自然と友だち


身近な生物にみる驚き

 信濃路も、山が紅葉から落ち葉の季節となりました。今月も、身近な昆虫で、思いもよらぬ不思議な行動を目にし、驚きと感動を覚えましたのでお届けいたします。


撮影・解説:加納巌

加納さんに質問やメッセージをどうぞ。
http://www3.jsf.or.jp/mlmaster/



 

はじける 返り咲きの花 小春日和の公園の散策 早くも小鳥がやって来た ナナホシテントウ
はじける 返り咲きの花 小春日和の公園の散策 早くも小鳥がやって来た ナナホシテントウ
畑の中のコケ ルリタテハの寄生バチ アゲハチョウの蛹化 エビガラスズメの蛹化 首を食いちぎられたカマキリの交尾
畑の中のコケ ルリタテハの寄生バチ アゲハチョウの蛹化 エビガラスズメの蛹化 首を食いちぎられたカマキリの交尾



 





【はじける】
2019.11.9
ガガイモの莢がはじけ、真っ白い綿毛の種子が舞いだしてきました。風もないのに軽やかに、ふわふわと舞う姿を、謎の生物「ケサランパセラン」は、このガガイモを指すと言われ、綿毛が全部舞い出た後の莢は、日本神話で、大国主神の国作りの手伝いをした神様(スクナビコナ)が乗ってきた舟(アマノカガミ舟)だとされています。
 一方、枝からぶら下がるように鈴なりになった果実がはじけて、真っ赤な実が顔を出してきたマユミ。マユミの木は柔軟性があり、よくしなるので弓の材料になったことから「真弓」と名付けられたとも言われます。


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【返り咲きの花】
2019.11.5
11月に入り、よい天気と暖かい陽気が続いたので、あちこちの木に「返り咲き」の花が見られます。
 町内北大出の公園のサクラの老木には、春の花とは違い、白く小ぶりの花が散り咲いていて、伊那市の春日城址に植えられた沢山のツツジ株の中の一株だけが返り咲きの花で赤く色づいていました。町内小横川の松林の入り口にあるヤマツツジの藪には赤い花が乱れ咲いています。一方、庭のサツキの枝にはピンクのはなやかな花が数輪咲き、注意して見るとネコヤナギの繁みの中に一本だけ赤く色づいた枝があり、その先に白く可愛らしい花が秘めやかに咲いています。


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【小春日和の公園の散策】
2019.11.4
天気がよいので、辰野町の町内の蛍公園内を散策してみました。水の少なくなった池には、ハスの茎が枯れて折れ、大きな枯れ葉を泥の上に伏せるように載せており、池のほとりにあるウラジロナナカマドの真っ赤な実は美しく輝いていました。生け垣のムラサキシキブの枝には、濃い紫色の実が連なり、ヘクソカズラの黄色い実も絡んでいました。コナラの枝にはドングリがなっており、松の枝先にはマツカサも付いていました。葉の落ちた柿の木の梢にはオレンジ色の柿の実が沢山なり、秋の陽を受けて光っていました。ひときわ目を惹いたのは、黄色く丸い実をぎっしり付けたタチバナモドキです。
 公園内の一角には、「赤とんぼの歌」を刻んだ石碑があり、そこに赤とんぼが止まって陽の光を浴びているのも見られました。また公園内には、お年寄りのご夫婦が寄り添って歩いている姿や、子供をつれたお母さんの姿も見受けられ、私はそんな心和む様子を見ながら、カメラを片手にゆっくりと園内を散策することが出来ました。


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【早くも小鳥がやって来た】
2019.10.30
今年の冬も、小鳥たちが庭にやって来てくれるかと期待し、餌の調達をしていますが、10月30日快晴の天気に早くもヤマガラとシジュウカラがやって来ました。設置した餌台でヒマワリの種を啄んでいます。


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【ナナホシテントウ】
2019.10.28
暖かい陽射しにナナホシテントウが這い出してきているのを見つけました。暫く実の落ちたどんぐりの帽子のまわりで遊んでいましたが、翅を広げて舞い立っていきました。


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【畑の中のコケ】
2019.10.24
町内の農家の方から「畑に沢山のコケが生えていて花が咲いている」との電話があり、早速行ってみました。2キロほど離れた農家の主婦の案内で、近くにある畑に行くと、畑の一画が淡いピンク色に覆われており、一見コケとは思われませんでした。腰をひくくして顔を近づけてみると、小さなコケのようで、よく見ると緑の小さな葉があり、花が咲いているようでした。主婦の方は「これまで気づかなかったが、今年は何か畑が赤く染まっているようなのでよく見たら、ぎっしりコケみたいなものが生えていて花が咲いているようなのでお電話をしました」とのこと。なるほど立ってみると、ピンクの細かい粒を巻いたようにその一画は見えます。
 写真に撮り、一部を家に持ち帰りルーペで拡大して見ますと、緑の葉の先にピンクの花が咲いているように見えます。コケには全く無知な私ですので、図書館に行き図鑑で調べて見ましたが、名前など判りません。どなたかお判りの方がいらっしゃったらお教えください。


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【ルリタテハの寄生バチ】
2019.10
サルトリイバラにいたルリタテハの幼虫の体から、体長2ミリほどのウジ虫が這い出してきました。10数匹のウジ虫が体から這い出しているのに、ルリタテハの幼虫は痛くないのかじっとしており、這い出してきた穴も見当たりません。這い出してきたのはタテハサムライコマユバチと云う寄生バチの幼虫でした。這い出してきた寄生バチの幼虫は一カ所に集まり共同で繭をつくり、その中に入って蛹となりますが、不思議なのはその繭を、ルリタテハの幼虫が抱きかかえて守っていることです。繭を棒などでつつくと体をひねってあの鋭い棘で攻撃してきます。我が身に寄生し、体を破って出てた寄生バチの幼虫が作った繭を抱え、自らは蝶になれずに死ぬと云う、いかにも不思議で驚く関係、習性を目の当たり見ることになりました。
①サルトリイバラにいるルリタテハの幼虫
②体を破って這い出す寄生バチの幼虫
③繭を抱き抱えるルリタテハの幼虫
④完成した繭の外形
⑤繭を割ると蛹になる部屋が綺麗に並んでいます


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【アゲハチョウの蛹化】
2019.10.31
飼育中のアゲハチョウが、総て蛹化しました。数えるとキアゲハ32個、ナミアゲハ15個、オナガアゲハ19個の計66個の蛹が出来ました。蛹化で気づいたことは、幼虫が蛹になる場所を探して移動しているとき、何故かすでに蛹になっている蛹の側に近づく傾向が見受けられました。写真のように①2匹が仲良く並んで蛹になったり、②蛹の上に乗って二重の蛹になったり、③一本の木の枝によりそって5個の蛹を作ったりしました。
 これらの蛹は「蛹で越冬」をしますので、11月になったら総て軒下のネット囲いの中に収容します。このまま家の中に置くと、暖房を入れ室温が上がると、春が来たと勘違いして、1〜2月頃羽化するおそれがありますので戸外に移し管理していきます。
 これらの蛹が果たして何個、来春無事羽化して蝶になってくれるか心配ですが、楽しみでもあります。


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【エビガラスズメの蛹化】
2019.10.19
庭のアサガオの葉にいたエビガラスズメの幼虫を捕って飼っていたところ、10月8日、用意していた植木鉢の土に潜り始め、約25分で完全に土の中へ潜り込みました。ところが何故か、折角苦労して土の中に潜ったのに10月14日、再び土の上に這い出してきていました。どうするのかと見ていたところ、16日には体の色が茶色く変わり始め、19日には全体が綺麗な茶色の蛹の姿になりました。本来土の中で蛹になるはずなのに、何故土の中から出てきて蛹になったのか不思議です。再び土の中へ潜ることは出来ないので、このまま土の上で越冬出来るのか心配ですが、このまま様子を見ることにします。


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【首を食いちぎられたカマキリの交尾】
2019.10.21
今日は、家の中に入ってきていたカマキリが、いとも不思議と云うか、驚きの様子を目にしましたのでお知らせいたします。
①オスカマキリの後ろから、メスカマキリが、そっと近づいていました。
②オスカマキリがそれに気づいて逃げようとし羽根を広げた瞬間、メスカマキリは飛びかかり、鎌でオスカマキリを捉えました。
③メスカマキリは、すぐに捉えたオスカマキリの首を食いちぎりました。首と胴体が別々になったオスカマキリの下半身が、本能的というのでしょうかメスカマキリの背に乗って交尾行動を取り始めました。オスカマキリの下半身は、盛んにメスと交尾が出来る尻の部分を探していました。そして、とうとう交尾をいたしました。メスカマキリは、そんなことには一切関知せず、食いちぎったオスカマキリの頭部を食べ続けていました。
この後、残念なことに急用が出来、続きを見続けることが出来ず外出し、4時間後に帰宅して見たら、交尾をしたオスカマキリの下半身も食べたのでしょう、羽根と目、足一本が下の床に落ちていました。メスカマキリは、近くにあった虫籠の上にとまってじっとしていました。
メスカマキリが、オスカマキリを捉えて食べる様子、共食いは時折見かけますが、首を食いちぎられたオスカマキリが、下半身だけの感覚で交尾をするなんて考えもしませんし、大きな驚きでした。生きるため、子孫を残すために、自然界ではこんな厳しい、また神聖な行為がおこなわれていることに驚き、感動もし、賞賛の気持ちを持ちました。


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