自然と友だち


No.44 「梅雨どきの自然(3)
−梅雨明けを待つ生きものたち−」

 まだ、不安定な天気が続いていますが、時折、梅雨の晴れ間にいろいろな生きものたちが見られました。まさに、梅雨明けを待っている生きものたちです。7月に入り、ニイニイゼミの声も聞こえはじめ、森ではカブトムシ、タマムシなどの甲虫の姿も見られるようになりました。山梨県北杜市では、国蝶オオムラサキが次々と羽化をはじめていました。

撮影・解説:松田邦雄

松田邦雄先生に質問やメッセージをどうぞ。
http://www3.jsf.or.jp/mlmaster/



 

草木 チョウと蛾
ヒツジグサ オカトラノオ アガパンサス ノコギリソウ シモツケソウ オオムラサキ オオムラサキの幼虫 羽化
ヒツジグサ オカトラノオ
アガパンサス
ノコギリソウ
シモツケソウ
オオムラサキ オオムラサキ
幼虫
羽化
チョウと蛾
ジャコウアゲハ クロアゲハ ナガサキアゲハ ナミアゲハ アオスジアゲハ ツマグロヒョウモン♀ ジャノメチョウ オオチャバネセセリ シロツバメエダシャク
ジャコウアゲハ
♂♀
クロアゲハ
ナガサキアゲハ
ナミアゲハ
アオスジアゲハ
ツマグロヒョウモン♀
ジャノメチョウ
オオチャバネセセリ
シロツバメエダシャク
甲虫
カノコガ ブドウスカシバ コクワガタ ノコギリクワガタ トラフカミキリ ホシベニカミキリ カブトムシ タマムシ エゴツルクビオトシブミ
カノコガ
ブドウスカシバ
コクワガタ
ノコギリクワガタ
トラフカミキリ
ホシベニカミキリ
カブトムシ
タマムシ
エゴツルクビオトシブミ
セミ トンボ
ニイニイゼミ アブラゼミ ウチワヤンマ ショウジョウトンボ オオシオカラトンボ ショウジョウトンボぬけがら マルタンヤンマぬけがら クロイトトンボ ヘビトンボ
ニイニイゼミ
アブラゼミ
ウチワヤンマ ショウジョウトンボ
オオシオカラトンボ
ショウジョウトンボぬけがら
マルタンヤンマぬけがら
クロイトトンボ ヘビトンボ
ハチ アブ 育つ幼虫 カエル トカゲ カタツムリ
ヒメハラナガツチバチ コウヤツリアブ ハラビロカマキリ エンマコオロギ ツチガエル アズマヒキガエル カタツムリ カナヘビ
ヒメハラナガツチバチ コウヤツリアブ ハラビロカマキリ
エンマコオロギ
ツチガエル
アズマヒキガエル
カタツムリ
カナヘビ

 




 





草木

ヒツジグサ
ヒツジグサ
撮影日:2009年6月26日  撮影場所:東京都小平市
 水面に浮くように、白と赤のスイレンの花が見られました。葉も水面に浮くように出ています。ヒツジグサという名は、昔の未の刻、午後2時ごろに開花することからつけられました。

 

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オカトラノオ アガパンサス(ムラサキクンシラン)
オカトラノオ アガパンサス(ムラサキクンシラン)
撮影日:オカトラノオ
アガパンサス(ムラサキクンシラン)
2009年6月25日
2009年6月30日
 撮影場所:東京都小金井市
東京都渋谷区
 野に白く、まるで尾のように長く垂れさがった花を見つけました。オカトラノオの花にチョウやハチなどが訪れていました。 うす紫色の花を放射状に開いているのは、ユリの仲間のアガパンサスです。

 

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ノコギリソウ シモツケソウ
ノコギリソウ シモツケソウ
撮影日:2009年7月1日  撮影場所:山梨県北杜市
 うすピンク色の美しい2種類の花を見つけました。でも葉を見ると全くちがいます。
 ノコギリソウは、その名のようにノコギリの葉のように細かい葉がついています。両方とも夏の野に見られる花です。

 

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チョウと蛾

オオムラサキの出現
オオムラサキ
撮影日:オオムラサキ♂
樹液を吸うオオムラサキ
2009年7月1日
2009年7月4日
 撮影場所:山梨県北杜市
 日本の国蝶オオムラサキは、毎年7月の初めに羽化をはじめ、7〜8月の夏の雑木林で見られます。樹液の出ているところに集まり、さかんに樹液を吸います。

 

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オオムラサキの幼虫 羽化
オオムラサキ
撮影日:幼虫

羽化はじめ
羽化したオオムラサキ
2009年7月1日
2009年7月1日
2009年7月4日
2009年7月1日
 撮影場所:山梨県北杜市
 オオムラサキは、夏にエノキに産卵し、幼虫はエノキの葉を食べて育ちます。冬には木の根元に降りて、枯れ葉などにぴったりついて幼虫の姿で冬を過ごします。春、エノキの芽吹きとともに木に登り、葉を食べて育ち、6月ごろ蛹となります。そして6月末〜7月初めごろ、いよいよ羽化をはじめます。

 

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ジャコウアゲハ
ジャコウアゲハ
撮影日:2009年6月25日  撮影場所:東京都小金井市
 はねは細長く、体の赤色や、はねの橙色紋が目立ちます。おすの体は独特のにおいがします。めすのはねは、茶褐色で区別できます。めすは、ウマノスズメグサの葉に産卵します。とても優雅な感じの飛び方をします。

 

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クロアゲハ ナガサキアゲハ
クロアゲハ ナガサキアゲハ
撮影日:クロアゲハ
ナガサキアゲハ
2009年7月5日
2009年7月7日
 撮影場所:東京都渋谷区
東京都千代田区北の丸公園
 よく見られる黒いアゲハはクロアゲハです。ヤブガラシの花を訪れていました。最近では、このクロアゲハに似ている南国のチョウ、ナガサキアゲハが東京近郊でも見られるようになりました。クロアゲハと比べてみると、うしろばねの尾状突起がないことで区別がつきます。はねのつけ根に赤い紋があります。温暖化の影響も考えられるチョウです。

 

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ナミアゲハ アオスジアゲハ
ナミアゲハ アオスジアゲハ
撮影日:ナミアゲハ
アオスジアゲハ産卵
アオスジアゲハ卵
2009年7月5日
2009年6月29日
2009年7月5日
 撮影場所:東京都渋谷区
埼玉県朝霞市
東京都渋谷区
 ごくふつうに見られるアゲハチョウですが、今年2回目の羽化をした夏型のチョウで、春型に比べてひとまわり大きいです。
 青いすじの目立つアオスジアゲハは、クスの木の若芽に卵を産みつけていました。アオスジアゲハの幼虫はミカンの葉ではなく、クスの木の葉を食べます。

 

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ツマグロヒョウモン♀ ジャノメチョウ
ツマグロヒョウモン♀ ジャノメチョウ
撮影日:ツマグロヒョウモン♀
ジャノメチョウ
2009年7月5日
2009年7月1日
 撮影場所:東京都渋谷区
山梨県北杜市
 初夏の野では、ツマグロヒョウモンが舞っていました。このチョウもナガサキアゲハと同じように、以前は東京ではほとんど見られませんでしたが、この数年で、東京近郊でごくふつうに見られるようになりました。
 蛇の目(ジャノメ)紋のある黒褐色のジャノメチョウは、東京では、あまり見られなくなりましたが、近郊の里山では、出会うことができました。

 

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オオチャバネセセリ シロツバメエダシャク
オオチャバネセセリ シロツバメエダシャク
撮影日:2009年7月1日  撮影場所:山梨県北杜市
 この2種類を見ると、どちらがチョウかな?と思うことでしょう。茶褐色の方がオオチャバネセセリというチョウで、白色の方は、シロツバメエダシャクという蛾なのです。チョウと蛾は、鱗粉をもつ同じグループの虫ですが、触角などでだいたい区別することができます。

 

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カノコガ ブドウスカシバ
カノコガ ブドウスカシバ
撮影日:2009年7月1日  撮影場所:山梨県北杜市
 さて、この2種類の虫は・・・?どちらも黒地に黄色の帯があります。交尾している虫は、カノコガという蛾です。もう一方の虫は、まるでハチみたいですね。でもハチではなくて、ブドウスカシバという蛾なのです。オオフタオビドロバチというハチによく似ています。このような関係を擬態といいます。

 

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甲虫

コクワガタ ノコギリクワガタ
コクワガタ ノコギリクワガタ
撮影日:コクワガタ
ノコギリクワガタ
2009年7月9日
2009年7月15日
 撮影場所:東京都千代田区北の丸公園
 タブの木の根元を掘ると、コクワガタやノコギリクワガタを発見できました。都心の公園でも見つけることができます。
 ノコギリクワガタは幼虫の頃の栄養状態によって、つのの形がまるで別種のような2型があります。

 

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トラフカミキリ ホシベニカミキリ
トラフカミキリ ホシベニカミキリ
撮影日:トラフカミキリ
ホシベニカミキリ
2009年6月26日
2009年7月9日
 撮影場所:東京都千代田区北の丸公園
 さてこの虫はなんでしょう?まるでハチのように見えませんか?でもこの虫は、トラフカミキリというカミキリムシなのです。これも擬態です。幼虫はクワの木の穴などにもぐっています。
  また、タブの木では赤いきれいなカミキリムシを見つけました。黒いホシのあるホシベニカミキリです。幼虫はタブの木の中にいる害虫です。

 

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カブトムシ タマムシ
カブトムシ タマムシ
撮影日:カブトムシ
タマムシ
2009年6月30日
2009年6月27日
 撮影場所:東京都渋谷区
 夏の虫の王者はなんといってもカブトムシでしょう。立派なつのをもつカブトムシは人気者です。
 また、美しい虫の王者はこのタマムシでしょう。まさに虹色に輝くはねは、宝石のようです。サクラやエノキの木のところでよく見られます。

 

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エゴツルクビオトシブミ
エゴツルクビオトシブミ
撮影日:2009年6月25日  撮影場所:埼玉県所沢市
 エゴノキの葉に、黒くて首の長い小さな虫を見つけました。エゴツルクビオトシブミです。エゴの葉には丸い穴がたくさんあいていました。これはオトシブミが食べた痕(あと)です。また、葉に揺籃(ようらん)がついていました。このなかには、オトシブミの卵や幼虫が入っています。

 

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ニイニイゼミ アブラゼミ
ニイニイゼミ アブラゼミ
撮影日:ニイニイゼミ
ニイニイゼミぬけがら
アブラゼミ
アブラゼミぬけがら
2009年7月9日
2009年7月7日
2009年7月4日
2009年7月9日
 撮影場所:東京都千代田区北の丸公園
 いよいよセミ出現の季節です。7月初め「チーチー」というニイニイゼミの声が響きはじめました。アブラゼミの姿も見られました。そしてミンミンゼミの鳴き声も確認できました。 

 

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トンボ

ウチワヤンマ
ウチワヤンマ
撮影日:2009年7月9日  撮影場所:東京都千代田区北の丸公園
 いよいよ大型のトンボの姿も見られるようになりました。木の一番高い枝先に水平にとまっているのはウチワヤンマです。その名のように尾端がウチワのように広がっています。ヤンマという名がついていますが、水平にとまっているとまり方はサナエトンボの仲間です。No.43号のコオニヤンマと同じです。

 

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ショウジョウトンボ オオシオカラトンボ
ショウジョウトンボぬけがら マルタンヤンマぬけがら
ヒバリ
撮影日:ショウジョウトンボとオオシオカラトンボ
ショウジョウトンボぬけがら
マルタンヤンマぬけがら
2009年6月29日
2009年7月5日
2009年7月5日
 撮影場所:東京都渋谷区
 池の端の葉上で、真っ赤なショウジョウトンボと、青白のオオシオカラトンボが仲よくとまっていました。枝先にはショウジョウトンボのぬけがらもありました。また、大きなぬけがらは、マルタンヤンマというめずらしいヤンマのぬけがらでした。でもマルタンヤンマの姿は見られませんでした。

 

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クロイトトンボ 産卵
クロイトトンボ
撮影日:2009年7月5日  撮影場所:東京都渋谷区
 細い小さなイトトンボの仲間のクロイトトンボが連結していました。前の方がおす、うしろがめすです。やがて飛び立って水草に産卵しはじめました。

 

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ヘビトンボ
ヘビトンボ
撮影日:2009年7月1日  撮影場所:山梨県北杜市
 大きなはね、首の長い奇妙な虫がしました。トンボの名前がついていますが、これはトンボではなく、ウスバカゲロウなどの仲間です。幼虫は流れのはやい川の中で育ち、マゴタロウムシと呼ばれ、薬になります。

 

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ハチ

ヒメハラナガツチバチ
ヒメハラナガツチバチ
撮影日:2009年7月5日  撮影場所:東京都渋谷区
 アベリアの花の中へもぐりこんで蜜を吸う、ヒメハラナガツチバチを見つけました。やがて花から出てきました。花には、次から次へとハチやチョウがやってきました。

 

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アブ

コウヤツリアブ
コウヤツリアブ
撮影日:2009年7月5日  撮影場所:東京都渋谷区
 ハチとアブの区別ははねのようすでわかります。ハチは4枚のはねがはっきりしていますが、アブは2枚のはねで、つけ根のあと2枚のはねは退化して、平均こんと呼ばれる痕跡が見られるだけです。このコウヤツリアブは、オオフタオビドロバチに寄生するアブです。

 

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育つ幼虫

ハラビロカマキリ エンマコオロギ
ハラビロカマキリ エンマコオロギ
撮影日:ハラビロカマキリ
エンマコオロギ
2009年7月5日
2009年6月28日
 撮影場所:東京都渋谷区
埼玉県所沢市
 カマキリやバッタなどの仲間は、今育っている最中です。木の葉の裏に小さなハラビロカマキリの幼虫を見つけました。
 また、草間に白い帯の目立つエンマコオロギの幼虫もいました。何回か脱皮し、そのつど大きくなり、最後にはねが生えて成虫になります。

 

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カエル・トカゲ・カタツムリ

ツチガエル アズマヒキガエル ミスジマイマイ カナヘビ
コウヤツリアブ
撮影日:ツチガエル
アズマヒキガエル
カナヘビ
ミスジマイマイ
2009年7月1日
2009年7月5日
2009年6月26日
2009年7月5日
 撮影場所:山梨県北杜市
東京都渋谷区
東京都小平市
東京都渋谷区
 梅雨の頃は、カエルやカタツムリなど水を好む生きものもよく目につきます。ツチガエルやアズマヒキガエルの子どもを発見しました。
 石べいにカタツムリもくっついていました。雨がふり出すと、はい出してきます。
 金網の天井にカナヘビが尾をまきつけてぶらさがっていました。とてもおもしろい格好だったのでカメラにおさめました。

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