11・12月頃の皇居の内濠周辺に見られた草木の花や実の中から


「11・12月頃の皇居の内濠周辺に見られた草木の花や実の中から」

 6月頃から咲いていたハナゾノツクバネウツギの花がまだ咲き続けている中で、ユリの木の黄葉が目立つ晩秋となりました。
 内濠の縁には、カンツバキやサザンカの花に混じって、シャリンバイの黒い実やアツバキミガヨランの白い花も人目を引いております。
 街路樹に植えられているエンジュやエノキなどの木の実も落葉と共に目立ってきましたし、気をつけて見ると常緑のクスノキやイヌツゲの葉かげに黒い実も見られます。(季節外れのリュウキュウツツジの白い花もちらほら目立っています)
 内堀周辺をお散歩がてら、この季節の草木の姿をお楽しみ下さい。

撮影・解説:永井昭三

永井昭三先生にメッセージや質問などをお寄せください。
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<木の花の部>

  
アオキの実 ヤツデの花 カンツバキの花 サザンカの花 タカオモミジの実
アオキの実 ヤツデの花 カンツバキの花 サザンカの花 タカオモミジの実
イヌツゲの実 ソヨゴの実 エンジュの実 シャリンバイの実 タチバナモドキ(ピラカンサ)の花
イヌツゲの実 ソヨゴの実 エンジュの実 シャリンバイの実 タチバナモドキ(ピラカンサ)の花
トベラの実 クスノキの実 ユリノキの実 エノキの実 ウバメガシの実
トベラの実 クスノキの実 ユリノキの実 エノキの実 ウバメガシの実

<草の部>

ツワブキの花 ヨモギの花 ツルドクダミの花 アツバキミガヨランの花 メリケンカルカヤの穂
ツワブキの花 ヨモギの花 ツルドクダミの花 アツバキミガヨランの花 メリケンカルカヤの穂



 



木の花の部

アオキの実 【ミズキ科】
アオキの実 【ミズキ科】
撮影日:2015年12月1日
 関東より西の地方の日陰によく生えている日本特産の常緑の低木(2~3m)です。雄の木と雌の木があります。庭や公園にもよく植えられています。
 根もとから幹がたくさん立ち上がって伸びています。幹には太い緑色の枝を分けて茂っています。枝には、先が細くなっただ円形の厚くてつやのある緑の葉を対生させています。葉の縁には荒いギザギザ(鋸歯=きょし)が目立ちます。
 2~4月頃、枝の先に紫の小さな花(花径約7mm)の集まりを、雄・雌それぞれの木に咲かせていました。
 秋から冬にかけて、雌の木の枝には、赤いサンゴのような艶(つや)のあるだ円形の実(1.5~2cm)の集まりが葉の間から見られます。実の中には、褐色でだ円形の種(1~1.8cm)が1粒入っています。
 名前は、枝が青い(緑色)ことからつけられたものです。

 

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ヤツデの花 【ウコギ科】
ヤツデの花 【ウコギ科】
撮影日:2015年11月7日
 福島県より西の海に近いところの野山や林に生えている常緑の低木(約2.5m)です。
 幹は、根もとから数本立ち上がり、まばらに枝を分けています。手のひら状に広げたつやのある大きな葉(20~40cm・7~9裂している・縁にギザギザ=鋸歯=きょしがある)を、長い柄(15~45cm)で枝先に輪生するように互生しています。
 10~12月頃、幹の先に白い小さな花(花径約5mm)が短い柄で球状に集まった花のかたまり(散形花序)をたくさんつけている大きな花の集まり(円すい花序)が見られます。
 花には、おしべだけの雄花と、おしべもめしべも揃っている両性花があります。どちらにも花びらは5枚あり、雄花にはおしべだけが5本・両性花にはおしべ5本と花柱が5本あるめしべが見られます。両性花の後には、緑の球形の実ができます。この実は、4~5月頃黒く熟します。
 名前は、葉が切れ込んでいる様子を8つ(多数)に割れた手に例えてつけたものです。

 

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カンツバキの花 【ツバキ科】
 【ツバキ科】
撮影日:2015年11月9日
 暖かい地域に生える常緑の低木(0.5~3m)です。サザンカのかわりもので、庭や公園・生け垣などによく植えられています。
 幹は、低いところで枝分かれして横に広がる性質があります。葉は厚みがあり、葉先ともとが尖(とが)っただ円形(5~6cm)をしています。縁には細かいギザギザ(鋸歯=きょし)があります。
 12~3月頃、紅色で中くらいの大きさ(中輪=ちゅうりん・花径8~9cm)の半八重の花が咲きます。
 花には、淡い緑色のがく苞(ほう)が5~7枚・紅色の花びらが15~20枚・おしべが20本前後(花糸と葯=やくが黄色)・花柱が3裂しているめしべ1本が見られます。
 名前は、寒い冬にツバキに似た花を咲かせるところからつけられたものと思われます。
 ※カンツバキの中には、高さが3~7mになるタチカンツバキという種類もあります。葉も花もほとんどカンツバキと変わらないようです。

 

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サザンカの花 【ツバキ科】
サザンカの花 【ツバキ科】
撮影日:2015年11月18日
 庭や公園に植えられている常緑の小高木(3~8m)です。野生のもの(白い花が咲く)は四国・九州の山に生えていますが、山口県の萩市が北限といわれています。
 幹は、灰褐色で枝をたくさん分けており、つやのあるツバキより小形でだ円形の葉(3~6cm)を互生しています。葉の縁には、小さなギザギザ(鋸歯=きょし)が見られます。
 10~12月頃、枝先に花(花径約6cm)を1花ずつ咲かせます。公園などでは、紅・桃・紅のぼかしなどの色の花を咲かせる品種が見られます。
 花には、瓦(かわら)状に重なっている平たい円形のがくや総苞(そうほう)・水平に広げている細長い花びら5~7枚(先に深い切れ込みがある)・おしべ多数(花糸の下がわずかにくっつき合っている)・花柱が3裂しているめしべ1本が見られます。花と一緒に昨年咲いた花の実も見られます。
 名前は、ツバキの中国名「山茶花」から「茶山花=サザンカ」になったようです。

 

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タカオモミジの実 【カエデ科】
タカオモミジの実 【カエデ科】
撮影日:2015年11月21日
 福島より西の地方の山に生えている落葉高木(10~15m)です。庭や公園などにも植えられています。
 木の幹の表面は灰褐色をしており、枝には、手のひら形に5~7裂している葉(4~7cm)をたくさんつけています(ヤマモミジやオオモミジより小さい)。葉の縁には、大小不規則のするどいギザギザ(鋸歯=きょし)が見られます。
 花は、4~5月頃、若い枝の先に暗い紅色の小さな花(おしべだけの雄花とおしべとめしべが揃っている両性花が混じっている)を咲かせていました。
 今は羽(翼=よく・1つの翼の長さは約1cm)がついている実2つをほぼ水平につけたもの(翼果=よくか)が柄でぶら下がっています。
 名前は、京都の高雄山に多いことからつけられたものです。

 

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イヌツゲの実 【モチノキ科】
イヌツゲの実 【モチノキ科】
撮影日:2015年11月6日
 全国の野山の湿り気の多いところを好んで生えている常緑の低木(3~5m)です。雄の木と雌の木があります。
 幹に枝を茂らせて、厚みのあるだ円形の葉(約1.5cm)を密に互生させています。葉の色は、表側は濃い緑色で、裏側は淡い緑色をしています。葉の縁には、かすかにギザギザ(鋸歯=きょし)が見られます。
 6~7月頃、葉の脇に雄の木では淡い黄白色の小さな花をたくさん集めて咲かせ、雌の木では1花ずつ咲かせていました。
 秋から冬にかけて、雌の木の葉の脇に黒く熟した球形の実(径約6mm)が見られます。実の中には、褐色の種(径約4mm)が1粒入っています。
 名前は、木の姿がツゲに似ているがツゲほど役に立たない木ということで、イヌがつけられました。

 

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ソヨゴの実 【モチノキ科】
ソヨゴの実 【モチノキ科】
撮影日:2015年12月1日
 中部山地より西の暖かい地方の山に生える常緑の低木(2~3m)です。雄の木と雌の木があります。
 枝は灰色をしています。葉(4~8cm)は先が尖(とが)った卵形です。つやがあってやや堅(かた)めで、葉の縁は少し波打っています。 5~6月頃、葉の脇に小さな白い花を開いていました(雄の木の花は3~8花が集まってつき、雌の木では普通1花だけついていた)。
 11月の今頃は、雌の木の葉の脇から出ている長い柄(2.5~4cm)の先に赤い球形の実(約8mm)が1つずつついているのが見られます。
 実の中には、球を4つに割ったような形の黄褐色の種(3~4mm)が4~5個入っています。
 名前は、硬い葉が風のそよぎで、ざわざわと音を立てるところからつけられたものです。

 

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エンジュの実 【マメ科】
エンジュの実 【マメ科】
撮影日:2015年12月1日
 中国生まれの落葉高木(10~25m)です。街路や庭によく植えられています。
 樹皮は暗い灰色で縦に割れ目が見られます。若い枝は緑色をしており、細かい毛が生えています。葉は、小さい葉(小葉=しょうよう)が4~5対集まっている複葉(奇数羽状複葉・20~30cm)で、表側は深緑色ですが、裏側は白い毛が生えていて白味をおびています。
 7~8月頃、小枝の先に淡い黄白色の花(蝶形の花)の集まり(複総状花序・20~30cm)を咲かせていました。
 今は、円筒状でくびれの見られる淡い緑色の数珠(じゅず)のような感じの実(5~8cm)が枝先にたくさんぶら下がっています。実の中には、黒紫色のじん臓形の種(6~7mm)が1~4粒入っています。
 名前は、エニスといっていたものが変わったといわれていますが、エニスの意味は不明です。

 

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シャリンバイの実 【バラ科】
シャリンバイの実 【バラ科】
撮影日:2015年11月9日
 本州中部より西の地方の海岸に生えている常緑の低木(1m)です。観賞用に庭や公園によく植えられています。
 幹はよく枝分かれして、葉は枝先近くに輪生しているような姿で互生しています。葉の形は、中ほどが広がっただ円形(広だ円形)でかたく、縁にはかすかにギザギザ(鋸歯=きょし)が見られることがあります。葉の表面は暗い緑色で、裏は淡い緑色をしており、少し縁が裏側に反っています。
 5月頃、枝の先の葉の間に白い花を開いた花の集まり(円すい花序)が見られましたが、11月の今は、花の後に黒く熟した実(果径約1.2cm)の集まりが円すい状に見られます。実の中には、球形の褐色の種(8~9mm)が1つ入っています。種の周りは少しねばついています。
 名前は、花がウメのような形をしており、葉の並び方が車輪の形に見えるような形に互生しているところからつけられました。

 

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タチバナモドキ(ピラカンサ)の花 【バラ科】
タチバナモドキ(ピラカンサ)の花 【バラ科】
撮影日:2015年11月13日
 中国西南部で生まれた常緑の低木(2~5m)です。明治時代に、日本に入ってきました。庭や公園・生け垣などに植えられたり、盆栽などに利用されたりしています。
 幹や小枝には刺(とげ)が見られます。葉は細長いだ円形で縁には細かいギザギザ(鋸歯=きょし)が見られます。葉の表は濃緑色で艶(つや)があり、裏は明るい緑色をしています。
 5~6月頃、枝に見られる短い枝の先に、白い花の集まり(10数花・散房花序)を咲かせていました。
 10月から12月頃にかけて、濃い赤色で押しつぶされたような球形の熟した実(6mm前後)をたくさんかためてつけています。実の中には、黒い色をした種(2~3mm)5粒が真ん中の軸を取り囲むようについています。
 名前は、実を小形の柑(タチバナ=ミカンの昔の名前)の実になぞらえてつけられたものといわれています。

 

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トベラの実 【トベラ科】
トベラの実 【トベラ科】
撮影日:2015年11月7日
 宮城県より西の暖かい地方の海に近いところに生えている常緑の低木(2~3m)です。庭や公園にも植えられています。雄の木と雌の木があります。
 葉(6~8cm)は厚く長いだ円形で、先の方は円く、もとの方は細くなっています。そして、葉の縁は裏側に反っています。
 5~6月頃、茎の先に伸び出した長い柄に支えられて白い花を、雄の木・雌の木それぞれに咲かせていましたが、今は、雌の木に緑色の球形の実(径1.5mm)がついています。実の中には粘った赤褐色の柔らかい皮(仮種皮=かりしゅひ)に包まれた種(径約5cm)が20個前後入っています。実は3つに裂けますが、それぞれの裂片には種が2列に並んでいるのが見られます。
 名前は、節分の日に鬼(おに)よけにこの枝を扉につけて利用したことからつけられたものです。

 

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クスノキの実 【クスノキ科】
クスノキの実 【クスノキ科】
撮影日:2015年11月13日
 関東より西の暖かい地方に生えている常緑の高木(20m以上)です。
 枝や葉に傷をつけると樟脳(しょうのう)の匂いがしますが、樟脳やセルロイドをつくる原料であることで知られています。枝を広く張って葉をこんもりと茂らせ、公害にも強いので緑の供給源としても大きな役割を果たしています。
 4月半ば頃、新しい枝の葉の脇に柄に支えられた淡い緑白色の花(花径約5mm)を咲かせていました。
 今は柄の先のふくらみ(果托=かたく)の上に、黒く熟した実(径5~8mm)が1つずつついています。実の黒い皮をはいで見ると、丸くて黒いつやのある種が1つ入っています。
 名前は、「香りが高く霊妙な木→奇し木=くすしき」から変わったということです。

 

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ユリノキの実 【モクレン科】
ユリノキの実 【モクレン科】
撮影日:2015年11月24日
 北アメリカ生まれの落葉高木(10~50m)で、公園や街路によく植えられています。
 幹は真っ直ぐに伸び上がって枝を広げています。幹の色は灰黒色で、大きくなった木では表面に不規則な裂け目ができています。枝には、長い柄(3~10cm)のある着物の半纏(はんてん)に似た形の淡い緑色の葉(約15cm)を互生しています。
 5~6月頃、枝先に黄緑色のチューリップの花に似た形の花(花径約6cm・花の下部はオレンジ色をしている)をつけていました。
 今は、先が細くなっただ円形の羽のようなもの(翼果=よくか・2.5~3.5cm)が集まっている実(約7cm・集合果)の集まりが柄の先についています。翼果の内側の下の方の出っ張っているところには、1粒(たまに2粒)の黄褐色の種が入っています。
 名前は、花の姿がユリやチューリップの花に似ているところからつけられたものです。

 

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エノキの実 【ニレ科】
エノキの実 【ニレ科】
撮影日:2015年12月1日
 野山に生えている落葉高木(15~20m)です。昔は一里塚にも植えられていました。
 樹皮は灰黒色をしていてざらざらしています。葉(4~10cm)は、先の尖(とが)っただ円形で葉のもとは左右段違いにいびつで、葉の先の方には、低いギザギザ(鋸歯=きょし)があります。3本の太い脈が目立ち、葉の面がざらついています。
 4月頃、淡い黄色の小さな花が雄花と雌花に分かれて咲きました。
 今は、葉の脇に小さな実(約7mm)が1つずつついています。実は黄色く熟すと食べられます。実の中には、褐色で球形の種(約5mm)が1つ入っています。
 名前の意味はよくわかりません。夏にこの木の木陰で快適に涼めるところから、木偏(きへん)に夏の字を組み合わせて、エノキと呼んでいます。

 

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ウバメガシの実 【ブナ科】
ウバメガシの実 【ブナ科】
撮影日:2015年12月1日
 暖かい地方の山の中や海辺近くに生えている常緑の高木(2~10m)です。
 枝には、だ円形の葉先近くの縁にギザギザ(鋸歯=きょし)がある葉を互生しています。
 5月頃、新しく出た枝の下の方の葉の脇に雄花をたくさんつけたひも状の花穂を垂らし、上の方の葉の脇には雌花を2花程つけた花穂が見られました。今年咲いた雌花の実のもとは冬を越して次の年にドングリ(実)に育ちます。
 11月の今頃、枝の上の方の葉の脇に実(約2cm)が目立ってきました。これは、昨年咲いた雌花が育ったものというわけです。実は深いお椀(わん)のようなもの(殻斗=かくと)をかぶっています。殻斗の表面には、小さな三角状のもの(総苞片=そうほうへん)が一面についています。実の先の尖(とが)ったものは、めしべの花柱の名残(なごり)です。
 名前は、淡い褐色の木の芽の色がお婆さん(うば)色であることからつけられたようです。

 

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草の部

ツワブキの花 【キク科】
ツワブキの花 【キク科】
撮影日:2015年12月1日
 関東より南の海岸近くに多く生えている丈夫な常緑の多年草(約60cm)です。観賞用に庭によく植えられています。
 太い根のような地中の茎から、長い柄のある円いじん臓形の厚い葉(4~15cm)をたくさんの伸び出させています。葉の表はつやのある深緑色で、葉の縁には低いギザギザ(鋸歯=きょし)があります。
 10~12月頃、地中から長い花茎を伸ばして枝を分け、その先に黄色い頭状花(頭花・花径約5cm)を1花ずつつけています。頭花のもとには、淡い緑の総苞片(そうほうへん・背面に毛が生えている)が1列に並んでいます。総苞片の内側にはめしべだけの舌状の花(舌状花)が1列に並び、中央にはおしべもめしべも揃った両性の筒状の花(管状花)が集まっています。
 名前は、つやのある葉をもつフキということでツヤブキからツワブキとなったようです。

 

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ヨモギの花 【キク科】
ヨモギの花 【キク科】
撮影日:2015年12月2日
 道端や野山に普通に見られる多年草(0.5~1m)です。
 地下茎が横に広がりながら芽を出して群がるように生えています。葉には深い切れ込みやギザギザ(鋸歯=きょし)が見られるだけでなく、葉の裏には灰白色の毛が一面に生えていて白く見えています。
 8~11月頃、茎の先の方でたくさんの枝を分けて、枝ごとにたくさんの緑白色の頭花(3~4mmでだ円形)をつけた花穂が見られます(複総状花序)。
 頭花は、細長いたくさんの総苞(そうほう・2.5~3.5mm・まばらにクモの巣のような毛が生えている)に囲まれており、中から淡い褐色の管状花がのぞいています。
 名前の由来はよくわかりません。別の名前をモチグサといいますが、若芽を摘(つ)んで草餅(くさもち)をつくるのでついた名前です。他にカズザキヨモギという名前もあります。

 

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ツルドクダミの花 【タデ科】
ツルドクダミの花 【タデ科】
撮影日:2015年11月21日
 江戸時代(1720年頃)に中国から入ってきた、茎がつるになる多年草(木質の蔓にもなる・1~2m)です。
 地中には、丸いかたまりに見える根のような茎があります。蔓(つる)になって伸びている茎には、長い柄(約4cm)で先の尖(とが)ったハート形の葉(5~8cm)を互生させていますが、葉の柄のもとは円筒形の膜質の鞘(さや・托葉=たくようという)が茎を包んでいます。
 9~11月頃、枝先や葉の脇に無数の白い小さな花(花径5~8mm)を咲かせています(枝分かれした円すい花序)。
 花には、先が5つに裂けたがく(白~薄い紅色で花びらはない)・おしべ8本・めしべ1本(卵形の子房の先に3つに分かれた花柱がある)が見られます。
 名前は、葉がドクダミに似ていて、茎がつるになる植物という意味でつけられたものです。

 

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アツバキミガヨランの花 【ユリ科】
アツバキミガヨランの花 【ユリ科】
撮影日:2015年11月13日
 北アメリカ南部の海岸地方生まれの常緑低木(0.5~2.5m)です。公園や洋風の庭でよく見かけられます。
 灰緑色で肉厚のかたい葉(長さ約50cm・幅約5cm)が茎のもとから先の方に群がり立つようについています。葉先には鋭い刺(とげ)があり、葉の面は荒い手触りが感じられます。
 5~6月頃、茎の先から1~2mの花茎を伸ばして、たくさんの卵形の白い花(長さ約5cm)を円穂状に咲かせていましたが、9~12月ごろにも咲かせます。秋に咲く花は、気温が低いので、淡い紅紫色をおびることがあります。花には、花びら(花被片)6枚・おしべ6本・めしべ1本(花柱が3裂している)が見られます。
 名前は、同じ仲間のキミガヨランの学名に「栄光ある」という意味が含まれているので、君が代が栄えるという意味にとらえてつけられたものとありますが、本種はアメリカ南部の葉の厚みが有るところからつけられたものと考えられます。

 

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メリケンカルカヤの穂 【イネ科】
メリケンカルカヤの穂 【イネ科】
撮影日:2015年12月1日
 北アメリカ生まれの日がよく当たる草原によく生える多年草(0.5~1m)です。50年ほど前に入ってきたようですが、近頃はあちこちに見られるようになりました。
 茎は、赤褐色をしており、真っ直ぐに立ち上がってまばらに株をつくっています。茎には、細い線のような葉(幅5mm・長さ30cm位で先が尖=とがっている)を2列に並べてつけています。葉のもとの鞘(葉鞘=ようしょう)は押しつぶされたように平らです。葉から葉鞘に移る入口には、帯状の薄い膜(葉舌=ようぜつ・約6mm)が見られます。
 10~11月にかけて、茎の上の方の葉は、数cmの短い葉(苞葉=ほうよう)になって、白く長い毛の生えた小さい穂(小穂=しょうすい)の集まりを取り巻いています。このような苞葉と小穂の集まりが、茎の先の方に段々になって穂をつくっています。
 名前は、アメリカ生まれのカルカヤという意味でつけられたものです。

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