 2.午後の部 14:00~15:00 |
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講師 | 神奈川工科大学 創造工学部の先生 |
特別協力 | 神奈川工科大学 創造工学部 |
開催概要
会期 | 2015年3月20日(金)~2015年4月7日(火) |
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会場 | 科学技術館 2階 イベントホール (東京・北の丸公園) |
開館時間 | 9:30~16:50(入館は16:00まで) |
休館日 | 会期中無休 |
観覧料金 | 科学技術館入館料のみ |
交通 | 【東京メトロ東西線】 T-08「竹橋」駅下車(1b出口) 徒歩約550m T-07「九段下」駅下車(2番出口) 徒歩約800m 【東京メトロ半蔵門線】 Z-06「九段下」駅下車(2番出口) 徒歩約800m 【都営地下鉄新宿線】 S-05「九段下」駅下車(2番出口) 徒歩約800m |
主催 | 公益財団法人日本科学技術振興財団・科学技術館 |
協力 | NTT技術史料館、神奈川工科大学、シャープ株式会社、 東京理科大学近代科学資料館、東芝未来科学館、東レ株式会社、東レ・カーボンマジック株式会社、 富士重工業株式会社(五十音順) |