自然と友だち


梅雨が明けて

 6月中の梅雨明けは関東甲信では記録にないとのことですが、西日本各地の雨による大きな災害に対しては心から御見舞い申し上げます。今月は身近で暑い中での自然や生き物のできごと、目にしたことをお届けいたします。


撮影・解説:加納巌

加納さんに質問やメッセージをどうぞ。
http://www3.jsf.or.jp/mlmaster/



 

メスアカミドリシジミ カタツムリの赤ちゃん ベッコウハゴロモの幼虫 クワコの幼虫 珍客の来訪と翌日
メスアカミドリシジミ カタツムリの赤ちゃん ベッコウハゴロモの幼虫 クワコの幼虫 珍客の来訪と翌日
イエユウレイグモの餌食 麦畑の中にヤグルマギクが沢山生える クモキリソウ 天竜川のアユ釣り
イエユウレイグモの餌食 麦畑の中にヤグルマギクが沢山生える クモキリソウ 天竜川のアユ釣り



 





【メスアカミドリシジミ】
2018.7.1
 7月に入り、例年この時期、辰野町雨沢の谷間でメスアカミドリシジミが舞い始めるので撮影をしようと出かけました。谷川の両岸にはマタタビの木が沢山あり白い葉が目に付きました。山道から細い道に入り10分ほど歩いたところに、メスアカミドリシジミの舞うところがありますが、蝶はシジミチョウの仲間なので小さく、普通に舞っているのではなくテリトリー確保のため見通しのよい木の枝の先端にいて、他の仲間が近づくと飛び立って追い払う動作をしますので、そこで初めて存在をたしかめることが出来ます。飛び立って相手を追い払うと元の位置に戻りますが、多くの場合、目の高さより高いところに止まりますので、あの綺麗に光る翅の表を撮ることは至難です。目の高さより低いところに止まるまで根気よく待つしかありません。2時間ほど持参の弁当を食べながら待ち何枚かの写真を撮ることが出来ました。毎年この蝶に会えるのを楽しみにしているので、今年も何頭かに会え、写真も撮ることが出来たので満足です。メスアカミドリシジミと言いますが、オスが光を受けると緑と言うより美しいブルーの輝きを見せます。


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【カタツムリの赤ちゃん】
2018.7.8
 雨上がり、カタツムリが葉の上に出てきました、よく見ると生まれたばかりの赤ちゃんカタツムリがそばにいました。大きさ2ミリ弱、2本の角を出して親に近づくかのように大きなカタツムリの顔の上に登りました。大きなカタツムリは何ら気にする様子はなく、赤ちゃんカタツムリは大きなカタツムリの頭の上をあちこち這っていました。


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【ベッコウハゴロモの幼虫】
2018.7.9
 庭の藤蔓に、今年もベッコウハゴロモの幼虫がいるのを目にしました。お尻の部分に白い毛が生えていて、束状にまとめていたり、大きく広げると光ファイバーの様に見えます。
 飛跳力があり小さい体で20〜30センチほど跳び、跳ぶ時にはお尻の毛を束のようにまとめ、着地するときにはこの毛をパラシュートのように広げ、着地の衝撃を和らげているようです。随分と器用なことをしますがこの毛はロウ物質で出来ており、人が触ると簡単にとれてしまいますが、しばらくするとまた生えてくるそうです。


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【クワコの幼虫】
2018.7.1
 昨日山道を歩いていて、目の前に糸でぶら下がった昆虫の幼虫がいて、下の葉の上に降りて歩き始めましたが、これまで見たこともないグロテスクな顔のような模様をした幼虫なので写真に撮り、幼虫はスーパーの買い物用ビニール袋に入れ家に持ち帰り、イモムシ図鑑で調べたら「クワコの幼虫」とわかりました。農家の飼っている「カイコ」の野生原種ということなので桑の葉を採ってきて飼ってみようかと思い、幼虫はビニール袋にいれて今朝見たら、袋の中に幼虫は見当たらず、よく見たらビニールの隅に黄色い糸を張って繭を作りその中にはいっていました。カイコの白い繭に比し、黄色い繭でしたので大事に保護し、成虫の蛾になるまで見守りたいと思います。


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【珍客の来訪と翌日】
2018.6.27
 気温30度の真夏日、珍しい昆虫が我が家にやってきました。庭にやってきたのは綺麗なアカシジミです。家の中には黒く大きな蛾が、図鑑で調べたらエゾスズメのようです。サンルームの床の上にじっとしていたのはコモリグモの仲間で、近くには親の背中から離れた小さな子グモが数匹いました。いずれも我が家ではこれまで見かけなかった珍客でした。
 しかし、その翌日この珍客に思わぬ事態が起きました。まずアカシジミですが翌日は雨降りのため、木の葉の裏で雨宿りでもしていたのでしょうか、運悪くクモに襲われ食べられているのを目にしました。コモリグモの仲間は、背負っていた子グモは総て離れ、床の上でこちらも運悪く大きなアカアリに襲われていました。両者とも命を奪われていましたが、エゾスズメは夜になって(8時40分)スタンドの灯りの下に出てきて、こちらは側に立てかけてある竹久夢二の「黒船屋」の絵を見ながら翅を休めていました。


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【イエユウレイグモの餌食】
2018.6.12
 朝起きたら、サンルーム内の花棚で、イエユウレイグモが網にかかったカメムシを、糸で絡めて動けなくして、体液を吸っていました。そのままそっとしておき、夕方6時頃見たら、クモは朝と同じ格好でカメムシの体液を吸っており、お腹は大きく膨らんでいました。


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【麦畑の中にヤグルマギクが沢山生える】
2018.6.10
  長野県伊那谷を縦断する国道153号線の上伊那郡宮田村を車で走っていて、広がる田園風景の中に異様な光景を目にしたので車を止めて近づいて見たら、黄色く色づいた麦畑の中に、青だの紫だのピンクのヤグルマギク(キク科ヤグルマギク属の花です。花の形がヤグルマに似ているので、当地方では通称ヤグルマソウと呼んでいます。園芸店でもその名で販売していますが、ヤグルマソウはユキノシタ科ヤグルマソウ属の多年草です)が群れ咲いているのでした。もちろん農家の方は麦を栽培していてヤグルマギクの種を播いたり、苗を植えたのではないのに何故こんなに沢山のヤグルマギクが生えてきたのでしょう。原因は不明とのことでしたので改めて村の農協を訪ね農業指導員の方にお話を聞きました。
  「何故この部分だけにこんなにヤグルマギクが生えてきたのか原因は確かではないが、一つには、昨年この畑にヤグルマギクが少し生えていたが気にするほどでなかったので抜き取りなどをしなかったため種が落ちて今年は沢山増えてしまった。あるいは肥料とした堆肥などにヤグルマギクの種が混入していたなどが考えられる。現地を視察して農家への指導は、出来ることなら根ごと抜き取ることが望ましいが、こんなに沢山生えていては困難と思われ、しかもすでに花は咲き種も出来ているので来年のことを考え、来年はこの畑での麦作はやめ水田とする。ヤグルマギクは稲の田植え前に除草剤(稲科には影響のない選別除草剤)により駆除し、出てきた芽は小さい内に抜き取るよう心がけることを当該農家に指導をした」とのことでした。
 観賞用としてはこの花は美しく、特に青い花はコーンフラワーブルーと呼ばれ最高級のサファイヤの色味とも言われてますが、農家にとっては大変な厄介ものとなっています。


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【クモキリソウ】
2018.6.30
 山野草図鑑を見ていたら、3年前に山野草の先生の案内で見た奇妙な形の花、クモキリソウが出ていました。珍しい花なのでもう一度現地でこの花を見てみたいと思い出かけました。小横川上流の檜林、急斜面を沢川にそって20メートルほど登ったところに到着しましたが、少し様子が変わっていてすぐには見つからず、あたりを探した結果見つけました。薄暗い林の中、5株花が咲いていて、花のない株も数株ありました。貴重な、しかも珍しい花型のクモキリソウが無くならずにあったことが嬉しく、しばらく腰を下ろして眺めました。図鑑では何故この花をクモキリソウと名付けたのか定かではないとありましたが、生きもののクモに似ているようにも感じますがキリの意味がわかりません。何はともあれ再会出来たことを喜び、感謝し写真を撮ってきました。


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【天竜川のアユ釣り】
2018.6.29
 梅雨の晴れ間、少し水量を増した天竜川で、腰上まで浸ってアユ釣りをしている方がいたのでちょっと立ち止まって見ていたら、早速大きな魚を釣り上げ腰の網ですくいあげました。あんな大きなアユが釣れるのかと思っていたら、釣り師の方が岸に上がってきました。近づいていき“大きなアユを釣ったようですね”と私が声をかけると、“アユじゃないブラックバスがかかったんだよ、友釣りをするためのタネアユを食べに来て針にかかったんだ、どうしようもない厄介ものの外来種で、今日はアユのかかりがよかったが、タネアユを食べられちゃったから仕方なく帰ることにした”と言って、ブラックバスとアユを手にして見せてくれました。網の中にはアユが10匹ほど跳ねていました。


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