自然と友だち


秋深まりゆく信濃路

 日ごとに秋の深まりゆく信濃路、ふと目にした身近な自然の中の花や虫たちの態様を、カメラで拾い“写真日記”としています。今月も、その一部をご紹介します。


撮影・解説:加納巌

加納さんに質問やメッセージをどうぞ。
http://www3.jsf.or.jp/mlmaster/



 

オオスズメバチとカマキリの争い カマキリの産卵 天竜川の水鳥 秋の花をワイドで見る ルリタテハの幼虫に寄生した蜂の幼虫
オオスズメバチとカマキリの争い カマキリの産卵 天竜川の水鳥 秋の花をワイドで見る ルリタテハの幼虫に寄生した蜂の幼虫
ルリタテハの羽化
ルリタテハの羽化



 





秋深まりゆく信濃路


【オオスズメバチとカマキリの争い】
2015.9.11
 昆虫の争いは色々目にしますが、今日サンルーム内で起きたオオスズメバチとカマキリ(♂)の争いは初めて目にします。争いの発端は何かわかりませんが、戦いはオオスズメバチの絶対優位の状況でした。カマキリは鎌を上げて対抗しますが、ハチは強力なあごでカマキリに食らいつき、毒針を使うことなくカマキリを仕留めました。ハチは仕留めたカマキリをそのままにして飛び去りました。(危険なのでガラス越しに撮影)


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【カマキリの産卵】
2015.9.17
 9月9日に交尾を終えたカマキリが、産卵のためにつくった枠組みの中で、今朝9時55分産卵を始めました。尻から白い泡を出し木に貼り付け、その中に卵を産みつけ、丸く泡で包み込み、産卵を終えたのは14時28分でした。
9時55分産卵始まる    
  14時28分産卵終わり 16時25分離れる


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【天竜川の水鳥】
2015.9.19
 天気が良いので天竜河畔を散歩、頭上にはトビが舞っており、川面の石の上にはコサギ、アオサギ、カモなどが羽根を休めていました。水鳥は警戒心が強く、100メートル程離れて、気遣いながらの撮影でした。
風に吹かれるコサギ 羽繕いをするコサギ
舞い立つコサギ アオサギの成鳥
コサギ(左)とアオサギの幼鳥(右) 2羽が舞い立つ
マガモが仲良く日向ぼっこ 2羽が立ち上がる
片足で眠るカモ 河面を見詰めるカモ


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【秋の花をワイドで見る】
2015.9.24
 近くを散歩しながら、目にした秋の花をワイドで切りとってみました。①エンゼルトランペットの黄、②同種のピンク、③ヒガンバナ


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【ルリタテハの幼虫に寄生した蜂の幼虫】
2015.10.2
 ルリタテハの幼虫の体の中に卵を産み付け、ルリタテハが蛹になる頃までその体内で養分を摂取し成長、ルリタテハの幼虫が蛹になる直前、ルリタテハの体内から這い出した100匹余の寄生蜂の幼虫が、自分たちが集団で住む繭をつくる珍しい様子を見ることができ、写真に収めることができましたのでご紹介します。
(以下、文中では、ルリタテハの幼虫はA、寄生虫の幼虫はBと表記します)
★ 9月30日午前7時:食草のシオデの葉から離れ近くにあった木株に移動して、じっとしているAを見つける
★ 午前10時12分:Aの体のあちこちからBが這い出してきた、その数は100匹余となるがAは痛くないのか全く動きません。麻酔にかけられているかのようです。
★ 午後3時30分:出てきたBは、最初は団子状に集まっていたが、やがて口から綿状の白いものを出しながら体を覆い平らに並んで繭づくりを始めました。誰が指揮するのか、定めがあるのか、繭の中では実に規則正しく整然とした、一匹一匹の個室をつくり、その中に入り、集合住宅の繭をつくり上げます。BがAの体から這い出し始めてから約5時間、Aは全く動きませんでした。
★ 10月2日:Aが動けるようになったのは9月30日の夜10時過ぎでしたが、何故かBのつくった繭から離れようとせず、翌朝見たら繭を抱きかかえるようにしており、繭に触ろうとすると体を曲げ棘で威嚇します。繭を守っているのか、この状態はこれまでの例で数日間続き、Aが死ぬまで続きます。
《不思議に思うこと》
  • 寄生蜂は、Aの体の中に卵を100個余産み付け、それがAの体の中で養分を摂取し続けるのに、Aは死ぬことなく蛹になる状態まで生き、成長していることの不思議
  • BがAの体のあちこちから這い出してくるのに、Aは痛みを感じないのか、また這い出してきた傷口がAの体に見当たらないのはなぜか、BがAに麻酔をかけているのか
  • Aの体から這い出してきたBが、どんな規律、法則に従って、繭の中に整然とした一匹一匹が入る個室をつくるのか
繭の中の個室
  • Aは、自分の体に寄生し、死をもたらすBの入っている繭から離れようとせず、繭を守っているかのような行動を死ぬまで取り続けるのは何故か
  • Bが羽化して飛び出すのはいつか


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【ルリタテハの羽化】
2015.10.5
 この日朝6時に起きたら、ルリタテハが1頭羽化していました、続いて隣の蛹も羽化の兆候が見えたので、カメラをセットし羽化の様子を撮影しました。
午前7時40分羽化前 8時25分蛹が割れる 8時25分上体が蛹から出る
8時26分全体が蛹から出る 8時30分ぶら下がる 口吻は2本に分かれている
伸縮を繰り返し貼り合わせる 8時35分1本の口吻となる 8時40分翅を広げる
直前に羽化した蝶が近づく 10時50分舞い立つ
 この日は、午前中に4頭のルリタテハが羽化しました。残りの蛹は2個ですが2〜3日中には羽化すると思われます。
 10月7日、最後の蛹が羽化し、今秋我が家で羽化したルリタテハは6頭となりました。4頭は寄生蜂に犯されて蝶になれずに死にました。寄生蜂の被害率は、思いの外高いように思われました。ルリタテハは成蝶で越冬しますので、翌日全部を外に放しました。


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