自然と友だち


信州辰野便り




撮影・解説:加納巌




 

アゲハ蝶が一斉に羽化 ヤママユ 蛹からアゲハヒメバチが出る けずり節を食べるヤブキリ カブトムシ
アゲハ蝶が一斉に羽化 ヤママユ 蛹からアゲハヒメバチが出る けずり節を食べるヤブキリ カブトムシ
蜂、クモを捕らえて運ぶ ミヤマカラスアゲハの吸水 ゴイシシジミ、アブラムシを食べる 写真物語【ジャンプが得意なベッコウハゴロモ】
蜂、クモを捕らえて運ぶ ミヤマカラスアゲハの吸水 写真物語【ゴイシシジミ、アブラムシを食べる】 写真物語【ジャンプが得意なベッコウハゴロモ】



 





信州辰野だより


【アゲハ蝶が一斉に羽化】
2014.7.19
 7月18日から19日にかけて、卵から飼育していたアゲハ蝶17頭が一斉に羽化しました。キアゲハが15頭、ナミアゲハが2頭、これだけ多くのアゲハ蝶が一斉に羽化すると壮観です。
 また、同時に、1つの蛹からはアゲハヒメバチが、蛹の横腹を食い破って出てきました。


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【ヤママユ】
2014.7.
 家の裏のカシの木に“こんな大きな虫が何匹もいましたが、なんという虫ですか”といって持ってきたのはヤママユの幼虫でした。天蚕(てんさん)といって、この繭(まゆ)からつくる美しい緑色の絹糸は、希少価値が高く有名ですので、“繭をつくったら写真にしてお届けしましょう”と飼うことにしました。
 食草は、山からコナラの枝を取ってきて与えました。持ってきた幼虫は、すでに大きく終齢幼虫と思われ、3日後には繭をつくり始めました。
周りの葉を引き寄せて糸をからめ繭づくりの場所を確保する 体を丸くし、中に入って繭づくりを始める 体を回転させながら内側に糸を貼り付け繭の形を整えていく


 

【蛹からアゲハヒメバチが出てくる】
2014.7.7
 以前、自然と友だち121(2014年6月18日発行)で【ナミアゲハの幼虫に産卵するアゲハヒメバチ】をご紹介しましたが、産卵された幼虫が6月20日に蛹になりましたので、これを追跡監視していたところ、7月7日に蛹の腹を食い破ってアゲハヒメバチが出てきました。その様子も写真に収めました。
腹から頭を覗かせる 這い出してくる 蛹の外に出た
蛹から離れる
舞い立つ
ガラス戸に止まる


 



【けずり節を食べるヤブキリ】
2014.7.14
 庭にヤブキリがいたので捕らえて虫かごに入れ、キュウリと鰹のけずり節を与えたら、けずり節が好物なようなので、テーブルの上にけずり節を置き、そこにヤブキリを放したところ、夢中で食べ始めました。小さいうちは草食ですが、成長すると肉食性が強くなり、蝉なども捕らえて食べると言われ、不注意に捕まえようとすると指をかまれ痛い思いをいたします。
テーブルの上に置いた、けずり節に近づいて食べ始める
脚で集めて、すべて食べ尽くしました


 



【カブトムシ】
2014.7.23
 樹液に集まっている、3匹のカブトムシを見つけました。最近はカブトムシを見かけることが少なくなっていますので、しばらくモデルになってもらいました。


 



【蜂、クモを捕らえて運ぶ】
2014.7.23
 道路脇の草むらで、オオモンクロベッコウが、大きなハシリグモを捕らえ、巣へと運んで行く様子を見かけました。獲物が大きいので、草むらから道まで出すのが一苦労。何処まで運ぶのか、道を横切り一生懸命引きずっていきました。


 



【ミヤマカラスアゲハの吸水】
2014.7.29
 今日も日中の気温30度、山路の湿地でミヤマカラスアゲハが吸水をしていました。近づいても逃げようとせず、見ていると、吸水と同時に尻から盛んに放水しています。放水に合わせてカメラのシャッターを切っても、放水を捉えられないので連写にしたら、1枚だけ放水の瞬間が写っていました。


 



写真物語【ゴイシシジミ、アブラムシを食べる】
2014.7
 林道沿いの笹やぶで、ゴイシシジミが舞っているのを見かけ写真に撮り、図鑑で調べたら“本邦で唯一肉食性の蝶”とあり、“成虫がいるところの笹の葉の裏を探せば必ずアブラムシがいて、その中にゴイシシジミの幼虫がいる”とありましたので確かめてみました。
 葉の裏を丹念に探したらいました。アブラムシの白い群れの中に、やはり白く細長い幼虫が紛れ込んでいました。早速その葉を家に持ち帰り、間近で観察しました。

 白い粉に覆われたアブラムシの中に、同じように白い粉をつけたゴイシシジミの幼虫が仲間を装い紛れ込んでいました。
 幼虫は、アブラムシをくわえると頭を上げ、首を振りアブラムシの体に付いている白い粉を、自分の体になすりつけて落とし、むしゃむしゃと食べます。1分ほどで平らげます。食べた後は再びアブラムシの中で、何事も無かったかのように、一緒に過ごしています


 



写真物語【ジャンプが得意なベッコウハゴロモ】
2014.8

 庭で奇妙な姿をした、小さな虫を見つけました。草の葉の上に、体長2ミリ程の魚の顔に似た姿をした虫。尻に白い毛の束を付けており、脚は6本あるので昆虫かと思われます。結構早く小走りに葉の間を移動します。初めて見る虫なので、名前がわからずホームページへ掲載したところ、翌日“あれはハゴロモという虫です、詳しくは図鑑でお調べください”という電話をいただき、手持ち4冊の昆虫図鑑で調べましたが、ハゴロモという昆虫の記述はありませんでした。
 そこで、インターネットで検索したら[カメムシ目・ハゴロモ科・ベッコウハゴロモの幼虫]とわかりました。
 「お尻の毛は、幼虫の体内から分泌されるロウ物質で、ジャンプが得意。ジャンプの時にはこの尻の毛はすぼめて跳び、着地する時には、この毛を丸く広げて降りるので、まるでパラシュートみたいに見える」
とありましたので、再度捕まえて実験してみました。なるほど触ろうとすると、ピョンと20〜30センチほどジャンプします。毛に触ると毛を捨てて逃げてしまいます。毛はすぐに再生されるとのこと、奇妙な虫なので名前を覚えました。
数日後、庭の草取りをしていたら、葉の上にいるこの虫を再度見かけたので、注意して周りを探したら7〜8匹見かけ、さらに成虫のベッコウハゴロモも見つけることができました。
 幼虫と成虫を並べて写真に撮ろうとしましたが、幼虫も成虫もともにジャンプが得意で、2つを並べようとしても、すぐにどちらかがジャンプしてしまい、何度か試みてようやく並んだ写真を撮ることができました。親子のツーショットです。

 






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