実りの秋です 今年もドングリが実りました


「実りの秋です 今年もドングリが実りました」

 ブナの仲間の普通ドングリと呼ばれている実がいろいろと見られました。今年は、例年に比べて生(な)りが悪かったり、生育が遅れたりしたものもありましたが、千代田区の北の丸公園・文京区の小石川植物園・練馬区の光が丘公園・江東区の木場公園・品川区の林試の森公園を散策しながら取材したものをご紹介します。
 ついでに、ブナの仲間の実としてよく知られているクリの実も添えさせていただきましたので、実の外側に見られる帽子状のもの(総苞=そうほう)を比べながらご覧いただき、特徴をつかんでいただければ幸いです。
 この度は、イチイガシ・シリブカガシ・ツクバネガシの木にもお目にかかったのですが、ドングリに巡り会えず残念でした。

撮影・解説:永井昭三

永井昭三先生にメッセージや質問などをお寄せください。
http://www3.jsf.or.jp/mlmaster/


 

スダジイ(イタジイ)のドングリ ツブラジイ(コジイ)のドングリ マテバシイのドングリ ウバメガシのドングリ
スダジイ(イタジイ)のドングリ ツブラジイ(コジイ)のドングリ マテバシイのドングリ ウバメガシのドングリ
コナラのドングリ ミズナラのドングリ ナラガシワのドングリ アメリカガシワのドングリ
コナラのドングリ ミズナラのドングリ ナラガシワのドングリ アメリカガシワのドングリ
クヌギのドングリ アベマキのドングリ カシワのドングリ アラカシのドングリ
クヌギのドングリ アベマキのドングリ カシワのドングリ アラカシのドングリ
シラカシのドングリ アカガシのドングリ ウラジロガシのドングリ ハナガガシのドングリ
シラカシのドングリ アカガシのドングリ ウラジロガシのドングリ ハナガガシのドングリ
クリの実
クリの実



 





スダジイ(イタジイ)のドングリ
<ブナ科>
スダジイ(イタジイ)のドングリ
撮影日:2012年9月25日  撮影場所:千代田区日比谷公園
 スダジイのドングリ(実)の帽子(殻斗=かくと・総苞=そうほう)は若いうちは灰緑色の先がとがっただ円形で、初めのうちはドングリをすっぽり包んでいますが、実が熟してくると先が3裂して黒褐色のつやのある実が突き出て見えてきます。総苞の表面には、細かいうろこ状のもの(総苞片=そうほうへん)が10段ほど輪状に瓦(かわら)を重ねたように見えます。実(約1.5cm)は先のとがった細長い卵形で、先にはめしべの花柱が残っています。
 6月頃、新しい枝の葉の柄の脇から雄花の穂を上向きにつけ、雌花の穂は下の方の葉の柄の脇に上向きにつけています。実は翌年の秋に熟して食べられます。
 葉(3~5cm)は先が細長くとがっただ円形です。厚くてかたく、表はつやのある濃い緑色、裏は灰褐色の鱗片(りんぺん)状の毛が密生しています。葉は1cmほどの柄で枝に互生しています。
 木の肌は黒ずんだ灰褐色で、深い縦の裂け目が多く見られます。

 

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ツブラジイ(コジイ)のドングリ
<ブナ科>
ツブラジイ(コジイ)のドングリ
撮影日:2012年10月25日  撮影場所:文京区小石川植物園
 ツブラジイのドングリ(実)の帽子(殻斗=かくと・総苞=そうほう)はスダジイの殻斗と同じように若いうちは灰緑色をしていますが、ドングリを完全に包んでいて卵状の球形(0.9~1.1cm)をしており、熟してくると先が3裂します。総苞の表面には細かいうろこ状のもの(総苞片=そうほうへん)が瓦(かわら)を重ねたように輪状に10段ほど見られます。実(0.8~1cm)は、先のとがった卵状の球形で褐色に熟し、先にはめしべの花柱が残っています。
 6月頃、新しい枝の下の方の葉の柄の脇に雄花の穂(5~10cm)を上向きにつけ、上の方の葉の脇に雌花の穂(5~8cm)を上向きにつけます。実は翌年の秋に熟して食べられます。
 葉(5~10cm)は、スダジイより小さく、先が急に細くなってとがった卵形で厚くてかたく、表はつやのある濃い緑色、裏は銀灰色の鱗片状の毛が密生しています。
 木の肌は黒っぽい灰色で、スダジイのように深い切れ込みはありませんが、時に浅い切れ込みが少し入ります。

 

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マテバシイのドングリ
<ブナ科>
マテバシイのドングリ
撮影日:2012年10月7日  撮影場所:江東区木場公園
 マテバシイのドングリ(実)の帽子(殻斗=かくと・総苞=そうほう)はお椀(わん)の形をしていて、外側に灰白色の短毛の見られる茶褐色の鱗(うろこ)のような粒々(総苞片=そうほうへん)が瓦(かわら)を並べているように見られます。実(1.5~2.5cm)は先のとがった長いだ円形で、先にはめしべの花柱が残っています。実の底は平らなので立たせるとよく立ちます。実は熟すと褐色に色づきます。湯がくと食べられます。
 5~6月頃、新しい枝の葉の柄の脇から雄花と雌花の穂を別々に出して花を咲かせます。実は、翌年の秋に熟します。
 葉(5~18cm)は、厚くて大形です。表はつやのある濃い緑色で、裏は灰褐色をおびた緑色をしています。葉の縁にはギザギザ(鋸歯=きょし)がなく滑らかです。
 木の肌は暗褐色で、縦に細く白いすじが見られますが、老木になると縦に不規則な浅い割れ目ができてきます。

 

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ウバメガシのドングリ
<ブナ科>
ウバメガシのドングリ
撮影日:2012年10月22日  撮影場所:千代田区靖国神社境内
 ウバメガシのドングリ(実)の帽子(殻斗=かくと・総苞=そうほう)は底が細くなった深い茶椀(わん)の形をしており、外側には先のとがった長いだ円形の鱗(うろこ)の様な褐色の粒々(総苞片=そうほうへん・黄褐色の毛が密生している)が瓦(かわら)を重ねたように見られます。実(約1.5cm)は両端が細くなっただ円形で、実の先にはめしべの花柱が残っています。実は食べられます。
 4~5月頃、新しい枝の葉の柄の脇に雄花と雌花の穂を別々につけ、それぞれに花を咲かせます。実は、翌年の秋に褐色に熟します。
 葉は厚くてかたく、両端が細くなった長いだ円形の小さな葉(3~6cm)を枝先近くにたくさん互生しています。表はつやのある濃い緑で、裏は淡い緑色をしています。葉には、毛が生えた短い柄があり、葉の先近くには浅いギザギザ(鋸歯=きょし)が見られます。
 木の肌は黒褐色で、縦に浅い裂け目がたくさん見られます。

 

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コナラのドングリ
<ブナ科>
コナラのドングリ
撮影日:2012年9月29日  撮影場所:練馬区光が丘公園
 コナラのドングリ(実)の帽子(殻斗=かくと・総苞=そうほう)はお椀(わん)の形をしていて、外側には灰色の先のとがった小さな鱗(うろこ)の様なもの(総苞片=そうほうへん)が瓦(かわら)を並べたように密に見られます。表面には、白色の細かい毛が生えています。実(1.5~2cm)は、長いだ円形で、先にはめしべの花柱が残っています。
 5月頃、新しい枝の葉の柄の脇に雄花と雌花の穂を別々に出して、それぞれに花を咲かせますが、実は年内に実って、熟れると褐色になります。
 葉は、葉先がとがった長いだ円形(5~12cm)で葉の縁には先のとがった粗(あら)いギザギザ(鋸歯=きょし)があります。表は濃い緑色ですが、裏は淡い緑色で灰白色の伏せた毛が生えています。
 木の肌は黒味がかった灰色で、縦の深い割れ目がたくさん見られます。

 

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ミズナラのドングリ
<ブナ科>
ミズナラのドングリ
撮影日:2012年9月25日  撮影場所:千代田区皇居東御苑二の丸庭園
 ミズナラのドングリ(実)の帽子(殻斗=かくと・総苞=そうほう)は深いお椀(わん)の形をしていて、外側には淡い灰褐色の先のとがった小さな鱗(うろこ)の様な粒々(総苞片=そうほうへん)が瓦(かわら)を密に並べたように見られます。実(2~3cm)はずんぐりした卵形に近いだ円形で、先にはめしべの花柱が残っています。実の底は平らです。
 5月頃、新しい枝の葉の脇から雄花と雌花の穂を別々に出して、それぞれに花を咲かせます。実は年内に実りますが、熟れると濃い褐色になります。
 葉は大形の細長いだ円形(7~15cm)ですが、柄は極めて短く、葉の表は濃い緑色ですが、裏は淡い緑色をしており、葉のすじ(葉脈=ようみゃく)には細かい毛が見られます。葉の縁には大きく切れ込んでいて先のとがったギザギザ(鋸歯=きょし)があります。
 木の肌の色は淡い灰黒色で、縦に深い裂け目がたくさん見られ、裂け目からは褐色の部分ものぞいています。

 

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ナラガシワのドングリ
<ブナ科>
ナラガシワのドングリ
撮影日:2012年10月17日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 ナラガシワのドンクリ(実)の帽子(殻斗=かくと・総苞=そうほう)は底の広いお椀(わん)形をしており、外側にはクリの実のような形に見える小さな粒々(総苞片=そうほうへん・褐色で白い毛が密生している)が瓦(かわら)を並べたように見られます。実(約2cm)は細長いだ円形で、先には灰褐色の微毛に包まれためしべの花柱が残っています。
 4月頃、新しい枝の葉の脇に雄花と雌花の穂を別々に出して、それぞれに花を咲かせますが、実は年内に実り、熟れると褐色になります。
 葉は、中ほどが広がった大きなだ円形(長さ10~30cm・幅4~15cm)で、約2cmの柄で枝先近くに互生しています。縁には深く切れ込んだギザギザ(鋸歯=きょし)が目立ちます。葉の表はつやのある濃い緑色、裏は灰白色で細かい毛(星状毛)が見られます。
 木の肌は暗い灰褐色で、縦に裂け目がたくさん見られます。

 

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アメリカガシワのドングリ
<ブナ科>
アメリカガシワのドングリ
撮影日:2012年10月19日  撮影場所:品川区林試の森公園
 アメリカガシワのドングリ(実・約2.5cm)の帽子(殻斗=かくと・総苞=そうほう)は、ベレー帽の様な形(直径約1.5cm)をしており、外側はつやのある褐色で中ほどが広がっただ円状の小さな粒々(総苞片=そうほうへん)が瓦(かわら)を並べたようにおおっています。実(約1.5cm)は半球形で表面に白い微毛が一面に見られ、底は平らです。実の先には、めしべの花柱が残っています。
 4~5月頃、新しい枝の葉の脇に雄花と雌花の穂を別々に出して、それぞれに花を咲かせますが、実は年内に実って黒褐色に熟します。
 葉(約20cm)は、先がとがった大きなだ円形で、左右の縁には深く切れ込んだ大きなギザギザ(鋸歯=きょし)3~5片が見られます。葉の表は濃い緑色で、裏は明るい緑色をしており、鋸歯の先に届いている葉のすじ(葉脈)が鋸歯の数だけはっきり見られます。
 木の肌は灰黒褐色で、縦に裂け目がたくさん見られます。

 

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クヌギのドングリ
<ブナ科>
クヌギのドングリ
撮影日:2012年9月25日  撮影場所:江東区木場公園
 クヌギのドングリ(実)の帽子(殻斗=かくと・総苞=そうほう)は半球形(径3~3.5cm)で、外側に黄緑色(後に灰褐色になる)の先が細いひも状のもの(総苞片=そうほうへん・灰白色の毛が生えている)が生えています。実(約2cm)はほぼ球形で、実の底は皿状(約1.7cm)の淡い褐色で、実の先にはめしべの花柱が残っています。
 4~5月頃、新しい枝の葉の脇に雄花と雌花の穂を別々に出して、それぞれに花を咲かせます。実は、翌年の秋に褐色に熟します。
 葉には、1~3cmの柄があり、長いだ円形(5~15cm)で先に行くほど細くなってとがっています。葉の縁には先が針のようにとがった芒(のぎ)のあるギザギザ(鋸歯=きょし・2~3mm・芒の色は茶色)があります。葉の表はつやのある濃い緑色ですが、裏は淡い緑色をしています。葉のすじ(葉脈・12~17本)がはっきり見られます。
 木の肌は灰褐色で、縦に深い割れ目がたくさん見られます。

 

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アベマキのドングリ
<ブナ科>
アベマキのドングリ
撮影日:2012年9月29日  撮影場所:品川区林試の森公園
 アベマキのドングリ(実・約2cm)の帽子(殻斗=かくと・総苞=そうほう)はお椀(わん)形で、外側には褐色の反り返っている細長い角状のもの(総苞片=そうほうへん・短毛が生えている)が生えています。実(約2cm)は長めのだ円形で、底は平らです。実の先には、めしべの花柱が残っています。
 4~5月頃、新しい枝の葉の脇から雄花と雌花の穂を別々に出して、それぞれに花を咲かせます。実は翌年の秋に実って、褐色に熟します。
 葉は、先に行くほど細くなっている長いだ円形(皮針形=ひしんけい・約15cm)で、縁にはギザギザ(鋸歯=きょし)があり、鋸歯の先には針のようにとがった芒(のぎ・約5mm)が見られます。葉の表はつやのある濃い緑色、裏は毛が密生している灰白色です。
 木の肌は灰褐色で、縦に深い割れ目が目立ちます(これをはいでコルクを作っている)。

 

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カシワのドングリ
<ブナ科>
カシワのドングリ
撮影日:2012年9月29日  撮影場所:練馬区光が丘公園
 カシワのドングリ(実・1.5~2cm)の帽子(殻斗=かくと・総苞=そうほう)はお椀(わん)形をしており、外側には赤褐色の細長く薄い毛の様なもの(総苞片=そうほうへん)が反り返るように生えています。実は、先のとがっただ円形で、実の底は皿状(約7mm)の淡い褐色をしています。実の先には、めしべの花柱が残っています。
 5~6月頃、新しい枝の葉の脇から雄花と雌花の穂を別々に出して、それぞれに花を咲かせますが、実は年内に実って褐色に熟します。
 葉には、太く短い柄(約5mm)があり、葉(10~30cm)は先に行くほど大きく広がっていて、縁には大きな波の様なギザギザ(鋸歯=きょし)が見られます。初めは両面に毛が生えていますが、後には裏だけに残ります。葉の表は暗く濃い緑色をしていますが、裏は白緑色をしていて柔らかい毛におおわれています。
 木の肌は灰褐色~黒褐色で、縦に深い割れ目が多く見られます。

 

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アラカシのドングリ
<ブナ科>
アラカシのドングリ
撮影日:2012年10月19日  撮影場所: 品川区林試の森公園
 アラカシのドングリ(実・約1.5cm)の帽子(殻斗=かくと・総苞=そうほう)は灰緑色の可愛らしいお椀(わん)形で、外側に6本内外の輪(わ・総苞片=そうほうへんがくっつき合ってできたもので、灰白色の微毛が密生している)が見られます。実は、先のとがった丸みのある卵形で、先にはめしべの花柱が残っています。表面には縦すじも見られます。
 4~5月頃、新しい枝の葉の脇から、雄花と雌花の穂を別々に出して、それぞれに花を咲かせます。実は年内に実って褐色に熟します。
 葉は、厚くてかたく、葉先が細くとがっているだ円形(5~13cm)で、約2cmの柄で枝に互生しています。表はつやのある濃い緑色で、裏は灰緑色で細かい毛が生えています。葉の中ほどから先にかけての縁には、上向きに鋭いギザギザ(鋸歯=きょし)があります。
 木の肌は淡い灰黒褐色で、裂け目はないが、しわのような縦すじが多く見られます。

 

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シラカシのドングリ
<ブナ科>
シラカシのドングリ
撮影日:2012年10月17日  撮影場所:文京区小石川植物園
 シラカシのドングリ(実・約1.5cm)の帽子(殻斗=かくと・総苞=そうほう)は灰緑色の茶わん形をしていて、外側には6~9本の輪(わ・総苞片=そうほうへんがくっつき合ってできたもの)が見られます。表面には灰白色の微毛が密生しています。実はずんぐりしただ円形で、実の先にはめしべの花柱が残っています。
 4~5月頃、新しい枝の葉の脇に雄花と雌花の穂を別々に出して、それぞれに花を咲かせます。実は年内に実って褐色に熟します。
 葉は柄(1~1.2cm)のある細長いだ円形(5~12cm)で、先が細まりながらとがっています。葉の表はつやのある濃い緑色をしていますが、裏は灰白色です。葉の中ほどから先にかけての縁には、先のとがった丸みのある低いギザギザ(鋸歯=きょし)が見られます。
 木の肌は灰黒褐色で、割れ目はありませんが、しわ状の縦すじがたくさん見られます。

 

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アカガシのドングリ
<ブナ科>
アカガシのドングリ
撮影日:2012年10月30日  撮影場所:江東区木場公園
 アカガシのドングリ(実・約1.5cm)の帽子(殻斗=かくと・総苞=そうほう)は褐色のお椀(わん)の形をしています。外側には、6~7層の輪(わ・総苞片=そうほうへんがくっつき合ってできたもので、表面には褐色の毛が密生している)が見られます。実は、先がとがっただ円形で、実の先にはめしべの花柱が残っています。
 5~6月頃、新しい枝の葉の脇から雄花と雌花の穂を別々に出して、それぞれに花を咲かせます。実は、翌年に実って褐色に熟します。
 葉には、長い柄(1.5~3cm)があり、両端が細くなった長いだ円形(6~15cm)で、特に先の方は急に細く伸びています。葉の表はつやのある濃い緑色で、裏は淡い緑色をしています。葉は厚く、先の方に波状のギザギザ(鋸歯=きょし)が見られることがあります。
 木の肌は灰褐色でざらざらしており、古い木では深い切れ込みができて、厚い樹皮がはがれています。

 

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ウラジロガシのドングリ
<ブナ科>
ウラジロガシのドングリ
撮影日:2012年10月19日  撮影場所:品川区林試の森公園
 ウラジロガシのドングリ(実・約2cm)の帽子(殻斗=かくと・総苞=そうほう)は、灰緑色の底が細まったお椀(わん)の形をしており、外側に6~7層の輪(わ・総苞片=そうほうへんがくっつき合ってできたもので、縁にギザギザがある)が見られます。表面には細かい毛が生えています。実は、中ほどがふくらんだだ円形で表面に縦すじがたくさん見られ、先には灰色の微毛が生えている円すい形のめしべの花柱が残っています。
 5月頃、新しい枝の葉の脇に、雄花と雌花の穂を別々につけて、それぞれに花を咲かせます。実は翌年の秋にできて黒褐色に熟します。
 葉は、やや薄いが硬く、先が細長くのびてとがっている長いだ円形(10~15cm)です。表面はつやのある濃い緑色で、裏はろうを塗ったような灰白色(白い細毛が散らばって見られる)をしています。葉の縁は波打っており、中ほどより先の方にとがったギザギザ(鋸歯=きょし)が見られます。
 木の肌は、暗い灰色の中に茶褐色のすじが見られますが、表面は平らです。

 

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ハナガガシのドングリ
<ブナ科>
ハナガガシのドングリ
撮影日:2012年10月19日  撮影場所:品川区林試の森公園
 ハナガガシのドングリ(実・約 2cm)の帽子(殻斗=かくと・総苞=そうほう)は、底が細まった灰褐色のお椀(わん)の形をしています。外側には5~7層の輪(わ・総苞片=そうほうへんがくっつき合ってできたもので、層の上辺にギザギザした切れ込みが目立つ)が見られます。実は、中ほどがふくらんだだ円形で、先には円すい状のめしべの花柱が残っています。
 5月頃、新しい枝の葉の脇に雄花と雌花の穂を別々に出して、それぞれに花を咲かせます。実は、翌年の秋にできて黒褐色に熟します。
 葉は、両端がとがった細長いだ円形(5~15cm)で、薄いわりにはかたく、縁は波打っており、葉先近くにはとがったギザギザ(鋸歯=きょし)があります。表は濃い緑色で裏は淡い緑色をしており、両面ともつやがあります。
 木の肌は、灰黒褐色をしていて、縦に浅い不規則な割れ目が見られます。

 

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クリの実
<ブナ科>
クリの実
撮影日:2012年10月2日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 クリの実は、球形のイガ(とげのある総苞=そうほう)に包まれています。総苞は、実が熟すと4裂して、中から三角状でつやのある褐色のかたい皮に包まれた1~3個の実(堅果=けんか)が出てきます。堅果には、片方は丸みがあるが反対側は平らなもの・両面とも丸いもの・両面とも平らのものなどが見られ、先にはめしべの花柱が残っています。
 6~7月頃、新しい枝の下の方の葉の脇に雄花をつけた長い花穂を上向きに出し、雄花の穂の下の方の葉の脇には3個の雌花の集まりをつけて花を咲かせます。球形の総苞は、その年の秋に緑から褐色になり、中の堅果が褐色に熟します。
 葉は、先のとがった長いだ円形(8~15cm・左右の形は整っていない)で、縁には先が針の先のようにとがった緑色の芒(のぎ)のあるギザギザ(鋸歯=きょし)があります(クヌギの芒は茶色)。葉の表は深い緑色、裏は灰白色の淡い緑色で柔らかい毛が生えています。
 木の肌は黒褐色で若いうちは平らですが、老木になると縦に深い割れ目ができます。

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