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自然と友だち


身近な昆虫たちの物語

 信州の山には、もう秋の気配が感じられるようになりました。今月は、身近な昆虫たちを変わった角度で見て、写真に撮って物語風にまとめてみました。好奇心と忍耐をもっていろいろな挑戦をしてみた写真をお届けします。

撮影・解説:加納巌

加納さんに質問やメッセージをどうぞ。
http://www3.jsf.or.jp/mlmaster/



 

ニホンカモシカの親子 アサガオの花にカエル チョウの吸水 フクラスズメ ホソクビツユムシ
ニホンカモシカの親子 アサガオの花にカエル チョウの吸水 フクラスズメ ホソクビツユムシ
昆虫の舞い立ち カマキリの子がミツバチを捕らえる 白いカタツムリの出会い カバキコマチグモ遊ぶ カバキコマチグモ−その2
昆虫の舞い立ち カマキリの子がミツバチを捕らえる 白いカタツムリの出会い カバキコマチグモ カバキコマチグモ−その2



 





【ニホンカモシカの親子】
2017.7.16
 久しぶりに小横の山道で、ニホンカモシカの親子に逢いました。歩いている私に気づいて林の中に逃げ込みましたが、藪の中から私の方をじっと見ていたので、枝葉が邪魔になりましたが、なんとか写真を撮ることができました。


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【アサガオの花にカエル】
2017.7.21
 アサガオの花のステージで、小さなカエルのモデル写真を撮りました。
この中に入るの! こんなボーズですか?
横向きではどうです やはり正面ですか
ハイポーズ! 綺麗にとれました


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【チョウの吸水】
2017.8.2
 盛夏、納涼を兼ね、山路にチョウの吸水場面を撮りに何日か出かけました。チョウたちも暑さの熱中症対策でしょうか、道ばたの湿地で集団または単独で吸水をしているのをよく見かけます。そのいくつかをご紹介します。
ミヤマカラスアゲハとヤマキチョウ・タテハチョウの仲間 スジボソヤマキチョウ
コムラサキとヤマキチョウの仲間コムラサキ
コチャバネセセリとヤマキマダラヒカゲスジグロシロチョウとコチャバネセセリ
オオムラサキセセリチョウの仲間
クジャクチョウゴマダラチョウ
キベリタテハウラギンシジミ
ルリタテハスミナガシ


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【フクラスズメ】
2017.7.17
 6月27日、アカソの葉にいたフクラスズメの幼虫を捕らえてきて、ネット内で飼育し、幼虫、蛹化、羽化、成虫の過程を写真に撮りました。
6/27終齢幼虫7/6土の中に入り蛹化
7/17羽化して土の中から出てきた
少し翅を広げた


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【ホソクビツユムシ】
2017.7.21
 暑いのでホースで庭に撒水していたら、ヒマワリの花にホソクビツユムシがいましたので、熱中症にならないようにと霧状に変えて水をかけてあげました。長く伸ばしているヒゲ(触角)に、水滴が重たそうに連なり、喉も渇いているのか、葉の上の水滴を一生懸命舐めているので、その様子をマクロレンズで撮りました。家の中に入れキュウリを切って与えたら、おいしそうに食べました。


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【昆虫の舞い立ち】
2017.7.24
 ゴマダラカミキリとシロヒトリが、舞い立つ瞬間をカメラで捉えることができました。


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【カマキリの子がミツバチを捕らえる】
2017.7.26
 ヒマワリの花に小さな子カマキリがいました。そこへミツバチが蜜を求めて飛んできました。子カマキリはこれを見留め、さっと鎌を伸ばして捕らえました。通常カマキリはハチには手を出しませんが、まだ子供でハチの怖さを知らなかったのでしょう。早速食べ始めましたが、急に捕らえていたハチを手放しました。ハチに刺されたのでしょうか。数秒間の出来事でした。


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【白いカタツムリの出会い】
2017.7.25
 雨上がり、ブロック塀の上に2匹の白いカタツムリがいるのを見つけ、写真を撮りました。微笑ましい2匹のカタツムリのデート物語となりました。
(カタツムリは直接手で触らないようにしましょう)
2匹が出会いました 何やら話し合い
2匹は歩き出しました 随分高いところですね
誰もいないからと2匹は寄り添う 熱いいキッス!♡


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【カバキコマチグモ】
2017.7.29
  このクモは、極めて強い毒をもち、世界猛毒生物ランキング第6位にランキングされていますが、牙が小さく毒液の量が少ないため死に至ることはないとされています。しかし、噛まれると激しい痛み、腫れを生じ、ひどい時には頭痛、発熱、嘔吐などの症状が出ます。私は昨年このクモに噛まれ、病院の治療を受けましたが、その際このクモについていくつかの疑問を持ったので、今年あえてこのクモの観察に挑戦しました。もちろん細心の注意と対応をしてのうえでした。(皆さんは、絶対に手で触れないで下さい)
 カヤの葉を、ちまきのように折り曲げて作った産卵用の巣を30個ほど採ってきてサンルーム内で次のような観察をしました。
産卵用の巣  
体が樺黄色をしているのでカバキコマチグモと呼ばれます。
巣の中をのぞくと卵嚢が産み付けられており、母グモはこの巣の中に閉じこもり孵化してきた子グモの餌食となります。写真は子グモに食べられた母グモ
 不思議なことは、母グモは、巣の中で産卵し、そのまま同居して、その身を生まれてくる子供のたちの餌食となることになっていますが、意外なことに巣の中に茶色の繭が作られていることです。今回の調査でも、採ってきた30個の巣のうち7個の巣に繭が入っていました。資料で調べたら「カバキコマチグモに寄生するベッコウバチの仲間の繭」と判りました。カバキコマチグモが巣を作る前に体に生み付けられたこのハチの卵、幼虫を抱えたまま巣の中に入るので、ハチの幼虫は巣の中で母グモとクモの卵、幼虫を食べて成長し繭となり、羽化して外に出るのだそうです。
巣の中にあった繭、そばには、クモの堅い牙などが食べ残されていました。
繭を開いてみましたら、ハチの幼虫と思われる白いウジ虫が出てきました。まだ開かない繭があるので出てくるハチを確認するためガラスケースに入れ、見守っていきます。


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【カバキコマチグモ−その2】
2017.8.6
  7月29日に、ガラスケースに入れて寄生蜂が出てくるのを見ようとしていたところ、今朝、ガラスケースの中に沢山の小さな虫が這っているのを見ました。小さな虫は寄生蜂の繭の中から出てきているようですので、急遽繭をカミソリで開いて見ました。すると繭の中からごく小さなハチが出てきました。カバキコマチグモに寄生したベッコウバチの仲間の幼虫に、さらに寄生していたハチがいたことに大きな驚きと疑問が生じました。ベッコウバチの仲間は、クモに寄生し、そのクモはカヤの葉の巣の中に閉じこもっていたのに、いつ、どうやって巣の中のベッコウバチの幼虫に新たな寄生蜂が。産卵、寄生したのでしょう。クモに寄生したハチ、そのハチに寄生するハチ、自然界の生存競争の妙、したたかさに唯々驚くばかりです。そこで保管していた他の繭も開いて見ました。2つからはベッコウバチの幼虫が生きたまま出てきて、1つからは羽化直前と思われるハチの形をした死体が、残る3つからは再寄生をしたごく小さなハチが出てきました。結局今年はカバキコマチグモに寄生したベッコウバチの仲間の成虫を見ることが出来ませんでした。その代わり予期もしない、寄生蜂に寄生するハチ(名前はわかりません)がいることを知りました。
ベッコウバチの繭から出てきた、小さな寄生蜂
繭の中にいたベッコウバチの生きた幼虫 繭の中から出てきたベッコウバチの死体


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