6月の北の丸公園を飾ってくれた草木の花々から


「6月の北の丸公園を飾ってくれた草木の花々から」

 キンシバイやビヨウヤナギに混じって、キンシバイの園芸種ヒデコウトの鮮やかな黄色の花が目立ってきました。
 待ちに待ったナツツバキの白い花もやっと姿を見せてくれるようになりました。
 公園の吉田茂像付近には、大きなカップを思わせるタイサンボクの花も大きく開いて、威容を発揮しております。
 白いドクダミやノハカタカラクサ、ピンクのヒルガオやヤエキョウチクトウの花もそこかしこに姿を見せて公園を飾ってくれております。
 梅雨の晴れ間を利用して、草木の姿をお楽しみください。
撮影・解説:永井昭三

永井昭三先生にメッセージや質問などをお寄せください。
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<木の部>

キンシバイの花 ビヨウヤナギの花 ヒデコウトの花 ヤエキョウチクトウの花 ナツツバキの花
キンシバイの花
ビヨウヤナギの花
ヒデコウトの花 ヤエキョウチクトウの花 ナツツバキの花
シモツケの花 サラサウツギの花 タイサンボクの花 ハクチョウゲの花
シモツケの花 サラサウツギの花 タイサンボクの花 ハクチョウゲの花
ヤマボウシの花 ガクアジサイの花
ヤマボウシの花 ガクアジサイの花

<草の部>

ヒメジョオンの花 ドクダミの花 ヒルガオの花 コヒルガオの花 タチアオイの花
ヒメジョオンの花 ドクダミの花 ヒルガオの花
コヒルガオの花
タチアオイの花
ノハカタカラクサの花
ノハカタカラクサの花



 





<木の部>

キンシバイの花
ビヨウヤナギの花  【オトギリソウ科】
キンシバイの花 ビヨウヤナギの花  【オトギリソウ科】
撮影日:2013年6月3日  撮影場所:千代田区北の丸公園
★キンシバイの花:茎が根もとからたくさん生え出してたくさんの枝を分けて、小さな株を作っています。葉には柄がなく、卵状長だ円形の薄い葉を枝に対生させています。
 6~7月頃、垂れ気味の枝先にウメの花に似た黄色い花(花径3~4cm)を1花ずつ咲かせます。花には、緑色のがく片が5枚・やや厚くつやのある黄色い花びらが5枚・おしべ多数(もとが5つの束になっている)・花柱の先が5裂しているめしべ1本が見られます。
★ビヨウヤナギの花:茎を根もとからたくさん伸ばして、大きな株を作っています。枝には、両端が細くなってとがっているだ円形の柄のない薄い葉を十字状に対生させています。
 6~7月頃、枝先がさらに細かく分かれたその先に花(花径4~6cm)の集まりをつけます。花には、緑色のがく片が5枚・先の広がった花びらが5枚・花びらより長いおしべ多数(下が5つの束になっている)・子房の先の花柱が5裂しているめしべ1本が見られます。

 

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ヒデコウトの花  【オトギリソウ科】
ヒデコウトの花  【オトギリソウ科】
撮影日:2013年6月4日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 キンシバイの園芸種で、キンシバイより丈夫そうな茎や枝が茂っています。枝には、葉先が細くなった細長い卵形の葉(7~9対)を短い柄で対生しています。
 花は鮮やかな黄色で、花もキンシバイより大きく(花径約7cm)、花の数も多くついています。
 花には、緑色のがく片が5枚・縁に切れ込みが1か所ある黄色い花びら5枚・おしべ多数(下部が5つの束になっている)・子房の花柱が5裂しているめしべ1本が見られます。

 

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ヤエキョウチクトウの花  【キョウチクトウ科】
ヤエキョウチクトウの花  【キョウチクトウ科】
撮影日:2013年6月4日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 キョウチクトウの変種です。葉は厚くてかたく、両端が細くなった細長いだ円形の葉(10~20cm)を3枚ずつ輪生しています。茎や葉に有毒成分が含まれているので、口に入れないように気をつけて下さい。
 6~8月頃、新しい枝の先に花(花径4~5cm)を咲かせます(集散花序)。花は、紅色の八重咲きで、花には、深く5裂しているとがったがく片・もとが筒形にくっついているたくさんの花びら・おしべの葯(やく)の先に毛が生えた糸状の付属物が見えるおしべの変りものが見られます。

 

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ナツツバキの花  【ツバキ科】
ナツツバキの花  【ツバキ科】
撮影日:2013年6月6日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 木の皮がはがれてつるつるした木肌(はだ)が見られる木です。
 枝には短い柄で先が細まっただ円形のやや厚い葉(約10cm)を互生しています。
 葉の縁には波のような低いギザギザ(鋸歯=きょし)があります。
 6~7月頃、新しい枝の葉の脇に、長い柄(約5cm)を伸ばして白い花(花径5~7cm)を1花ずつ咲かせます。花には、緑色のがく片が5枚・縁に細かいギザギザのある白い花びら5枚・おしべ多数・先が5裂しているめしべ1本が見られます。

 

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シモツケの花  【バラ科】
シモツケの花  【バラ科】
撮影日:2013年6月1日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 根もとからたくさんの茎を伸ばして枝を分けて株を作っている小形の木です(0.5~1m)。葉は先のとがった長いだ円形(5~9cm)で、葉の裏面はやや白く、縁には大小の混じったギザギザ(重鋸歯=じゅうきょし)が見られます。葉は枝に互生しています。
 6~8月にかけて、枝先に淡い紅色の小さな花の集まりを半球状に咲かせます(複散房花序)。
 花(花径4~6mm)には、先のとがった三角状のがく裂片が5枚・円形の花びら(つめがある)5枚・おしべ多数(淡い紅色で長い花糸と紅紫色の葯=やく)・先が5裂しているめしべ1本が見られます。

 

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サラサウツギの花  【ユキノシタ科】
サラサウツギの花  【ユキノシタ科】
撮影日:2013年6月1日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 ウツギの変種です。たくさんの枝を分けており、短い柄で葉を対生させています。葉は、先の細まった卵形で、縁にはかすかな浅いぎざぎざ(鋸歯=きょし)があります。
 花は、八重咲きで、花全体が白いものをシロバナヤエウツギといい、ここで取り上げたもののような花弁の表側は白いが裏側が淡い紅色のものをサラサウツギといっています。
 花には、鐘形のがく筒の先が三角状に5裂しているがく・先が細くなっている細長いだ円形の花びら多数・めしべ3~4本(糸状のもの)が見られます。

 

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タイサンボクの花  【モクレン科】
タイサンボクの花  【モクレン科】
撮影日:2013年6月3日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 真っ直ぐに立ち上がって枝を広げ、厚く大柄な葉(12~25cm)を互生させています。葉の表はつやのある濃い緑色ですが、裏は鉄さび色の毛がびっしり生えています。葉の縁は少し裏側へ反っています。
 5~6月頃、枝先によい匂(にお)いのする大きな白い花(花径10~15cm)を1花ずつ咲かせます。
 花には、花びらのようながく片が3枚・花びらが普通は6枚(まれに9~12枚)・花軸の下の方にたくさんのおしべ・花軸の上の方にたくさんのめしべが見られます。


 

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ハクチョウゲの花  【アカネ科】
ハクチョウゲの花  【アカネ科】
撮影日:2013年6月3日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 小枝がよく茂って、両端がとがっただ円形の小さな葉(1~2cm)を対生しています。
 5~6月頃、白や淡い赤紫色をおびた小さな花(花径約1.5cm)を葉の脇に開きます。
 花には、先が5裂しているがく・ろうと状の先が5裂して開いている花びら(花びらの縁が波状に凸凹=でこぼこしている)・おしべ5本・めしべ1本(花柱が2本ある)が見られます。

 

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ヤマボウシの花  【ミズキ科】
ヤマボウシの花  【ミズキ科】
撮影日:2013年6月7日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 暗褐色の枝には、わん曲した葉脈が見られ、縁が少し波打っている葉が対生しています。
 6~7月頃、昨年伸びた枝の先から花の柄が伸び出て、その先に4枚の白い花びらのようなもの(総苞=そうほう)を開き、その真ん中に球形の小さな花の集まり(頭状花序)をつけています。
 花には、花びら4枚・おしべ4本・めしべ1本が見られます。

 

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ガクアジサイの花  【ユキノシタ科】
ガクアジサイの花  【ユキノシタ科】
撮影日:2013年6月3日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 茎は根もとからたくさん伸び出ており、葉を対生させています。葉は、両端が細くとがっただ円形で、厚みがあり、縁にはギザギザ(鋸歯=きょし)があります。
 6~7月頃、枝先に大きな花の集まりをつけます(散房花序)。花の集まりの外周には、青紫色~白みがかった紫色の大きながくの見られる飾り花(花径約5cmで、がく片4~5枚・数本のおしべ・退化しためしべが見られる)を配置しております。中央部にはたくさんの淡い紫色の両性花(三角形のがく片5枚・先のとがっただ円形の花びら5枚・おしべ約10本・花柱が3~4裂しているめしべ1本が見られる)が集まっています。
 北の丸には、このほかに、アジサイ・コアジサイ・シチダンカの花も見られました。

 

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<草の部>

ヒメジョオンの花  【キク科】
ヒメジョオンの花  【キク科】
撮影日:2013年6月3日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 ハルジオンによく似ていますが、次の点が違います。①茎や葉に荒い毛がまばらに生えている。②根ぎわに生えている葉(根生葉)に長い柄がある(花が咲くころには根生葉はなくなっている)。③茎についている葉は茎を抱いていない。④花は蕾の時から上を向いている。⑤茎の中は中空ではない。
 5~10月にかけて(ハルジオンより遅れて)花を咲かせます。花は、小さな花の集まり(頭花・花径約1.5cm)でできており、茎の先に枝を分けてたくさん集まっています(散房花序)。
 頭花の周りは、白~淡い紫色の細長い花びらが見られる舌状の花(約8mm。めしべしかなく、おしべも冠毛=かんもうもない)に取り巻かれており、中の方には、黄色い筒状の花(おしべとめしべがあり、花の周りには冠毛もある)が集まっています。

 

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ドクダミの花  【ドクダミ科】
ドクダミの花  【ドクダミ科】
撮影日:2013年6月1日  撮影場所: 千代田区北の丸公園
 茎には、暗い緑紫色でハート形をした葉をまばらに互生させています。葉のもとには、小さな葉(托葉=たくよう)が見られます。
 6~7月頃、茎の上の方に花の穂を出して、白い花びらのようなもの(総苞=そうほう)をつけ、その上に淡い黄色の塔(とう)のような花の集まり(穂状花序=すいじょうかじょ)をつけています。花には、がくも花びらもなく、おしべが3本・めしべ1本(先が3裂している)が見られます。

 

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ヒルガオの花 コヒルガオの花  【ヒルガオ科】
ヒルガオの花 コヒルガオの花  【ヒルガオ科】
撮影日:2013年6月4日  撮影場所: 千代田区北の丸公園
 つるになった茎で周りのものに巻き付きながら伸びています。
★ヒルガオの花:細長い葉のもとは耳形で、その先が細まりながら下の方に張り出しています。花の柄はつるっとしています。花(花径約6cm)には、花のもとに大きな2枚の苞葉(ほうよう)があり、苞葉にはさまれている5裂した緑色のがく片・筒先がラッパ形に開いた淡い紅色の花びら・おしべ5本・めしべ1本(柱頭が少しふくらんで2裂している)が見られます。
★コヒルガオの花:ヒルガオの葉より短くもとの方が左右に張り出して多くは先が2裂しています。花の柄の上の部分にはギザギザ(翼=よく)があるところがヒルガオと違います。花はヒルガオより小形(花径約4cm)ですが、つくりは似ています。

 

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タチアオイの花  【アオイ科】
タチアオイの花  【アオイ科】
撮影日:2013年6月3日  撮影場所: 千代田区北の丸公園
 円柱形の真っ直ぐに伸び上がっている茎には、白い毛が生えており、長い柄(葉柄=ようへい)のある浅く5~7裂した葉を互生しています。裂片の縁には鈍いギザギザ(鋸歯=きょし)が見られます。
 5~8月頃、葉の脇に1~2輪ずつ短い柄のある大きな花(花径約8cmで、花の色には白・赤・桃・黄などがある)をつけますが、花は下から上に順に咲き上がります。花のもとの方には、先が5~8裂している筒状の苞葉(ほうよう)があります。
 花には、苞葉の内側に先が5裂しているがく・らせん状に巻いている花びら5枚・棒状にまとまって伸び上がっているおしべの集まり・柱頭が糸のように分かれているめしべの集まりが見られます。

 

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ノハカタカラクサの花  【ツユクサ科】
ノハカタカラクサの花  【ツユクサ科】
撮影日:2013年6月6日  撮影場所: 千代田区北の丸公園
 茎は地面をはいながら枝を分けて、茎の節からは根を出し、茎の先は斜めに立ち上がっています。茎には、先のとがっただ円形の葉(長さ3~5cm・幅約2cm・縁に白い毛が見られる)を互生しています。葉のもとは鞘(さや)になっています。
 5月頃から夏にかけて、茎の先の葉の脇に白い花(花径約1.5cm)を数花ずつつけます。
 花には、緑色で舟形のがくが3枚(約6mm・外面に毛が生えている)・白い花びら3枚(先が細まった卵形)・おしべ6本(花糸の下側には長い毛が密生している)・めしべ1本(白い線形)が見られます。

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