自然と友だち


晩秋の信濃路

 秋の終わりを迎え、虫たちの姿も少なくなり、草木も冬仕度を始めるこの時期、ふと目に止まった自然の営みのいくつかをご紹介します。
 山の幸・里の幸、越冬を前にしたカタツムリ、カマキリ、カエル、チョウ、バッタなどが見せてくれた、生きる姿です。


撮影・解説:加納巌

加納さんに質問やメッセージをどうぞ。
http://www3.jsf.or.jp/mlmaster/



 

ヒメギス 晩秋のカタツムリ 10月19日のチョウ バッタの仲間を集める 信州の山の幸・里の幸
ヒメギス 晩秋のカタツムリ 10月19日のチョウ バッタの仲間を集める 信州の山の幸・里の幸
冬眠前のカエル サンルームのクロアゲハ 10月のカマキリ4態 ガガイモの綿毛が舞い立つ ヤママユの羽 化と産卵
冬眠前のカエル サンルームのクロアゲハ 10月のカマキリ4態 ガガイモの綿毛が舞い立つ エビガラスズメの羽化



 





晩秋の信濃路


【ヒメギス】
2014.10.5
 山路で、ノコンギクの花を採って家に帰り、花瓶に挿したら、葉の中に小さなキリギリスがいました。図鑑で見たら「ヒメギス」とありました。鎌の刃のような産卵管があるのでメスです。キリギリスの中で体が小さいのでヒメ(姫)ギスと呼ばれますが、小さいのに食肉性でコオロギなどの小さな昆虫を捕らえて食べるといいます。リンゴを好むとも書いてありましたので、リンゴを与えたら、さっそく食べ始めました。


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【晩秋のカタツムリ】
2014.10.11
 庭に咲く花の時期が終わったので、花壇の整理をしていたら、石灯籠に、この時期珍しく、大きなカタツムリがいるのを見つけました。こんなところで冬眠しているのかと思い、念のため写真を撮り、花壇の整理が終わって散水をしていたら、その水を受け、石灯籠にいたカタツムリが動き出し始めました。冬眠していたのではないようです。しばらくカタツムリの動きを撮影しました。
 冬眠は、枯れ葉の下や、木の空洞の中などに入って行うとありましたので、木箱に枯れ葉や木の株を入れて、その中に収容しました。果たしてこの中で冬眠するかどうか、引き続き様子を見ることとします。


 

【10月19日のチョウ】
2014.10.19
朝の気温5度、日中の気温20度、その差15度、チョウや昆虫の姿がめっきり少なくなった10月19日、南向きの暖かい土手で2時間あまり、チョウの舞うのを観察し、以下のチョウを撮影することができました。

ヤマトシジミは沢山舞っていた
メスとオスの交尾中を撮影
ウラナミシジミの交尾
ベニシジミも沢山見られた
ウラギンシジミ
キタテハアカタテハ
翅の傷んだミドリヒョウモンツマグロヒョウモンの♂
コミスジキタキチョウ
モンキチョウの♀


 



【バッタの仲間を集める】
2014.10.20
 今日は、稲の穫り入れの終わった田圃(たんぼ)の畦(あぜ)を歩き、足下から飛び出すバッタ類を捕らえて籠の中に集めてみました。籠の中でチャッカリ交尾するイナゴもいました。

テーブルの上に集まる
クサキリ
オンブバッタ
フキバッタ
交尾するイナゴ
梨とパンを食べる


 



【信州の山の幸・里の幸】
2014.10.20
 稲の穫り入れも終わり、紅葉が美しく里山を彩るこの季節、信州辰野では、山の幸、里の幸の味覚を楽しむことができます。そんな山の幸、里の幸の写真を撮ってみました。

<山の幸>


匂い松茸といわれ、松茸ご飯でおいしくいただきます
 
アケビがこんなに沢山、頭の上に
甘酸っぱいサルナシの実

<里の幸>


真っ赤なリンゴと黄色いリンゴ
 
黒と赤のブドウ
 
柿は当たり年で豊作カリン
 
栗の実拾いを楽しむ


 



【冬眠前のカエル】
2014.10.24
 10月24日の朝、フウロソウの葉が紅葉となった鉢の中に、カエルが潜んでいるのを見かけました。冬眠を前にしたカエルでしょうか、お腹が随分大きくふくらんでいました。少し陽射しが暖かくなったら、傍らにあったシラカバの切り株の上に上がって、ひなたぼっこをしていました。


 



【サンルームのクロアゲハ】
2014.10.29
 10月27日に羽化した、オスとメスのクロアゲハに、1日2回、午前と午後、蜂蜜を与えています。日中は、暖かいサンルームの中を舞ったり、活け花、鉢植えの花で吸蜜をしたり、カーテンに止まって、ひなたぼっこをしています。今朝の気温は3度、この寒さに果たしていつまで生きていられるか気がかりです。


 



【10月のカマキリ4態】
2014.10月
 10月、庭木や花壇の整理をしながら見かけたカマキリをモデルに「秋のカマキリ4態」として、写真にまとめてみました。いずれも別々のカマキリです。

 1.満月を掴まえたカマキリ
10月8日、皆既月食の撮影に、約4時間、月に向かっていましたが、翌9日の夜は、木の枝の上にいるカマキリのバックに満月が浮かぶのを狙って、三脚を立て30分間、50枚ほどのシャッターを切って、カマキリが月を掴(つか)まえたところを写しました。内蔵フラッシュ使用。



 2.光とカマキリ
テーブルの上に置いたガラスの花瓶に花を活けたら朝日が当たり、光の反射がテーブルの上に映って、その光の中をカマキリが、興奮しながら通り抜けました。



 3.カマキリの積雪予測
カマキリは、この冬の積雪量を予測する能力があって、卵のうを低いところにつくる年は雪が少なく、高い所につくる年は雪の量が多いといわれます。今年は、庭木の手入れ、花壇の整理をしていて、カマキリの卵のうが、割合高い所につくられているように見受けられます。もし、カマキリが降雪量を予測する能力があるとしたら、今年の冬は雪が多いことになります。
この説には、専門家の間でも、賛否両論があり、興味深いこととして、今冬の降雪量を見ていきたいと思います。


 4.命絶える
2日続きの冷たい雨が上がった夕暮れ時、庭の蔓くさの端に、産卵を終えたと思われるカマキリが、雨露に濡れてぶら下がっていました。晩秋の哀れを誘う光景でした。カマキリの仲間は1年間、色々な場面で私の写真の被写体となってくれましたので、哀れと思い、撮影後、花壇の一隅に葬ってあげました。


 



【ガガイモの綿毛が舞い立つ】
2014.11.8
 ガガイモの莢(さや)がはじけて、中から綿毛の種子が溢れ出し、秋の陽に輝きながら、風に吹かれて舞い立ちました。
 


 



【エビガラスズメの羽化】
2014.11.9
 当メールマガジン502号、「自然と友だち 信州、自然の生きもの便り」でご紹介した「エビガラスズメの越冬」ですが、11月8日、土の中に潜っていた蛹から羽化した蛾が這い出してきました。この蛾は5〜11月の年2回成虫になるとありますので、越冬して春を待たずに羽化したものと思われます。前回の続きとしてご紹介します。

土から這い出した蛾、体長4センチ色は地味な色をしていました

長い口吻を持っており、巻き込んだ口吻が見られます

敵が近づくと翅を広げて、赤い体の部分を見せ身を守る習性があると言われます
土の中には、蛹の抜け殻がありました





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