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No.2 「晩秋の山の虫たち」

〜秋の埼玉県堂平山の虫たち
寄居でサムライアリの巣見学〜

 郊外の低い山は気軽に出かけられ、町中ではちょっと見られない草木や虫たちに出会うことができます。
 埼玉県の堂平山へ出かけてみました。ここには天文台もあり、天体観測には絶好のところです。ところが台風通過の荒天で天体観測はできませんでしたが、翌日は台風一過の快晴で、遠く雪をかぶった浅間山も展望できました。
 朝日を浴びて色とりどりの野の花も咲き、いろいろな虫たちも活動をしていました。帰途アリを専門に研究されておられる方のところへ寄り、サムライアリの巣の見学もできました。
 そろそろ紅葉もさかりの近くの里山へ出かけてみましょう。


撮影・解説:松田邦雄



 

埼玉昆虫談話会メンバー宿泊研修
埼玉昆虫談話会
メンバー宿泊研修
旅する美蝶アサギマダラ
旅する美蝶
アサギマダラ
美しく輝くオオセンチコガネ
美しく輝く
オオセンチコガネ
山地性のアカアシクワガタ
山地性の
アカアシクワガタ
草原で活動するバッタ
草原で活動するバッタ
ハートマークのカメムシ
ハートマークのカメムシ
サムライアリの巣掘り
サムライアリの巣掘り
アリを採集
掘り出した土の中からアリを採集
サムライアリ
サムライアリ
アリヅカコオロギ・セミの幼虫
アリの巣の中から、
他の虫も・1
マイマイカブリ
アリの巣の中から、
他の虫も・2

 





埼玉昆虫談話会メンバー宿泊研修
 

撮影日:2007年10月28日  撮影場所:埼玉県堂平山
 山の上からは遥かの高い山々も見られ、ほんとうにすばらしい展望です。
そして足もとにはかわいらしいセンブリの花をみつけました。ちょっと葉をかじってみると…にがい味…これは腹薬、そう、有名な薬草です。

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旅する美蝶アサギマダラ
旅する美蝶アサギマダラ

撮影日:2007年10月28日  撮影場所:埼玉県堂平山
 ふわーと風に乗って、朝日を浴びて美しいはねをひろげた山地性のアサギマダラという蝶が目の前に飛来し、はねを休めました。この蝶は風に乗って旅をする蝶として有名です。さっそく捕えてサインペンで堂平山’07.10.28と記してから、放してあげました。
 さて、これからどこへ飛んでいくのでしょう。沖縄などでもこのマーキングして放した蝶が記録されています。

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美しく輝くオオセンチコガネ
美しく輝くオオセンチコガネ

撮影日:2007年10月28日  撮影場所:埼玉県堂平山
 堂平山では、朝日を浴びて光るように飛ぶオオセンチコガネがよく見られました。この虫も低地の町中ではみられません。動物の糞などの下にもぐって、これを食べるいわゆる糞虫とよばれる虫ですが、美しさは目をみはるほどです。足と体がこすれて、キーキーという声(音)を出します。
  はねの色も緑系と赤紫系があります。

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山地性のアカアシクワガタ
山地性のアカアシクワガタ

撮影日:2007年10月28日  撮影場所:埼玉県堂平山
 朽木をひっくりかえしてみたら、何と、朽木の下にクワガタがいました。足の赤い山地性のアカアシクワガタで、生きています。平地でよくみられるコクワガタみたいですが、これは山地性のクワガタです。
 このような朽木の下でじっと冬を越すようです。

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草原で活動するバッタ
草原で活動するバッタ

撮影日:2007年10月28日  撮影場所:埼玉県堂平山
 草むらには、いろいろなバッタが見られました。足を体にすりつけて鳴くヒナバッタも多く見られました。はねののびないアオフキバッタも日向ぼっこをしていました。はねの短いトノサマバッタも見つけました。これはまだ終令で、もう一回脱皮してはねの長い成虫になるのです。
 それにしてもこの時期にまだ成虫になっていないとは、ゆっくりした成長のトノサマバッタもいるのですね。

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エサキモンキツノカメムシ
エサキモンキツノカメムシ

撮影日:2007年10月28日  撮影場所:埼玉県堂平山
 背中にハートのマークのついた、角が張った特徴あるカメムシです。この虫も寒くなると木の葉の下や、木の穴などに隠れて、成虫のままで冬越しをします。
 この虫は、平地でも見られますので、冬になったら、木の根元の落葉の中や木についている木の名札などの裏でみつかるかもしれませんよ。
 ハートマークなので、ラブラブカメムシなどのニックネームもあるようです。

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サムライアリの巣掘り
サムライアリの巣掘り

撮影日:2007年10月28日  撮影場所:埼玉県寄居町
 アリの研究者がサムライアリの巣を掘るとの情報を得て、帰途、サムライアリに出会える絶好のチャンスと思い寄居へ向いました。
 巣のある辺りの土を2mほど掘り下げ、10cm単位で巣のところを掘っては出てくるサムライアリを捕え、その姿を記録していきました。

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掘り出した土の中からアリを採集
サムライアリ

撮影日:2007年10月28日  撮影場所:埼玉県寄居町
 掘り出された土は場所によって、サムライアリが多くでてくるところと、少ないところもありました。
 サムライアリは狩りをすることで有名です。クロヤマアリの巣をおそって、終令幼虫や蛹を強奪してきて、クロヤマアリをどれいとして使うのだそうです。もっともクロヤマアリの方は、蛹から成虫になったとき、何もわからずサムライアリの仲間としてせっせと働くのです。

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サムライアリ
サムライアリ

撮影日:2007年10月28日  撮影場所:埼玉県寄居町
 土の中からはクロヤマアリとサムライアリが出てきました。サムライアリの方はきばも大きく、いかにも強そうです。動きはクロヤマアリよりゆったりした感じでした。

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アリの巣の中から、他の虫も・1
アリヅカコオロギ・セミの幼虫

撮影日:2007年10月28日  撮影場所:埼玉県寄居町
 サムライアリの巣の土の中には、アリヅカコオロギという、その名のようにアリの巣の中で生活しているコオロギ(鳴きません)が住んでいるということは聞いたことがありました。しかし実物を見たことはありません。もしこの機会にアリヅカコオロギに出会えたらと願い、しきりと土の中をさがしました。しばらくして、白い虫発見。これはセミの幼虫でした。さらによくよく探すうちに、ついに見つけました。5mmくらいの茶色の小さな小さな虫…ひげも長く後足も太く、ぴょんとはねました。まさにアリヅカコオロギでした。

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アリの巣の中から、他の虫も・2
マイマイカブリ

撮影日:2007年10月28日  撮影場所:埼玉県寄居町
 土の中から出てきたのか、近くの土のかげから出てきたのか、黒い2cmくらいのひらべったい虫が歩いていました。これはマイマイカブリの幼虫です。
 マイマイとはカタツムリのことで、えさはカタツムリで、そのカタツムリを見つけては、からの中に頭をつっこんでカタツムリをかぶるようにするのでこの名があります。
 いろいろな虫たちに出会えてとてもすばらしい一日でした。

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