自然と友だち


身近な生活の中の、小さな発見

 9月に入っても暑い日が続きます。人間ばかりか、自然の草花、生きものも、季節の乱れに戸惑い、活動リズムを狂わしているようです。今月もコロナの影響で遠出も自粛。身近な生活の中で見つけた小さな出来事と発見を被写体としてカメラに収め、お届けします。


撮影・解説:加納巌

加納さんに質問やメッセージをどうぞ。
http://www3.jsf.or.jp/mlmaster/



 

キベリタテハ 涼を求めて中央アルプスへ ツマグロヒョウモンの求愛 秋の花色違い ツユクサの多様な花姿
キベリタテハ 涼を求めて中央アルプスへ ツマグロヒョウモンの求愛 秋の花色違い ツユクサの多様な花姿
秋の花と秋の虫 アケビコノハの羽化 カタツムリの“濃厚接触” シオヤアブの捕食
秋の花と秋の虫 アケビコノハの羽化 雨に濡れるカマキリ シオヤアブの捕食



 





【キベリタテハ】
2020.8.16
最近見かける事の少なくなったキベリタテハに、今日、小横川上流の山道で出会うことが出来ました。飛翔の素早い蝶ですが、今日は舞い立つこともなく地上を移動していましたので、20分ほどゆっくりと写真を撮りました。
 日本では「高原の貴婦人」と呼ばれ、翅の表面全体の葡萄色に黄色い縁取り、その内側に一列に並ぶ美しいルリ色に輝く点線、肩の縁に散らした白い粉の姿から、アメリカでは「喪服のマント」と称され、イギリスでは「キャンバーウエルの美女」と呼ばれている蝶です。今日一番のナイス被写体でした。


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【涼を求めて中央アルプスへ】
2020.8.27
酷暑の下界を避けて、アルプスの涼気をと、急に思い立って中央アルプスの西駒ヶ岳へ行ってきました。ロープウエーで2900メートルの千畳敷カールへ、午前9時から午後2時まで、這松地帯を遊歩し、主に高山植物の花の撮影をしました。この間、生きものとしては、ベニヒカゲ蝶が沢山舞っていましたが、カメラの視界に止まることはほとんど無く撮影は困難、ようやく3コマを撮影、ヤマハハコグサで吸蜜するミツバチそっくりなハナアブ1匹と、案内板で日光浴をするカワゲラ1匹、それにホテルの建物の周りを飛び交うイワツバメ2〜3羽を見るだけでした。花は20種類余を撮影することが出来ましたが、午後になって霧が濃くなり視界がきかなくなったので帰りました。


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【ツマグロヒョウモンの求愛】
2020.8.29
フジバカマの花で吸蜜しているツマグロヒョウモンのメスに、オスが近づいてきました。メスはそれを避けて地面に舞い降りました。するとオスはメスを追いかけて交尾をしようとしますが、メスは尻を上げ、執拗に交尾を迫るオスに拒絶反応を示し、結局交尾は成立しませんでした。


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【秋の花色違い】
2020.9.2
同じ花でも、色違いをよく見かけます。今日はそんな花を選んで対比しました。
ススキの穂
ツリフネソウ キツリフネ
オミナエシ オトコエシ
キキョウ


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【ツユクサの多様な花姿】
2020.8.23
昨夜の雨に濡れたツユクサのブルーが、ひときわ鮮やかでしたので、足を止め写真を撮りました。
 この花、真っ正面から見ると、マンガに出てくる耳の大きなネズミの顔のようにも見えたり、横から見ると、おどけた人の顔に見えたり、長いベロを出したお父さんの顔に見えたり、色々と角度を変えて見ると、それぞれに変わった趣があり、花が2つ、あるいは3つ重なりあっているもの等、多様な花姿に暫し、その場を離れることが出来ませんでした。


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【秋の花と秋の虫】
2020.9.8
白いキキョウの花に、セスジツユムシが止まりました。秋の花と、秋の虫、格好の秋の風情です。


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【アケビコノハの羽化】
2020.8.14
7月27日に、友達がアケビコノハの幼虫を2匹持ってきてくれ飼育していましたが、7月30日に蛹化し、今日8月14日に羽化しました。翅を閉じて木の幹に止まると、枯れ葉と見間違いますが、翅を開くと後翅が明るいオレンジ色に黒い渦状の紋様があり、裏面は前後翅共、全体に明るいオレンジ色をしています。もう一匹は現在蛹中です。
幼虫
蛹化
羽化
木の幹に止まる
後翅の模様
翅の裏面の模様


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【雨に濡れるカマキリ】
2020.9.3
庭の赤いケイトウの花に、翅が少し傷んだカマキリか乗っていました。急な雷雨で濡れた雨露を、鎌でせっせと拭っていました。


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【シオヤアブの捕食】
2020.8.17
思いも掛けないような事が、今日、目の前で起きました。蝶の写真撮影をしていて一休みと林の入り口で腰を下ろしていたところ、手の上に何かが舞ってきて止まりました。見るとシオヤアブが蛾を咥えて指先に止まっているのです。ごく近くで今捉えたばかりなのでしょう、蛾はまだ生きていて足を少し動かしていました。それにしても何故、木の枝や草の葉の上に止まるのではなく、あえて私の手袋をはめた指先に来て止まったのでしょう。
顔を近づけても逃げようとしません。自分より体の大きな蛾の頭の部分を囓っていますが、他のシオヤアブには無い目の下の赤い斑点はダニと思われます。
 暫くそっと見ていましたが、舞い立とうとしませんので体に触ったら、蛾を重たそうに抱えて舞い立ち、近くの木の枝に移動しました。人の指先に止まって捕らえた獲物を食べるなんてことは考えられないことでしたが、このことが目の前で起こりました。


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