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第1回「キッチンの家電製品」編 2/2

電子レンジが新幹線のビュフェ車で使われて話題に!

電子レンジの原理は、電波(マイクロ波)が食品に含まれる水分を加熱して温めるというもの。アメリカでレーダーの研究中にアイデアが生まれ、日本でも製造されるようになったのは1960年代からです。東海道新幹線のビュフェ車や東京オリンピック(1964年)の選手村で使われて、話題になりました。開館まもない頃の科学技術館にも展示されていたのですよ。

1970年代に入ると、一般家庭に広く普及し始めました。初めは「単に温めるだけなのに高価だ」という声もありましたが、冷凍冷蔵庫の普及と大型化に伴って冷凍食品の利用が大幅に増えたり、一家そろって食卓を囲むというライフスタイルが変化したこともあって、手軽に短時間で温められる電子レンジは欠かせない調理器具となっていきました。

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新幹線食堂車の調理室に備えられた電子レンジ。動かないよう、しっかりと台に固定されています。(写真:リニア・鉄道館提供)

また、温め終わるとチーンという音で知らせることから、「チンする」という新語も生まれましたが、現在の製品では電子音で知らせるため、あまり「チン」という音は聞かれないようです。

いまでは、「焼く」こともできるオーブン電子レンジや、センサーによって食物の温度や重さに応じて自動的に温める機能、ケーキやクッキーが焼けたり、スチームでヘルシーに加熱したりといったようにさまざまな機能が増えて、当初の「温めるだけ」から大きく進化しています。コンビニエンスストアの店頭や会社の給湯室など、いろいろなところに電子レンジが置かれていますが、フライドポテトや焼きおにぎりなどの自動販売機の中にも組み込まれていることに気付く人は少ないかもしれません。
※ビュフェ車:約半分が立食形式の食堂、残りの半分が一般の客室で構成された鉄道車両。


メリットが分かって短い期間で普及した電磁調理器

一見すると平らなツルツルのプレートなのに、鍋を乗せてスイッチを入れると加熱できる。電磁調理器(IHクッキングヒーター)というまったく新しいタイプのコンロは、1970年代にアメリカで実用化され、数年後には日本でも製造販売されました。
初めはコンセントにつなぐ卓上型がヒットしましたが、21世紀に入ってからは、システムキッチンと一体になったビルトインタイプが本格的に広まっています。

電子レンジが電磁波を使って食品自体を温めるのに対して、電磁調理器は磁力線によって金属製の鍋を温めるという原理的な違いがあります。

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中が見えるようにした電磁調理器。加熱用コイルの電線がグルグル巻かれているのがわかります。(写真:科学技術館巡回展示「マグネット展」より)

通常の電磁調理器では鉄製やステンレス製の鍋しか使えませんが、研究開発によってアルミや銅の鍋でも使えるオールメタル対応タイプも販売されています。

「火を使わないから安心」「吹きこぼれても清掃がラク」「室内の空気が汚れない」といった具体的なメリットがお年寄りや小さな子どもがいる家庭などの求めにマッチして、他の家電製品に比べて比較的短期間で受け入れられました。