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第9回「磁石とのりもの」編 2/2

これからの電気自動車は、バッテリーがカギ !

磁石とのりものについて見てきましたが、のりものを動かすためにはエネルギーが必要です。電車やエレベーターは外から供給される電気を使っていますが、電動自動車やハイブリッド自動車、電動アシスト自転車は、搭載した充電式バッテリーの電気を使います。


電気自動車が本格的に普及していくためには、より長い距離を走れるバッテリーがカギだといわれています。そのため、世界中でリチウムイオン充電池などの高性能なバッテリーの研究が進められています。

目標は、1回のフル充電でガソリン車なみに500km以上走れるようにして、しかもコストを下げることです。


また、電気自動車は自宅や充電スポットの電源にケーブルをつないで充電しますが、ワイヤレス給電も実用化目前というところまで来ています。これは、地面に埋め込まれた送電コイルの上に駐車しておくだけで、直接自動車に触れることなく車載の電池が充電されるというもの。わざわざケーブルをつなぐ手間が不要です。さらに、この送電コイルを道路に連続して埋め込んでおけば、そこを走行するだけで充電ができるシステムまで海外では研究されています。

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ハイブリッド自動車は、ガソリンエンジンとモーターのよいところを組み合わせて、エネルギーをむだなく使って走らせるために、専用のモーターとバッテリーを積んでいます。上の写真の色線で囲まれた部分が専用のバッテリーで、主に「ニッケル水素充電池」や「リチウムイオン充電池」が使用されています。
(写真:科学技術館2階 ワクエコ・モーターランド 展示室)

いっぽう、水素と酸素で発電してモーターで走る燃料電池自動車では、燃料の水素を3分間充填するだけで500km以上走ることも技術的には可能になりました。


のりものに欠かせないタイヤも、進化している !

のりものには、タイヤや車輪がつきもの。自動車の黒いタイヤはどれもほとんど同じように見えますが、実はここでも技術革新が進んでいるのです。


自動車はパンクしたときに備えてスペアタイヤを積んでいますが、最近はスペアタイヤのない車も増えているんですよ。そんな車には、パンクしてもタイヤ交換なしで数10km以上走れるランフラットタイヤが装着されています。


日本のメーカーのランフラットタイヤへの取り組みは、身体障がい者用自動車向けに、空気圧が低くなった状態でも安全な場所まで走行可能なタイヤとして開発に着手したのが始まりです。ランフラットタイヤにすることで、例えば高速道路の路側帯といった危険な場所でのタイヤ交換が不要になるとか、9割のスペアタイヤが未使用のまま廃棄されるという資源のムダ使いを減らすとか、スペアタイヤをしまっておく場所をなくすことで車内空間が広がり、車の軽量化による燃費向上にも役立つなど、多くのメリットがもたらされています。


初期のランフラットタイヤは、普通タイヤと比べて強度が高いために乗り心地が固いものでしたが、いまではほとんど同程度まで向上しています。

ランフラットタイヤを装着した自動車の多くはタイヤの空気圧低下をドライバーに知らせる内圧警報装置を搭載し、より安全に配慮しています。


また、燃費向上の面では、いまや新たに発売されるタイヤの半分以上が、業界が定めた基準をクリアした低燃費タイヤになり、地球環境の保全にも役立っているそうです。