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第5回「新幹線」編 2/2

黄色い新幹線を見たことがありますか?

黄色い新幹線、通称「ドクターイエロー」を知っていますか ? 名前を知っていても、実際に見たことがある人は少ないのではないでしょうか。

ドクターイエローとは、新幹線の線路を検査する「新幹線電気軌道総合試験車」のことです。車体が黄色く塗られているのでひとめで分かりますが、運行はおおよそ10日に一度といわれ、また時間も公表されていないため、めったに見ることができません。

ドクターイエローは新幹線開業の翌年に初代の「T1編成」が登場し、1974(昭和49)年の2代目「T2編成」から黄色い車体になりました。現在は「T4編成」と「T5編成」が交互に使われています。

ドクターイエローの役目は、安全で快適な新幹線の運行を支えること。東海道新幹線を270km/hで走行しながら、架線やレールの状態を測定したり、電気や信号の検査などを行っています。


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東京駅のホームで出番を待つドクターイエロー「T4編成」の後部(右) (写真:JR東海提供)

次の超高速交通システム、超電導リニア

東海道新幹線は1964(昭和39)年の開業以来、日本の3大都市圏である東京~名古屋~大阪を結ぶ大動脈輸送を担い続けています。そして、次の新しい超高速交通システムとして大いに期待され、JR東海により着々と実現に向けて準備が進められているのが超電導リニアによる中央新幹線です。

急に超電導リニアと言われても、??? ですよね。ではご説明しましょう。

まず、リニアモーターについて。普通のモーターは回転する軸の周りをコイルや磁石が取り囲む円筒形ですが、これを切り開いて直線状に並べたものと考えればわかりやすいかもしれません。通常、新幹線などの線路の側壁は防護や遮音のためのものですが、超電導リニアの側壁には推進コイルが取り付けられており、これに電流を流すと磁界が発生。その結果、車両に積まれた超電導磁石との間で吸引力と反発力が生まれて車両が前進します。つまり、側壁の推進コイルと車両の超電導磁石がモーターを構成しているというわけです。

さらに、側壁には浮上・案内コイルも設置されており、車両の超電導磁石が高速で通過すると、これに電流が流れて電磁石となり、車両を浮上させる力が発生します。超電導リニアは、地上から約10cm浮かんで走るのです !

では最後に、超電導について。これは、ある種の金属や化合物などを極低温まで冷やすと電気抵抗がゼロになる現象で、その状態が続く限り、そこに電流を一度流すと半永久的に流れ続けます。そのため強い磁力を得られることと大幅な省エネにつながるのです。超電導リニアでは液体ヘリウムを使って、なんとマイナス269度に冷却しているんですって !

超電導リニアは山梨リニア実験線の走行試験で時速581kmの世界最高記録を出し、技術は既に確立されています。中央新幹線の東京~名古屋の開業目途とされる2027(平成39)年が楽しみですね。

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超電導リニア L0系(写真:JR東海提供)

<参考文献>

「新幹線の30年 その成長の軌跡」東海旅客鉄道(株)新幹線鉄道事業本部、1995年
「東海道新幹線のあゆみ~「のぞみ」成長の軌跡~」東海旅客鉄道(株)新幹線鉄道事業本部、2005年
「東海旅客鉄道20年史」東海旅客鉄道(株)、2007年
「東海道新幹線」須田寛、JTB、2000年
「新幹線がわかる事典」原口隆行、日本実業出版社、2005年

■Webサイト
 東海道新幹線開業50周年特設サイト
 JR東海・ニュースリリース