自然と友だち


秋の生き物の不思議な生態記録

 秋の澄んだ青空に、白いすじ雲が流れる爽やかな季節になりました。今月は、秋の信濃路の自然と、身近な生き物の不思議な生態記録を撮りましたのでお届けいたします。


撮影・解説:加納巌

加納さんに質問やメッセージをどうぞ。
http://www3.jsf.or.jp/mlmaster/



 

乗鞍岳の一日 北沢峠のアサギマダラ クサグモの子誕生 秋の味覚
乗鞍岳の一日 北沢峠のアサギマダラ クサグモの子誕生 秋の味覚
川島の秋を訪ねる ジョロウグモの交尾 ジョロウグモの産卵
川島の秋を訪ねる ジョロウグモの交尾 ジョロウグモの産卵



 





【乗鞍岳の一日】
2019.10.9
台風19号到来前に、乗鞍岳へ行ってみようと、家を午前4時に出て友人の車で出かけました。 6時に乗鞍高原一ノ瀬で、日の出を迎えたので、「どじょう池」に立ち寄り、朝陽に赤く染まる乗鞍岳山頂が、池面に映る様子を撮影、続いて「まいめの池」では、岸辺に立つ白樺の木や、赤く色づいた葉が水面に映る絵模様を撮影、ここから登山バスに乗り換え山頂直下の「畳平」2702メートルまで行き、バスを降りて岩場の急な山道を約20分で「魔王岳山頂」2763メートルまで登りました。天気はよく風も穏やかでしたが山頂の気温は8度、防寒着で記念撮影をパチリ。
 眼下のさざ波の立つ「鶴ヶ池」の遙か彼方には「槍ヶ岳」も望まれました。すでにすっかり枯れた高山植物の中に、鮮やかなブルーのマツムシソウの一輪を見かけ、暫したたずみ疲れが癒やされました。
畳平のハイマツ地帯では、運がよければライチョウが見られるとのことでしたが、ライチョウは見ることが出来ず、代わりに岩に腰掛け狙うこととし、ハイマツの間を小走りに歩く小さなイワヒバリの姿と、ハイマツの上を舞うホシガラス、ハイマツの下に隠れたり、ハイマツの赤い実を啄むホシガラスを400ミリ望遠レンズでとらえることが出来ました。
 快晴の一日、山登りの醍醐味を楽しんで、午後5時10分無事帰宅しました。


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【北沢峠のアサギマダラ】
2019.9.27
急に思い立ち、北沢峠へ、アサギマダラの撮影に出かけましたが、時期が遅く峠の付近ではフジバカマの花もすでに枯れ、アサギマダラは1頭も見ることが出来ませんでした。帰りにバス亭の仙流荘まで降りてきたら、庭に沢山のアサギマダラが舞っていたので撮ることが出来ました。


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【クサグモの子誕生】
2019.9.29
8月14日、綺麗な白い6角形の卵嚢を作り、糸で囲ったクサグモの卵嚢から孵化した子グモが出ているのを9月29日に気づきました。子グモたちは卵嚢から出たり入ったりしていますが、このまま来春まで、この卵嚢の中で共同で生活し越冬すると言われますので、それまでそっと見守り、保護して参りたいと思います。


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【秋の味覚】
2019.10.5
信州の、秋の味覚には沢山のものがありますが、その一部、最近手に入ったものを並べてみました。
マツタケ
コウタケ(香茸)
アケビ
クリ
ブドウ


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【川島の秋を訪ねる】
2019.10.7
久し振りに、川島(長野県辰野町にある旧川島村)へ秋の探訪に出かけました。多くの稲田は穫り入れを終えていましたが、一枚だけ穫り入れがされず、黄金色の稲穂が秋の陽に輝いていました(写真①)。
 コスモスが秋空に揺れ(写真②)、ナナカマドの赤い実が、鮮やかに色づいていました(写真③)。もう紅葉の始まった樹もあり(写真④)、山の栗は豊作で、拾う人もなく、下に沢山落ちていましたので、50個ほど拾ってきました(写真⑤)。
今日の、予期せぬ出会いは、今年一年あちこちで探していたキベリタテハに出会えたことです。全く偶然、道ばたの石の上にいるキベリタテハに目が止まりました。慌ててカメラを向け一枚だけ写真を撮ることが出来ました。すぐに舞い立ってしまいましたが、キベリタテハに出会えた幸運を胸にして家に帰り、早速パソコンに取り込みました(写真⑥)。


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【ジョロウグモの交尾】
2019.9.19
庭先で、ジョロウグモのメスが巣の真ん中にいて、近くにいるオスグモが徐々にメスグモに近づいている様子を見たので、その動向をカメラで追いました。
メスの交尾のチャンスは、メスが獲物を食べている時などですが、今日のメスは網の真ん中にじっとしていました。しかし間違ってもオスは前からメスに近づくことはいたしません。前から行くとメスに食べられる危険があるからです。後ろから徐々に近づいたオスは、頭の前の触肢でメスの後ろ足にそっと触り、更に近づき体に触って、メスの許容を確かめた後、腹の下にとりつきました。交尾の始まりです。クモの場合、交尾は尻と尻を結合させるのではなく、メスの生殖器はお腹の前の方にありますので、オスはメスのお腹に抱きつき、触肢の先にある精液をメスの生殖口に差し入れました。交尾時間は3分少々で、オスは交尾を終えると急いでメスから離れます。長くいるとメスに食べられる危険がありますが、かといってメスの側から離れようとはしません。それは同じ巣の中にいる別のオスがメスに近づいて再交尾をするおそれがあるため、それを追い払うためなのだそうです。


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【ジョロウグモの産卵】
2019.10.8
9月19日、庭でジョロウグモが交尾をしているのを見つけて交尾中から18日目、10月7日午前、メスグモのお腹が大部大きくなり、産卵も間近だろうと思い、網から離し家の中に移動させました。産卵は樹の枝分かれをしたところとか、割れ目などのくぼみに産卵する習性がありますので、プラスチックの中にそれに似せた格好の木を立て、その中にクモを収容しました。午後に見たら、ケースの中に入れたジョロウグモは、早速木に登りました。
10月8日朝、見たら木の分かれ目に、産卵を終えたのでしょう白い卵嚢を作って、その回りを糸で囲っていました。3時間ほどで卵嚢を覆い隠す作業を終えると、大仕事を終えた疲れでしょうか、側でじっとしていました。あれほど大きかったお腹もすっかりスリムになり、すっきりとした体型になりました。


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