自然と友だち


No.104 「2013年(平成25年)歳初め」

 明けましておめでとうございます。
いよいよ2013年が出発しました。この冬は東京でも池や水たまりが凍ったり、霜柱もたって寒さの厳しさをひとしお感じています。雪国では記録的な大雪のようで東北地方の仮設住宅で暮らしておられる方々のご苦労はさぞかしと思われます。
 動物も植物もこの厳しい冬を乗り越えるため、いろいろな状態で冬越しに入っています。その自然のありのままの様子をカメラにおさめ、メールマガジンでお目にかけたいと思い、冬の野をめぐってみました。


撮影・解説:松田邦雄

松田邦雄先生に質問やメッセージをどうぞ。
http://www3.jsf.or.jp/mlmaster/



 

2013年干支の顔 巳(ヘビ)年 正月の草木 お正月に咲く花 池も凍る 虫たちの冬越し
巳年のヘビ天に昇る ナンテン センリョウ ロウバイ カンツバキ 池も凍る カシワマイマイガ キリシマミドリシジミ チョウセンアカシジミ
巳年のヘビ天に昇る ナンテン
センリョウ
ロウバイ
カンツバキ
池も凍る カシワマイマイガ
キリシマミドリシジミ
チョウセンアカシジミ
虫たちの冬越し 冬にのみ出現するガ さて、この虫たちは?
幼虫 ゴマダラチョウ タテハモドキ アサギマダラ 蛹(さなぎ) ギフチョウ ヒメギフチョウ ミカドアゲハ アオスジアゲハ 成虫 クサカゲロウ エサキモンキツノカメムシ ウラギンシジミ ウスバフユシャク シロオビフユシャク ヤママユ ウスタビガ ウスタビガ成虫
幼虫
ゴマダラチョウ
タテハモドキ
アサギマダラ
蛹(さなぎ)
ギフチョウ
ヒメギフチョウ
ミカドアゲハ
アオスジアゲハ
成虫
クサカゲロウ
エサキモンキツノカメムシ
ウラギンシジミ
ウスバフユシャク
シロオビフユシャク
ヤママユ
ウスタビガ
ウスタビガ成虫
野鳥たち 信州辰野便り
ヒドリガモ マガモ オオバン 辰野町冬の風情 雪と小鳥
ヒドリガモ
ハクセキレイ
エナガ
辰野町冬の風情 雪と小鳥



 



2013年干支の顔 巳(ヘビ)年

巳年のヘビ天に昇る
巳年のヘビ天に昇る
撮影日: 2012年11月13日 撮影場所 長野県辰野町
撮影者:加納巌氏

 田圃(たんぼ)の畦(あぜ)に立てられた獣除け電気柵のポールに、大きなシマヘビが巻き付いて登っているのを見かけました。細い金属のポールに巻き付いて、ゆっくりと登り、最上部まで上り詰めましたが、それでもなお、上を目指して大空に立ち上がる姿を私は『巳年のヘビ天に昇る』と題しました。(加納巌氏)

 ヘビは脱皮をくり返す姿を再生の象徴とみなし、神様(弁天様)のおつかいともいわれ、吉兆をあらわすだいじな生きものとされています。
 害獣のネズミは、ヘビの好物のえさであり、ヘビはこういうことからも大事にされてきました。
 ただし、日本では信仰の対象となっていますが、西洋では悪魔の化身ともみなされ、忌み嫌われているようです。

 

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正月の草木

ナンテン
センリョウ
ナンテン センリョウ
撮影日: 2013年1月8日  撮影場所: 埼玉県朝霞市
 お正月はやはり縁起のよい植物が飾られているようです。
 赤い実のナンテンは、「難を転じる」という意味が重宝がられ、またセンリョウは、千両に通じる景気のよいものとして生け花にも用いられています。お正月の部屋を飾ります。

 

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お正月に咲く花

ロウバイ
カンツバキ
ロウバイ カンツバキ
撮影日: 2013年1月8日  撮影場所: 東京都千代田区北の丸公園
 正月にあわせるように咲き出す花は黄色のロウバイ、ただし今年の正月早々はまだつぼみでした。今冬はきびしい寒さで咲き出すのは少し遅れているようです。
 低木のカンツバキの赤い花が目立ちました。

 

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池も凍る
池も凍る
撮影日: 2013年1月8日  撮影場所: 東京都千代田区北の丸公園
 連日の低温で東京の中心地である北の丸公園の池の水も凍っていました。
 この氷の下では、池の底などでトンボのヤゴなども静かに冬越ししていることでしょう。小さな魚たちもじっとしていることでしょう。

 

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虫たちの冬越し


カシワマイマイガ
キリシマミドリシジミ
チョウセンアカシジミ
卵 カシワマイマイガ キリシマミドリシジミ チョウセンアカシジミ
撮影日: カシワマイマイガ
キリシマミドリシジミ
チョウセンアカシジミ
2013年1月2日
2013年1月
2012年11月14日
 撮影場所: 埼玉県新座市
神奈川県箱根町(飼育)
新潟県(飼育中)
キリシマミドリシジミ卵撮影:富樫 敦氏
 まるで黄色い綿におおわれた中身はカシワマイマイというガの卵塊です。夏のあいだに成虫が木の幹に産卵し、その上に自分の体の綿毛でその卵塊をおおったものです。
 アカガシの木の芽のわきにある小さな卵はキリシマミドリシジミの卵、トネリコの木の幹に産みつけられた小さな卵はチョウセンアカシジミの卵です。

 

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幼虫
ゴマダラチョウ
タテハモドキ
アサギマダラ
幼虫 ゴマダラチョウ タテハモドキ アサギマダラ
撮影日: 2013年1月7日  撮影場所: 埼玉県朝霞市(飼育中)
 幼虫の姿で冬越ししているのは、ゴマダラチョウです。エノキの根元に自分でおりてきて、枯れ葉にへばりついていました。ゴマダラチョウの幼虫は冬のあいだ全くえさをとりません。ところが、南方系の種類のタテハモドキやアサギマダラは、冬のあいだでも少しずつ食草を食べて冬を越すのです。今冬のような厳冬では、死んでしまう幼虫も多いようです。

 

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ギフチョウ
ヒメギフチョウ
ミカドアゲハ
アオスジアゲハ
蛹 ギフチョウ ヒメギフチョウ ミカドアゲハ アオスジアゲハ
撮影日: 2013年1月7日  撮影場所: 埼玉県朝霞市(飼育中)
 蛹の姿で冬を越すのは、ギフチョウ、ヒメギフチョウやミカドアゲハ、アオスジアゲハなどアゲハチョウの仲間が多いです。
 ギフチョウやヒメギフチョウは春4〜5月、年に1回だけ山野で発生する貴重なチョウです。
 ミカドアゲハやアオスジアゲハは南方系のチョウで、年に何回か発生をくりかえし、秋に蛹になったものが越冬します。

 

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成虫
クサカゲロウ
エサキモンキツノカメムシ
ウラギンシジミ
成虫 クサカゲロウ エサキモンキツノカメムシ ウラギンシジミ
撮影日: クサカゲロウ
エサキモンキツノカメムシ
ウラギンシジミ
2012年12月20日
2013年1月2日
2012年11月10日
 撮影場所: 埼玉県朝霞市
埼玉県新座市
東京都八王子市高尾町
 冬になっても死なずに成虫の姿でじっと春を待つ虫もいるのです。この小さな、か弱そうなクサカゲロウやエサキモンキツノカメムシもどこかにかくれて越冬します。少し暖かい日には動くこともあります。ウラギンシジミは、ツバキの葉裏にとまったまま、全く動かずに越冬しています。

 

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冬にのみ出現するガ

ウスバフユシャク
シロオビフユシャク
ウスバフユシャク シロオビフユシャク
撮影日: 2013年1月8日  撮影場所: 東京都千代田区北の丸公園
 ほかの虫は、みんな冬ごもりしているのに冬にだけ出現する変わったガがいます。電燈のそばや石へいなどにぴったりとまっていました。夜になるとメスを求めて活動します。なんとメスははねが退化して、はねのないガなのです。寒さには強く、3〜5℃くらいでも飛んだりして活動ができる虫なのです。

 

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さて、この虫たちは?

まゆ
ウスタビガ
ヤママユ
成虫
ウスタビガおすめす
まゆ ウスタビガ ヤママユ 成虫 ウスタビガおすめす
撮影日: ウスタビガ
ヤママユ
ウスタビガおす
ウスタビガめす
2012年秋
2012年秋
2012年11月21日
2012年11月18日
 撮影場所: 長野県安曇野市
長野県安曇野市
上野原市四方津
上野原市四方津
ウスタビガおすめす撮影者:福田晴男氏
 よく雑木林などで、こういうマユを見つけることがあります。あっ、ヤママユやウスタビガはまゆ(さなぎ)で越冬しているのであろう、と思われがちですが・・・実はこのまゆはもぬけの空です。秋遅く、成虫は羽化し、卵で冬を越すのです。

 

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野鳥たち

ヒドリガモ
ハクセキレイ
エナガ
ヒドリガモ ハクセキレイ エナガ
撮影日: 2013年1月6日
2013年1月8日
2013年1月2日
 撮影場所: 埼玉県朝霞市
東京都千代田区北の丸公園
埼玉県新座市
 冬の池や川でカモたちがたくさん見られます。ヒドリガモは遠い北国からやってきた冬鳥です。
 草原の土をつついていたのは、ハクセキレイでした。
 冬の野には尾羽の長いエナガの群れも見られました。
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