自然と友だち


信州・夏の生きものたち

 自然の生き物を観察していて、いつも不思議な感動を覚えます。今月は、毒グモの観察をしていて、とても珍しい生態を目にしました。

撮影・解説:加納巌

加納さんに質問やメッセージをどうぞ。
http://www3.jsf.or.jp/mlmaster/



 

夏の花 シロツバメエダシャク 林の中の涼 キアゲハの産卵 オオムラサキの産卵
夏の花 シロツバメエダシャク 林の中の涼 キアゲハの産卵 オオムラサキの産卵
カバキコマチグモ−その1 カバキコマチグモ−その2 オナガドリ 自販機の珍客
カバキコマチグモ−その1 カバキコマチグモ−その2 オナガドリ 自販機の珍客



 





【夏の花】
2016.8.1
 梅雨が明け、夏の太陽が照りつける中、敢然と咲き誇る花を撮って見ました。
ネムノキ
ノウゼンカズラ
ヤブカンゾウ
ムクゲ
アザミ
ヤマユリ
グラジオラス
カンナ
ヒマワリ


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【シロツバメエダシャク】
2016.7.6
 朝、玄関前の外灯の下に、白い蛾が交尾中のまま落ちていましたので、カメラを近づけると、体の大きなメスが、体の小さなオスを曳きずるようにして移動しました。蛾の名前は「シロツバメエダシャク」でした。


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【林の中の涼】
2016.7.7
 七夕、35度の猛暑日、こんな時には林の中が一番と、小横川上流へ出掛けました。澤川の縁にある苔は、しぶきに濡れて緑が美しく、小っちゃなキノコも生やしていました。澤沿いの林の中には白いマタタビの花や、可愛らしいウリノキの花が涼しげに咲いていて、木漏れ日の射す少し開けた所には、色鮮やかなコムラサキ、サカハチ、オオミスジなどが、静かに翅を休めていました。
マタタビ
ウリノキ
コムラサキ
サカハチオオミスジ


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【キアゲハの産卵】
2016.7.27
 7月下旬、庭に植えた食草のボウフウの葉にキアゲハがやってきて、産卵をしていました。6月下旬に、我が家で羽化し舞い立っていったキアゲハが里帰りしたのでしょうか?
 


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【オオムラサキの産卵】
2016.7.21
 毎年この時期、オオムラサキの出る小横川上流の小屋へ今年も行ってみました。30分ほどあたりを見回っていたところ、1頭のオオムラサキを見つけました。1本の木の枝に止まり葉の裏に尻を押しつけて産卵の様子、慌ててカメラを向けましたが舞い立ってしまいました。高さ2メートル50センチほどの所でしたので、小屋にあったプラスチックのビール空き箱をお借りしてそれに上り、産卵したと思われるあたりたりの葉を丹念に探しました。ありました、濃い緑の丸い卵が15個と別の葉に1個産み付けられていました。オオムラサキの産卵現場、卵を見るのは初めてです。
 ともかく、国蝶のオオムラサキに会えたことだけでも嬉しいのに、産卵の現場に立ち会う事が出来たことは、将に千載一遇のチャンス、幸運でした。
  産卵するオオムラサキ
産み付けられた卵

ネット囲いの中で、飼育観察予定
 


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【カバキコマチグモ−その1】
2016.7.18〜21
 ススキやカヤの葉先を折り曲げて住み家を作る、日本猛毒生物の代表カバキコマチグモの観察を試みました。茶褐色がかった黄色い体(樺黄)から名付けられた日本在来の毒クモです。(写真1)普通どこででも見られますので、いくつかの実物をそっと開いて見ることにしました。葉先を三角に折り曲げて糸で絡めたのは「住居」と呼ばれ、クモはその中を住み家として出入りし、狩猟、休息をすると言われます。出入り口があり、♂が作ります(写真2〜4)。
 一方、こちらは♀が作るもので、葉先を丁寧に四角に折りたたんで作る「産室」と呼ばれるもので出入り口はなく(写真5)、♀グモはその中に入って卵を産みます(写真6〜7),卵から孵った子グモは、中にいる母グモを食べて成長します。(母グモの食殺)習性と言われています(写真8〜9)。子グモが親グモを食べる習性があるというので試みに、子グモをガラスの器の中にいれ、その中に元気な親グモを入れてみました。すると子グモ達は中に入れた親グモに群がり付きました。親グモは逃げようとしますが、子グモ達は体にまとわりつき離しません。そして体液を吸い始めました。親グモは一切抵抗、反撃はしませんでした(写真10〜11)。同じように2匹の親グモをガラスの器の中に一緒に入れると、激しい殺し合いをします。(写真12)。
写真1 カバキコマチグモ
写真2−住居から出る
写真3−外出する
写真4−住居に戻る
写真5−産室外形
写真6−産室の中の卵のう
写真7−産室の中の母グモ
写真8〜9−産室の中で母グモを食べ成長した子グモ
写真10〜11−子グモの中に親グモを入れると群がり着いて食べる
写真12−親同士は激しく争う
 


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【カバキコマチグモ−その2】
2016.7.18〜21
 カバキコマチグモの「住居」「産室」の観察を続けている中で、全く予想もしない事実に遭遇 しました。
 四角に折りたたんだ「産室」(写真1)の中を覗いていた一つに、クモは入っておらず、代わりに直径7ミリ、長さ15ミリほどの円筒形、薄茶色の物体が入いっているものがありました(写真2〜3)。取り出して開いて見ようとしましたが、堅く丸められており手では開けられませんでしたので、カミソリの刃で注意深く切り開いて見ました。中から出てきたのは一匹の白い幼虫でした(写真4〜6)でした。通常の産室の中には白く丸いクモの卵のうがあり、これを母グモが守りながら同居しており、卵から孵った子グモは中にいた母グモの体を食料として食べ成長しますが、クモの作った産室にクモはおらず卵も無く、どうやってこの丸い物体が中に入っているのか、しかもその物体の中には、およそクモとは関係の無い、何かの幼虫が入っているのです。どうやらこれは、親グモに寄生する寄生バチの幼虫のようです。
写真1−産室外観写真2〜3産室の中の丸い物体
写真4〜6−丸い物体の中から出てきた幼虫
※ 要注意
このクモは、日本に生息する毒グモで、咬まれると激痛、受傷部位の発赤、腫れがおこり、重症例では発熱、頭痛、悪寒嘔吐、ショック症状を呈する場合もあるので、接触には十分注意する必要があります。


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【オナガドリ】
2016.7.9
 7月3日、珍しく、家の前の電線に、オナガドリが来て止まり声高く鳴いていました。名前の通り尾が長く、腹部は白く、水色の美しい羽根を持っているのに似つかず、鳴き声はギューイ、ギューイと粗雑で甲高いのが気になりましたが、始めて見る鳥なので写真に撮りました。
 7月9日、再びやってきました。今度は2羽でした。カメラを向けていたら1羽が電柱にいた虫を捕らえる所を撮影することが出来ました。
7月3日撮影
7月9日撮影


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【自販機の珍客】
2016.8.4
 連日30度を超す真夏日、公園入り口の自販機で、冷たい物をと立ち寄ったら、既に先客(?)がおり、それぞれケースの中をのぞきお目当ての品定めをしていました。おつりの返却レバーで、おつりの出てくるのを待っているものもいました。カエルも暑さしのぎに自販機へ集まるのでしょうか、田園ならではのナイスショットです。


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