自然と友だち


冬の終わり、春の兆し

 3月に入り、雛祭り(ひなまつり)、啓蟄(けいちつ)、彼岸と、春の近づいてくるのを覚えますが、自然の生きものたちの活動はまだまだです。春の遅い信州では、マンサクの花が咲き、福寿草祭りが催され、セツブンソウの花が雪の中に咲き始め、スイセンの蕾が陽だまりの庭先に顔をのぞかせています。小鳥たちは、繁殖期に向けてのパートナー選びやテリトリーの確保を始めていますので、そんな兆しの一端を、今月はお届けいたします。


撮影・解説:加納巌

加納さんに質問やメッセージをどうぞ。
http://www3.jsf.or.jp/mlmaster/



 

2.9雪の朝 雪と犬と猫 夜のシジュウカラ ピーナツを食べるシジュウカラ 絆を確かめるメジロ
2.9雪の朝 雪と犬と猫 夜のシジュウカラ ピーナツを食べるシジュウカラ 絆を確かめるメジロ
啓蟄前に出てきた昆虫 ヒヨドリと鳥籠 激しいテリトリー争い 縄張り意識が強まる 一緒に食事
啓蟄前に出てきた昆虫 ヒヨドリと鳥籠 激しいテリトリー争い 縄張り意識が強まる 一緒に食事



 





冬の終わり、春の兆し


【2.9雪の朝】
2015.2.9
 昨夜の雪が止んで、今朝は朝陽が射し、カーテンを開けると西の空に半月が浮かんでいました。窓を少し開けると、早速メジロが入ってきて朝食、シジュウカラもやってきました。穏やかな朝です。


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【雪と犬と猫】
2015.2.9
 文部省唱歌に『雪』の歌があり、“降っては降ってはずんずん積もる/犬は喜び庭かけ回り、猫はこたつで丸くなる”とありますが、最近ではこれが様変わりし、“犬は炬燵の周りで、猫は雪の中”という様子がよく見受けられるようになりました。


 

【夜のシジュウカラ】
2015.2.17
 昨日、夜になって部屋の灯りをつけたら、いつ入ってきていたのか1羽のシジュウカラが灯りの下に出てきました。部屋の中を舞うのは好ましくないので、部屋の灯りを消し、サンルームに灯りを付けると、サンルームに移動、境のガラス戸を閉めたら、ガラス戸越しに盛んに部屋の中を覗き、中へ入れるよう催促の様子。1羽では寂しいのかと、私がサンルーム内に入ると、近づいてきて、肩に止まったり、頭の上に止まったり、腕にも止まりました。

7時39分、部屋の中にシジュウカラがいる
蝶の標本をついばもうとする
サンルーム内の灯りに移動
ガラス戸越しに部屋の中を覗く
手を差し出すと寄ってくる
顔を近づけると逃げずに見詰めている
腕の上にも止まる
アップで撮影
犬の置物の上に止まる


 



【ピーナツを食べるシジュウカラ】
2015.2.19
 庭先で、節分に撒いた落花生を見つけたシジュウカラが、殻をくちばしでつついて破り、中の実を食べているのを見かけました。いつも食べているヒマワリの種より大きく食べ甲斐があるので、これは願ってもないご馳走と、時間をかけ食べていました。



 



【絆を確かめるメジロ】
2015.2.20
 暖かくなり、繁殖期が近づくと、小鳥たちはカップル同士がお互いに絆を確かめ合う様子が見られるようになります。我が家では、こんな仲の良いシーンを見せてくれます。
 一方、単独のメジロは、それを横目で見ながら“僕はもっぱら体力づくりに食べること”とばかりに食べています。


 



【啓蟄前に出てきた昆虫】
2015.2.25
 辰野町の今日の気温は7度、蝶は気温が15度以上にならないと舞い出さないと聞かされてきましたが、南向きの日当たりの良いこの土手は、15度以上になってるのか、枯れ草の中から1頭のキタテハが舞い立ち、近くに止まったので、カメラを覗いて撮っていたら、すぐ横の枯れ草の葉にオツネントンボが、じっと羽根を休めているのを見ました。まだ何かいないかと、その場に腰を下ろし、周りを見ていたら、ナナホシテントウとウヅキコモリグモが、オオイヌノフグリの根元から這い出してきたり、ミツバチがオオイヌノフグリの花の間を気ぜわしく移動し、吸蜜しているのを見ることができました。来月の啓蟄を前に、もう虫たちの行動は始まっていました。


 



【ヒヨドリと鳥籠】
2015.3.3
 メジロの出入り用にと、窓を少し(10センチほど)開けて外出し、1時間ほどで帰ってきたら、サンルーム内にヒヨドリが6羽も入ってきていて、中を荒らしていたのでお仕置きに鳥籠の中に収容し、外に出しておいたら、仲間の1羽が来て、“出てこい”と促しているようでしたので籠から出してあげました。


 



【激しいテリトリー争い】
2015.3.3
 春になり、小鳥たちがテリトリーの確保のための縄張り争いをするようになりましたが、冬の間の餌場を巡る争いとは変わって、熾烈な争いをします。通常の争いは、羽根を振るわせたり、険しい目つきでにらみ合い、飛びかかる素振りをすることで優劣の決着がつきますがが、双方が譲らない場合は、空中に舞い上がって掴み合いをし、そこで一方が退散するのが常です。
 今回のように、「決闘」と言ってもいいような激しい争いをするのは極く稀で、たまたまその場面を見、写真に撮ったのでご紹介します。
 いずれも、2羽が空中に舞い上がり掴み合いをして、そのまま地上に落ち、地上で上になり下になりの激しいつつき会いを交わし、いずれかが上になり決着はつきましたが、その状態でしばらくは動きませんでした。勝った方は“俺の勝ちだ、覚えておけ”と言わんばかりで、下の鳥は“負けました”と戦意喪失の様子でした。
メジロの決闘。1分以上、双方動かず、にらみ合っている
ヒヨドリの決闘


 



【縄張り意識が強まる】
2015.3.5
 3月に入り、メジロたちの家の中への出入りが激しくなり、餌を食べる様子にも変化が目立ってきました。テーブルの上には餌をたくさん置き、できるだけ争いをしないような気配りをしていますが、鳥たちは落ち着いて食事をすることなく、一口毎に周囲を見回し警戒しながら、対面を避け、顔を合わせない姿勢と間合いを計りながら、短時間で交代するようになりました。
 お互いに、羽根をふるわせたり、にらみ合いも多くなり、以前は室内で空中に舞い上がっての掴み合いは見られませんでしたが、最近は多く見られるようになりました。冬の間の集団生活から、個の優劣の競い合い、子育てに向けてのテリトリー確保の移行期行動かと思われます。


 



【一緒に食事】
 
 種類の違う小鳥が、間近で一緒に食事をすることは通常見られませんが、我が家に来ると仲良く一緒に食事をします。そんな様子をカメラで紹介します。
シロハラとメジロ ヤマガラ・シジュウカラ・メジロ ツグミとメジロ
メジロとエナガ トラツグミとツグミ トラツグミとスズメ
スズメとヒヨドリ スズメとカワラヒワ
ヤマガラとシジュウカラ カワラヒワとツグミ シジュウカラとカワラヒワ
ヒレンジャクとヒヨドリ ムクドリとツグミ
シジュウカラ・メジロ・エナガ メジロとエナガ ヤマガラとメジロ
メジロ・ヤマガラ・シジュウカラ メジロとシジュウカラ メジロとヤマガラ
(食事ばかりではなく、夜は止まり木に並んで眠ります)
メジロとエナガ メジロとシメ メジロとムクドリ







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