自然と友だち


秋の花、秋の虫との出会い

 暑い夏が終わり、爽やかな秋の季節となりました。
 10月の声を聞くと、信州では朝晩、肌寒さを覚え、長袖のシャツに、もう一枚重ね着をしなければならない陽気になりました。黄金色の稲田も、今が穫り入れの盛りのアケビ、茸(キノコ)、ヤマブドウなどの山の幸、リンゴ、カキ、ブドウのなどの里の幸も、最後の色付きを見せています。
 今月の「信州、自然の生きもの便り」は、そんな秋の花、秋の虫との出会いを写真でお届けします。


撮影・解説:加納巌

質問やメッセージをどうぞ。
http://www3.jsf.or.jp/mlmaster/



 

ヒメクロホウジャクを撮る 白花のホトトギス 土の中にツユムシを運び込むクロアナバチ 茸狩り 山路の秋の花
ヒメクロホウジャクを撮る 白花のホトトギス 土の中にツユムシを運び込むクロアナバチ 茸狩り 山路の秋の花
コオロギがツユムシを食べる 家の中で羽化した蛾 エビガラスズメの越冬 白と赤のソバの花 ヤママユの羽 化と産卵
コオロギがツユムシを食べる 家の中で羽化した蛾 エビガラスズメの越冬 白と赤のソバの花 ヤママユの羽化と産卵



 





秋の花、秋の虫との出会い


【ヒメクロホウジャクを撮る】
2014.9.4
 電灯の光に誘われて家の中へ入ってきたヒメクロホウジャク。翌朝、サンルーム内で、色々な角度から写真を撮らせてもらいました。
ガラス戸に止まったところを、背面と腹面から写す
腹這いになっているところを写す 顔面をアップで写す
左を向いて 右を向いて


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【白花のホトトギス】
2014.9.9
 秋の代表的な山野草の花「ホトトギス」、珍しく白花のホトトギスが咲きました。茶席の花としても珍重されています。



 

【土の中にツユムシを運び込むクロアナバチ】
2014.9.17
クロアナバチがツユムシを運んできた
掘ってあった穴の側にツユムシを置く
ツユムシを入り口に置いたままハチは中に入る
すぐに出てきてツユムシを穴の中へ引き込む
3分ほどして出てきたハチは後ろあしで穴に土をかける
前あしで土を押し込み穴を塞ぐ
穴の塞がったのを確かめてハチは飛び去る
ハチの去った後、穴は綺麗に塞がれていた
 偶然、公園の中の芝生脇で見かけました。ハチが何かを咥えて目の前に降りたので、近づいて見たら、そこに直径1.5センチ程の穴があり、ハチは咥えてきた獲物を穴の入り口近くに置き、穴の中へ入っていきました。獲物はツユムシでした。ハチはすぐに出てきて、ツユムシを穴の中へ引き入れました。3分ほどして出てきたハチは、後ろあしで土を掻きよせ、穴の口を塞ぎ始めました。後ろあしで穴に土をかけ、前あしで押し込み、穴を完全に塞ぐのに5分ほどかかりました。穴が完全に塞がれたのを確認してハチは飛び去りましたが、穴は綺麗に塞がれていました。近くに同じような穴がいくつかあり、ハチが穴から土を咥え出しているのが見受けられました。
 クロアナバチの生態について調べてみると、このハチは獲物を探しに行く前に、巣となる穴を掘りますが、穴は数個掘り、何故複数の穴を掘るのかについては、外敵に対する見せかけの穴だと言われ、実際に使うのはその中の一つだけです。穴の深さは20センチ程で、麻酔をかけた獲物を穴の中に引き入れ、その体に卵を産み付け、穴の口を丁寧に塞ぎます。見せかけの穴は、深さ数センチと浅いものだそうです。獲物に産み付けられた卵は孵化して幼虫になり獲物を食べて成長し、成虫になって穴から出てきます。


 



【茸狩り】
2014.9.18
 急な誘いで、Yさんの持山へ茸狩りに連れていってもらいました。朝5時30分に家を出て、川島の奥の松茸山へ着いたのが6時、30分ほど急な山道を登り松林に入りました。まだ松茸が出るのは少し早いとのことでしたが、落ち葉の下から僅かに頭を持ち上げた松茸を、案内してくださった方が見つけ、その場の写真を撮り、実際にこの手で採ることができました。 白いコムソウダケ、茶色のアワタケ、リコウボウも採ることができ、倒木に生えたサルノコシカケという大きな堅い茸や、食べられないが変わった形の茸を見ることができました。 2時間近くで、小びく一杯の茸を採ることができました。感謝と感激の朝でした。
最初に見つけた松茸、腹這いになって写真を撮った後、この手で掘り出しました
土を押し上げて、僅かに頭を覗かせる松茸を見つけるのは、素人では困難です
こんな大きな松茸もあり、いい香りがしました
こんな変わった茸もありました


 



【山路の秋の花】
2014.9.20
 山路の秋の花を撮ろうと、小横川の奥の、人もあまり入らない林道に入り、秋の花の群生を見ることができました。
キツリフネソウ(赤)の群生
キツリフネソウの群生
ママコノシリヌグイの群生
ゴマナの群生
熊に注意の標識の傍らでカモシカに出会う
ススキの穂が秋の陽に光る
路の両側には、紫のノコンギクと、白いユウガギクの花が群生
 幸運にも、渡り蝶のアサギマダラが、オトコエシの花で吸蜜をしているのに出会い、写真に収めることができました


 



【コオロギがツユムシを食べる】
2014.9.21
 庭先で捕らえたエンマコオロギと、草むらで捕らえてきたツユムシを、一つのケースに入れ、夜に「虫の音の合唱」が聴かれたら楽しいだろうとの期待を寄せましたが、思わぬ事態になってしまいました。
 最初は、コオロギはケースの中に置いた木株の下に、ツユムシは中に置いた草の葉の上にと、別れていましたが
 気づいたときにはコオロギがツユムシを捕らえ裏返しにして食べ始めました
 もう一匹が近づいてくると、食べかけのツユムシを咥えて移動
 そこで食べ続け、少し場所替えをしながら、脚も羽根もすべて食べ尽くしました
 予想もしなかった事態に、写真だけでなく、ビデオでの撮影も行いました。
 コオロギがツユムシを食べながら、羽根を震わせてコロコロと鳴く様子や、鳴き声までも収録されていますので、友達にも見せたいと思います。


 



【家の中で羽化した蛾】
2014.9.22
 知人や、近所の方が、蝶や蛾の幼虫を持ってくるので、家の中で飼っていると、蛹になる際、行方不明となるものがあり、それが家の中のどこかで羽化して舞いだしてきます。この蛾もその中の一つで、大変派手な色彩をしていますので、図鑑で調べたら「ヒトリガ」と判りました。
 幼虫は、黒く長い毛を密生させた大型の毛虫で、土の上を歩いているのを見かけ、クマケムシなどとも呼ばれています。


 



【エビガラスズメの越冬】
2014.9.22
 9月5日、アサガオ棚の花が終わりになったので、蔓を取り除いていたら、大きなイモムシが3匹いました。アサガオの蔓を一部切り取って花瓶に差しそこに移しました。イモムシ図鑑で調べたらエビガラスズメの幼虫と判りました。幼虫の体色には変異があり、緑色系や茶色系があるとされ、蛹越冬とありましたので、蛹になるために潜る土の入ったプランターを横に置きました。
 幼虫は、すでに大きく終齢幼虫だったのでしょう、9月7日にはアサガオの蔓から離れて、用意して置いたプランターの土の上に移動し、頭から潜り始めました。
 土の中に入った幼虫が、どんな蛹になるのか見たいと思い、2週間後の9月22日、そっと土を掘ってみました。およそ6〜7センチの深さの所に、赤茶色の蛹があり、一寸触るとピクピクと動きました。元通りに土をかけ、来春の羽化を待つこととします。


 



【白と赤のソバの花】
2014.9.23
“信濃路は月と善光寺とおらがソバ”といわれるように、おいしいソバの産地で、澄み渡った秋空の下に広がるソバ畑には、今盛りと白いソバの花が咲き競っています。この食べるソバの白い花と、最近は観光用に、高嶺ルビーと呼ばれる赤い花のソバが栽培されるようになり、真っ赤なソバの花が、空の青さに映えて、観光客の目を楽しませています。






 



【ヤママユの羽化と産卵】
2014.9.27
 8月12日にメスが、翌13日にオスが羽化して以来、全く動きがなく、繭の中で蛹が死んでしまったのかと思っていましたが、9月27日、3個の繭のうち一つから蛾が羽化していました。羽根を広げた大きさ15センチ、お腹がずんぐりと太いメスの蛾でした。羽化2日後、産卵をしているのを見ました。オスがいないので無精卵かと思われます。

















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