ご挨拶

公益財団法人 日本科学技術振興財団
理事長 東原敏昭

日本科学技術振興財団は、1960年4月に「科学技術振興に関する諸事業を総合的に推進し、わが国の科学技術水準の向上に寄与する」ことを目的として、産官学の総意によって民間の財団として設立されました。これまでの歩みの中で、科学技術の理解促進と社会への啓発に尽力してまいりました。特に当財団の中核事業である科学技術館の運営においては、1964年4月の開館以来、延べ3,000万人以上の方々が訪れ、その数は着実に増え続けています。

当財団は、天然資源に乏しい日本において、知的好奇心を持った科学技術系の人材を育成することは将来の産業の発展に不可欠な要素であると考えており、今後もこれまでの事業と先達の志を受け継ぎ、青少年をはじめとする国民全体の科学技術および産業技術に対する関心と理解を深めるための環境づくりに取り組んでまいります。

数年前より、環境問題や少子高齢化などの社会課題を解決する取り組みが、行政だけでなく企業や市民にも求められています。私は、社会課題を解決するためには、一人ひとりが社会課題を自分事として考える主体性と、地域や時代ごとに異なる価値観を理解する共感力を持つことが必要であると考えます。また、これらの社会課題は、単独の企業や個人だけで解決できるものではなく、周囲を巻き込む力も求められます。そして、そのような社会に求められる人材を育てる環境が極めて重要であると考えます。

また、近年は、自ら考える当事者意識を磨くための初等・中等教育として、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術・リベラルアーツ(Arts)、数学(Mathematics)の5つの領域を対象に体験を通して創造性を育むSTEAM教育が注目されています。当財団の運営する科学技術館は、まさに科学技術の魅力や、「ものづくり」と「ことづくり」の喜びを実際に体験し、体感できる場であり、これからの社会において当財団が果たす役割は、非常に大きいと感じております。私たちは、時代の進む方向を見据え、政府が推進する科学技術振興事業と連携し、産業界からの積極的な支援を仰ぎながら、社会が求める人材の育成に貢献してまいります。

今後も皆様には当財団の活動に対するご理解とご支援を賜り、共に歩んでいくことをお願い申し上げます。私たちは、科学技術の振興と社会への貢献を追求する使命を胸に、一層の飛躍を目指して努力いたします。引き続きのご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。