自然と友だち


夏の野の花、昆虫たち

 残暑お見舞い申し上げます。長野県には、「信州 山の日」(7月第4日曜日、今年は26日)が制定されており、梅雨の明けた7月22日、中央アルプスの西駒ヶ岳(木曽駒ヶ岳、2956メートル)へ行ってきました。下界は快晴でしたが、山頂は濃い霧で視界は悪く、霧雨も降る天気。そこで山頂は諦め、高山植物の宝庫といわれる氷河期の遺産「千畳敷カール」で、写真を撮ってきました。その他、身の回りの昆虫と花の写真をお届けいたします。


撮影・解説:加納巌

加納さんに質問やメッセージをどうぞ。
http://www3.jsf.or.jp/mlmaster/



 

花と句のコラボ アカスジシロコケガ キアゲハの羽化ラッシュ 中央アルプス・駒ヶ岳−山の花 オニノヤガラ
花と句のコラボ アカスジシロコケガ キアゲハの羽化ラッシュ 中央アルプス・駒ヶ岳−山の花 オニノヤガラ
夏の野の花 他所のクモの巣に入ったクモ シロヒトリ ハチがクモを運ぶ ミヤマシジミ観察会
夏の野の花 他所のクモの巣に入ったクモ シロヒトリ ハチがクモを運ぶ ミヤマシジミ観察会



 





夏の野の花、昆虫たち


【花と句のコラボ】
2015.7.7
 毎月玄関に、その月にちなんだ情景を飾っていますが、7月は加賀千代女の「朝顔につるべ取られてもらい水」の句を借りての飾り付けをしながら、ふと「花と句を組み合わせての写真を撮ったら」と思いつき、早速身近に咲く花を撮って、これに合う句を探して試作としました。
朝顔につるべ取られてもらい水
加賀千代女
向日葵のこちら向きをり畑道
岡田麻枝
紫陽花にでで虫角出す足も出す
中川濱子
野に出でし女が一人花あざみ
横井かず代
そのすがた人にうつすやねぶの花
加賀千代女
露草の藍のぬれ色目立ちけり
山本宏子


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【アカスジシロコケガ】
2015.7.19
 7月13日、山路で立ち枯れの木の幹に、細い髪の毛を荒く丸めたような繭が付いているのを見かけ、そっと取ってきてガラスケースの中に収容し、何が羽化してくるか観察することにしました。7月19日朝5時に起きてケースの中を見たら、赤い線の入った綺麗なガが羽化していました。図鑑で調べたら『アカスジシロコケガ』と判明しました。ヒトリガ科コケガの一種で、白地に赤い線の入った大変綺麗なガだとありました。翅に黒い斑点が1対のがメスで、2対あるのがオスとありましたので、今回羽化したのはメスです。
羽化
成虫


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【キアゲハの羽化ラッシュ】
2015.7.21
 18、19、20日の3連休に羽化したのが16頭、21日の朝に羽化したのが5頭、合計21頭のキアゲハをサンルーム内の花棚に勢揃いさせてみました。
数えてみると21頭がいます
羽化直後の3頭と
羽化を待つ蛹が10個
羽化後、花鉢の縁で翅を乾かす
翅が乾いて舞い立つのに約2時間
ゼラニウムの花に6頭
ヒャクニチソウの花に4頭
ブットレアの花で2頭が顔合わせ
こちらはカマキリが顔合わせ


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【中央アルプス・駒ヶ岳−山の花】
2015.7.22
 梅雨明け、夏山のシーズンになりましたので、中央アルプス西駒ヶ岳へ出掛けました。下界は快晴でしたが、山に着いた時には霧が深く、時折霧雨の降るあいにくの天気でした。2956メートルの山頂は諦めて、氷河期の名残である標高約2600メートルの千畳敷カールで、山の花の写真を撮りました。霧雨にしっとりと濡れた花には格別の風情、趣きがあり、4時間ほどで60種以上の花を撮影することができました。残念なのは当山の尾根付近にある特産のコマウスユキソウ(ヒメウスユキソウ)と、岩場にあるコマクサを見ることができなかったことでしたが、偶然目の前に霧の中の岩の上に小鳥(エゾムシクイでしょうか)が現れ、一瞬一枚の写真を撮ることができたのは、願ってもない幸運でした。以下撮影した一部の写真をご紹介します。
2600メートルの千畳敷カール
残雪と霧で気温15度
ゴゼンタチバナ
キバナノコマノツメ
チングルマ
クロユリ
クロユリとシナノキンバイ
ヤマハハコ
サクライウズ
シナノオトギリソウ
コケモモ
ツマトリソウ
シナノキンバイ
ミヤマダイコン
アオノツガザクラ
チシマギキョウ
イワツメグサ
クロツリバナ コイワカガミ
ミヤマアキノキリンソウ
フジバカマ
ヨツバシオガマ
マイズルソウ
ウメバチソウ
ミヤマダイコン
クモマスミレとコイワカガミ
コバイケソウ
ハイマツ
小鳥が目の前の岩のに上に現れる


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【オニノヤガラ】
2015.7.25
 近くの方が“こんな珍しい花があったから”と言って下のような花を持ってきてくれました。私も初めて見る花ですので早速図鑑で調べました。名前は『オニノヤガラ』でした。腐生植物(ナラタケ属の菌に寄生し養分を得る)で、光合成を行わず葉緑素を持たない、葉はなく茎は直立し高さ40〜100センチに伸び、花は総状壷型で多数付き、上部ほど花穂の密度は高い。 名前の由来は、鬼の使う弓矢の矢が地面に付きささっているようだからとされていましたが、鬼の使う弓矢ってどんなものなんでしょう。あまり見かけない花だから鬼の矢としておけば良いとしたならば角を出します。


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【夏の野の花】
2015.7.29
 猛暑続きの7月から8月へと月替わりとなりますので、近くの山路を歩いて目に付く花、変わった花を撮ってきました。途中でニホンカモシカにも出会いました。
シデシャジン
アキノキリンソウ
フシグロセンノウ
フジバカマ
エビガライチゴ
タマアジサイ
クサボタン
トウギボシ

ソバナ
ヨツバヒヨドリ
ヤマハハコ
ノリウツギ
ニホンカモシカ


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【他所のクモの巣に入ったクモ】
2015.8.7
 水田横を流れる細い水路に、寄り合うようにいくつものクモが巣を張っていました。近くに空いた所もあるのに何故か巣の張る位置をせめぎ合うように近づけているもの、中には張った巣が上下少し重なり合うように作られているものもありましたので、何故かと思いながら写真を撮っていました。すると、上下の巣が重なっている上の巣のクモが、糸を垂らして下のクモの巣に落ち、慌てて逃げ去ろうとしましたが、一瞬早く下の巣のクモが走り寄って、自分の巣に侵入したクモをぐるぐる巻きにしてしまいました。ほんの一瞬の出来事でした。
水路に網を張っていたクモ
侵入したクモに一瞬で走り寄る巣の主のクモ 糸でクルクルと巻き始める
グルグルに巻きにして一旦その場を離れたが、
しばらくして戻り食べ始めました


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【シロヒトリ】
2015.8.2
午前9時、公園の草の葉に真っ白なガが止まっていました。足の付け根が真っ赤なので移動してもらいアップで撮りました。翅を広げ舞い立つとき、腹部を見ると、黒と赤の斑点が並んでいて実におしゃれなガでした。名前はシロヒトリです。


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【ハチがクモを運ぶ】
2015.7.13
荒神山のジョキングコースの路面上を、ハチが大きなクモを運んでいるのを見かけました。写真に撮って調べたら、ハチはオオモンクロベッコウで“徘徊性の大型クモを狩り、咥えて後ろ向きに巣の中に運び込み幼虫の餌とする”とあり、クモはコアシダカグモでした。巣は、野ねずみやモグラの穴の中につくるといわれ、見つけるのは困難とのこと、少し追いかけましたが路面から柵の中の草むらに入り見られなくなりました。


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【ミヤマシジミ観察会】
2015.7.26
絶滅危惧種に指定されているミヤマシジミの保護活動を行っている、辰野町いきものネットワークが主催する観察会が26日荒神山で行われましたので、これに参加し、食草のコマツナギの植栽、管理を行っているためか、今年は昨年より若干多くのミヤマシジミを見ることができました。
コマツナギの花で給蜜をするミヤマシジミ
コマツナギに産卵するメス
ジョキングコースの路面に止まるメス


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