自然と友だち


秋の気配に誘われて

 気がつけば秋、ススキの穂が揺れ、赤トンボが棒の先に止まる――自然の移ろいに誘われて野山を歩くと、思わぬ出会い、感動があります。今月は、林の中でリスとの楽しい出会いがありました。ほか、カマキリ、カタツムリ、クモなど小さな生きものと、初秋の野の花をお届けいたします。


撮影・解説:加納巌

加納さんに質問やメッセージをどうぞ。
http://www3.jsf.or.jp/mlmaster/



 

カタツムリの交尾 コマチグモの住居 白いカタツムリ 野生のリスとのふれあい カマキリがカエルを捕らえる
カタツムリの交尾 コマチグモの住居 白いカタツムリ 野生のリスとのふれあい カマキリがカエルを捕らえる
蜂の巣いろいろ 「樹液酒場」に集まる昆虫たち 初秋の山路の花 オオスズメバチとキイロスズメバチ 秋とシジミチョウ
蜂の巣いろいろ 「樹液酒場」に集まる昆虫たち 初秋の山路の花 オオスズメバチとキイロスズメバチ 秋とシジミチョウ



 





秋の気配に誘われて


【カタツムリの交尾】
2015.8.9
 暑いので、庭に撒水をしていたら、花鉢の縁を2匹のカタツムリが前後して這っているのに気づきました。カタツムリは行動範囲が限られるので、仲間に出会う機会が少ないため、雌雄同体で、相手に出会えない場合自家受精をするそうですが、相手に出会えれば千載一遇の機会と交尾をするそうです。カタツムリの交尾がどのように行われるのか、興味津々でカメラを向けましたが、雌雄同体のカタツムリの性殖器はどこにあるのかわからないので、2匹の行動を色々の角度から沢山撮ることにしました。図鑑で調べたら生殖孔は、先端に目の付いた大触角の付け根あたり、右巻きカタツムリの場合は顔の右側にあるとありましたので、撮った写真を見ると交尾をしたように思われます。もし交尾をしていたとしたら、まさに千載一遇のチャンスでした。


▲写真を選ぶ▲


 


【コマチグモの住居】
2015.8.12
 公園の草むらで、笹の葉を三角形に折り曲げて作ったクモの巣(住居)を見つけ、中の様子を見ようと、そっと開いてみました。中には小さな子グモが何十匹も動いていました。よく見ると親グモの死骸と思われるものがありました。
 近くにカヤの葉を同じように折り曲げて作った巣がありましたので、これもそっと開けてみました。巻いた葉を剥がすと白い糸で作った綺麗な部屋があり、その膜を破ると、こちらは中からクモが出てきました。さらに部屋の中を見ますと、丸い袋があり卵の入った卵嚢(らんのう)と思われますものもありました。
 これらをマクロレンズで撮影し、家に帰って図鑑で調べたら、クモはコマチグモの仲間のようでした。
笹の葉を巻いた、ヤマトコマチグモと思われるクモの巣
開けたら中に沢山の子グモがいた
子グモが食べ尽くした親グモの死骸
カヤの葉に作られた、カバキコマチグモと思われるクモの巣
そっと巻いてある葉を剥がす
白い綺麗な部屋が作られている
白い膜を破るとクモが出てきた
部屋の奥には丸い卵嚢が見える


▲写真を選ぶ▲


 

【白いカタツムリ】
2015.8.18
 昨日一日中降り続いた雨も止み今朝は快晴なので、散歩がてら団地内を歩いていたら、一軒の家の前のブロック塀にカタツムリがいるのが目に止まり、周りを見回したら、もう1匹、もう1匹と3匹いました。昨朝我が家の庭石の上に出てきたカタツムリと違い、色は白く大きさも小型で、初めて見るカタツムリなので、捕らえてきて観察いたしました。 一匹が糞を出し始めたので、肛門はどこかとアップで写真を撮りました。肛門の位置がわかりましたが、随分と長く黒光りのする糞でした。3匹が並んでいるのも楽しい写真となりました。 「オナジマイマイ」というカタツムリのようです。


▲写真を選ぶ▲

 



【野生のリスとのふれあい】
2015.8.19
 茅野市の運動公園の林の中に、野生のリスが現れ、運が良ければ出会えるというので、早起きをして出かけました。9時半に公園の森につきましたが、広い林の中、どこにリスが出るのかわかりませんので、マレットゴルフをしている地元の方に尋ね、およその場所を聞いてその林の中に腰を下ろし待つことにしました。近くにクルミの木があり、そのクルミを食べに来るというのです。待つこと1時間余、ようやく1匹のニホンリスが、枝の上で何かを食べているのを見ることができました。300ミリ望遠レンズで撮影、リスは5分ほどで枝を伝わって走り去りました。
 少し場所を移動して、根気よく待つことにしました。“運が良ければ”といわれ1匹に会えたのだから、待てばなお幸運がという気持ちで、持参のパンやお茶を飲みながら待っていました。すると今度は地上に1匹のリスが現れました。5メートル程の近距離です。リスは勿論私の存在に気づいていて、私の方を見ながら地上を走ったり木に登ったりしました。目の前でクルミを咥えて前足で土を掘りクルミを埋め、土をかけ前足で押さえ付ける動作をみせてくれたり、私がじっとしているので、安心してか近くに寄ってきて立ち上がりポーズをとったり、草の葉を咥えたり、木に駆け上がって私を見下ろす等、色々な動作をみせてくれ、カメラの被写体にもなってくれました。結局5時間余、リスとのふれあいができました。幸運というより“リスと仲良しになった“という実感で、嬉しい一日でした。


▲写真を選ぶ▲

 



【カマキリがカエルを捕らえる】
2015.8.23
 カマキリがカエルを捕らえて食べているところを見ました。昆虫ではなく、小さくても四つ足の両生類であるカエルを捕らえて食べるなんて、秋になり繁殖に備えての体力作りなんでしょうか。


▲写真を選ぶ▲

 



【蜂の巣いろいろ】
2015.8.29
 里山の林、農道脇の藪、宅地の石垣、家の軒下、庭木などに作られている色々な蜂の巣を探して撮ってみました。例年多く見られた家の軒下に作られるアシナガバチ類の巣は、今年は少ないように見受けられます。
家の軒下に作られたキアシナガバチの巣
石垣の窪みや庭木の枝に反り返った巣を作るコアシナガバチ
黄色い蓋をするキボシアシナガバチの巣 ブルーベリーの木の枝に作られた青色の巣
地上8メートルの高さの杉の木立に作られたスズメバチの巣
林道脇の木の繁みの中に作られたスズメバチの巣
軒下の壁に作られたキイロスズメバチの巣


▲写真を選ぶ▲

 



【「樹液酒場」に集まる昆虫たち】
2015.8.31
 猛暑続きの7月から8月へと月替わりとなりますので、近くの山路を歩いて目に付く花、変わった花を撮ってきました。途中でニホンカモシカにも出会いました。
シロテンハナムグリ
アオカナブンが加わる
カブトムシ3匹
シータテハとスズメバチ
(キシタバも見えますか?)
オオムラサキ
キタテハとスズメバチ
ヒカゲチョウ
ルリタテハ
ヤマキマダラヒカゲ
クワガタとアオカナブン
ゴマダラチョウ
スミナガシとルリタテハ


▲写真を選ぶ▲

 



【初秋の山路の花】
2015.9.1
 9月、秋の季節となりました。山路を歩いて初秋の花を撮りました。山は秋の気配が日毎早まってきています。
ススキ
フシグロセンノウ
ボタンヅル
キキョウ
ススキとクズの花
ムラサキツユクサとキリギリス
ワレモコウ
赤と黄色のツリフネソウ
シシウド
アカトンボ
ハギ


▲写真を選ぶ▲

 



【オオスズメバチとキイロスズメバチ】
2015.9.4
オオスズメバチが1匹、キイロスズメバチの巣穴近くに来て、外にいたキイロスズメバチを襲う。これを巣の入り口にいた見張りのハチが見て、緊急事態を巣の中に知らせる
(16時23分00秒)
中からキイロスズメバチが何匹か出てきて、オオスズメバチに飛びかかる
(16時23分20秒)
さらに中からキイロスズメバチが出てきてオオスズメバチを完全に包囲
(16時23分31秒)
キイロスズメバチは、オオスズメバチを殺して下に落とす
(16時26分17秒)

オオスズメバチを撃退したがキイロスズメバチは、
しばらく入り口の周りで警戒態勢を続ける
(16時27分30秒)


▲写真を選ぶ▲

 



【秋とシジミチョウ】
2015.9.5
 春には“菜の花にモンシロチョウ”、夏には“百日草の花にアゲハチョウ”、秋には“萩の花にシジミチョウ”が似合いだと考えていましたので、9月に入り雨の上がった3日、4日の2日間、シジミチョウを追ってみました。
ウラナミシジミ 同交尾中 ゴイシシジミ
ウラギンシジミオス 同メス ムラサキシジミ
ツバメシジミ交尾中 ヤマトシジミ交尾中


▲写真を選ぶ▲

 



▲写真を選ぶ▲






『自然と友だち』バックナンバーはこちら
『北の丸公園の自然HP』バックナンバーはこちら
『自然との出会いHP』バックナンバーはこちら




このサイトのすべての画像・記事について、無断使用・転載を禁止します。
Copyright (C)2007 Science Museum Tokyo, ALL RIGHTS RESERVED.