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第11回「家電の技術2」編 2/2

デジタル時代にレーザーが大活躍!

レーザーは発明されてからまだ50年ほどしかたっていませんが、すでに私たちの身の回りでたくさん見かけるようになりました。レーザー光は波長(色)や位相がそろった特殊な光です。

レーザーが使われている家電製品といえば、最初に思いうかべるのはCDやDVDのプレーヤーではないでしょうか。プラスチック製の盤面に記録された微細な凹凸に赤色レーザー光を照射し、反射光からデータを読み取っています。また、光の波長が短くなるほどより細かく情報を読み書きすることができる性質があるため、赤よりも波長の短い青色レーザー光を使って記録容量をDVDの約5倍に増やしたのがBD(ブルーレイディスク)です。


その他、レーザープリンターや講演の時などに使われるレーザーポインター、ビルの壁面に映像を大きく映し出すプロジェクションマッピングにもレーザーを加えたレーザーマッピングが登場したり、医療用のレーザーメスや商店のレジにあるバーコードリーダーなど、レーザーは幅広い機器にも使われています。


そして、デジタルデータの送受信に欠かせない光通信にもレーザーの光が使われています。純度がとても高いガラスでできた細い光ファイバーの中をレーザー光が通って、大量のデータを高速で運んでいるのです。インターネットをはじめ、光回線を通じてレーザー光が世界中を駆け巡っています。


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(出典:新エネルギー・産業技術総合開発機構『NEDOプロジェクト実用化ドキュメント』)
CDやDVDと大きさは同じ(直径12センチメートル、厚さ1.2ミリメートルの円盤)ですが、BD(ブルーレイディスク)は、その名のとおり青色の半導体レーザーを使って記録・再生を行なう大容量ディスクです。CD→DVD→BDという開発において、より波長の短いレーザー光を利用することで大容量化が実現しました。

水や空気をきれいにする光触媒が、家電製品にも !

光触媒という名前を聞いたことがあるでしょうか。これは、光を当てることで特定の化学反応が起きる助けをする物質で、代表的な光触媒としては塗料やインクに広く使われている酸化チタンが知られています。

光触媒の研究では、1972年に発表された本多-藤嶋効果が有名です。これは、酸化チタンに光を当てることによって、水が酸素と水素に分解される作用を発見したもので、世界中で光触媒の研究が盛んになるきっかけとなりました。現在では、さまざまな分野へ光触媒が応用されています。


酸化チタンには、光が当たると強い酸化力を発揮して有害な物質を分解する作用があるため、水や空気の浄化にはじまり殺菌、抗菌にも利用されています。また、親水性を利用することで曇り止めや表面を浄化する働きも得られます。

これらの作用を生かして、エアコンや空気清浄機、掃除機、冷蔵庫などの家電製品の脱臭フィルターなどにも光触媒が使われています。また、照明器具やガラス、タッチセンサーなどの表面に塗布して、抗菌作用を発揮させています。


さらに、病院の手術室の壁や床に光触媒を使ったタイルやガラスを用いることで空中の浮遊菌を減らしたり、自動車の排出ガスに含まれる大気汚染物質の浄化に役立てるために、光触媒を表面にコーティングしたガードレールや道路の防音壁を設けたり、洗浄が簡単ではない建物の汚れを落としやすくするために、光触媒材料を表面にコーティングした外装建材などもあります。これからも、新しい用途が開発されていくことでしょう。